【このテーマの記事は、UAV写真測量に必要な解析や、そのためのAgisoft PhotoScanの操作について解説しつつ、適切な設定の探し方を提案することを目的とします。注意事項や用語説明もありますので、最初のページから読んでください。】
私の提案を述べる前に、MVSで密な点群を得るまでの、教科書的な(マニュアル通り、ではないが、マニュアルなどに基づいて妥当と思われる)操作手順(フロー)を解説しておく。私が提案する操作手順ではない。想定している状況については以前のページ、特にこちらのページをご覧いただきたい。
ここでいう教科書的な操作手順とは、私がPhotoScanの英語版ユーザーマニュアル、公式チュートリアル、公式フォーラムでの質問の一部や私の問い合わせに対するAgisoftからの回答を読んで知った、または自分で試して理解した使い方である。
PhotoScanのユーザーマニュアルは、英語のためとっつきにくいが、一文一文丁寧に読めば、かなり詳しく明解であった。また、個別に問い合わせをすることで教えてもらった有用なTipsもある。教科書的な使い方を紹介する目的は、そうして得た知識を共有することである。
そのため、このテーマの記事の解説は、手順のみならず、その手順の意味を理解するために必要な用語の説明や、問題点の議論などにも踏み込んでいる。その分、単なる操作手順の説明に比べて記事が長くなっており、時間をかけてもいいからしっかり理解したい人向けである。
下表は、写真の読み込みから密な点群生成までの操作手順である。各ステップの説明を読む際、別ウィンドウなどで表示しておくことをお勧めする。MVSで密な点群を得た後、メッシュ・テクスチャ・DSM (DEM)・オルソ画像などを作る過程は、写真測量の「後処理」に過ぎないし、必要な成果物によってやることが変わるので、本テーマの記事では触れない。
表. PhotoScanによる写真の読み込みからMVSまでの教科書的な操作手順
ここで、使用コマンドとは、GUIのメニューから選ぶ項目か、押すボタンの名前(マウスを当該ボタンに載せたときに表示される文字列)である。本テーマの記事はGUIの利用を前提としており、コマンドラインで打ち込むという意味ではない。
黒色で塗りつぶされたステップは、特に基本的なステップである。ただし、点群に世界座標(地球上で動かない座標系:例えば局所直交座標系やUTM座標系などの座標)を与えるためにGCPを使わない場合、例えばUAVの測位機能によって画像のEXIFに付与されたカメラ位置の情報のみを用いる場合には、Step 10, 11は不要となる。検証用地点も設けないなら、8, 9も不要である。
黒色で塗りつぶされていないステップは、ユーザーマニュアル・チュートリアルにおいて、紹介または推奨されているように読めるステップである。記述が目立たなかったり、ネット上の簡単な説明ページでは触れられていなかったりするので、現実には実行していないユーザーも多いと思われる。
次のページから何ページか使って、各ステップについて解説していく。