このシリーズ
【長澤松平風聞記】は
一枚の「仏像記」を知ったことがきっかけで
描き始めたシリーズである
現代においても、それなりに格式のある家には、家系図というものが残されている
その家系図は、だいたいが「門外不出」として一族のもの以外には
見せてはならない、という但し書きがついているが
それは
対外的に書かれたものではなく、身内のために書かれたもの
つまり
自分達一族にとって、都合がいいように、編纂されている場合もあるし
余計に盛り込まれていることもあるからだと思われる
でも、身内の用の家系図なのだから、
それはそれで、一族が繁栄していくならいいんじゃないかと思う
ただ、あまりにも有名な一族だと、
資料として公にされることもある
『三河物語』なんかも、そんな部類の書物だったのだと思う
いくら、大久保家に都合がいいように描かれようとも
関係ない、それでよかったのである
また、家系図を作ることが流行った時期もあったそうである
元を辿れば、御先祖様は、天皇家に繋がるようにし、
歴史上の有名人物をなんとか盛り込み
あっちの親族、こっちの親族と、
切ったり貼ったりして
なんとか家系図を作り上げる
録画も、遺伝子鑑定もない時代であるから
そこは、盛り込み放題なのである
それを、残された史料をもとに
なんとかかんとか、解明していくのが面白いのである
逆を言えば、
モリモリに盛り込んだ家系図もあれば、
消された事実が、密かに残されている場合もある
そこを、どうやって証明していくのか
それを、どうやって判断し、気がつくのか
否定するのは一番簡単なことであるし
楽な考えだと思う
その史料は正しいのか、正しくないのか
それも大事かもしれんけど
それ以上に
私としては
どうしてそれが残されたのか、という
当時の人の想いを押しはかる方が
ずっと大事なことなんじゃないかと
思いながら書いとるんだわね