自意識丸出しのタイトルだけど浮かんだものを書くしかない。
初めて一人で暮らし始めたアパートは広瀬川のそばの六畳一間だったけど、四畳ほどの板間がキッチンみたいで初めての一人暮らしとしては贅沢な風情もあった。トイレと風呂は同じ空間だったけど、いわゆるユニットバスってんではなくて風呂の横にビニールカーテンで仕切られて洋式トイレがあった。
家賃分だけは親から金が送られてきたから生活に不安はなかったけれど、食うものがない夜はしょっちゅうで、タバスコを舐めながらハイニッカをラッパ飲みしたりしていた。13だか14だかに親に与えられたバカでかいステレオセットと二万円で買ったエレキギターだけが人生のすべてだった。
アルバイトとクラブ活動のために書いていたラジオドラマの脚本に時間は割かれて、本末転倒ではあったけれど大学の授業にはまったくでていなかった。当然、単位はまったく得られず三年に上がれず大学は二年で辞めた。一年から二年に上がる時の金を付き合ってた彼女の親に借りていたから、それは返さねばならず、母親の知り合いだというある男から金を50万円もらった。それくらいの金は払ってくれて当然の男だということだったが、その人が自分の実の父親だったと知ったのは30年後、こっちが50歳を過ぎてからだった。