「そしてビートルズは北極星になった」より
『レット・イット・ビー』は悲しかった。偉そうに仕切りまくるポール。ポールにねちねち言われて怒るジョージ。それをうんざりした顔で見るリンゴ。それを見ていながら全く知らん顔のジョン。いいところなんか、ひとつもなかった。
自転車に乗って大森まで帰った。浜松か田町あたりで涙が出てきた。ビートルズは終わったんだ。ランドセルを背負っていた小学校六年生から聴いていたビートルズが終わってしまったのだ。
ところが、ビートルズは終わらなかったのである。確かに解散直後は、過ぎ去ったものというあつかいだった。しかしそれは数年間のことだった。若い新しいファンが、どんどん増えてきたのである。
ビートルズは北極星である。ほかの星は動いていても、北極星はいつまでも同じところで輝いている。
僕達が死んだ後も、北極星はずっとずっと光り輝いている。50光年の彼方で光り輝いているビートルズに、感謝したい。