見てるのが楽じゃない映画というのはやはりある。
その典型のような映画だった。
街の映画館でやってるときはポスターの雰囲気からしてホラー映画だとばかり思っていた。
ホラー映画ほど世の中に不必要なものはないと信じているわたしにとって、
それはまったく縁のない映画だとばかり思って、興味の完全に外にあった。
しかしテレビでやる、つまりタダで見られるとなると少し事情は違ってきて、
そういえばけっこう派手に扱われたな、という印象を思い出し、
ちょっとネットで調べてみたりするわけである。
で、見つけたのが「ロバート・デ・ニーロ」という名前だった。
俺が映画をチェックするときに非常に弱いのが、
アル・パチーノと、このロバート・デ・ニーロという名前なのである。
どうしてみずにいられようか、となるわけだ。
で、見たのです。
はじめは、ああ、やっちまった、と思った。
一緒に見ている妻が、いつもいつも「暗いのはみないからね!」
と大声で主張する人なのである。
しかし見るのをやめられない。
どれだけホアキン・フェニックスが人を殺めようが、希望めいた何かが、
固い緊張感を保ち続けるからだ。
誰が本当の殺人者なのか。
事象からだけ見ればしっかり殺人者である主人公が体中から発するメッセージ。
俺だけでなく「暗い話は絶対無理!」な妻までも最後までしっかり画面に釘付けにした
緊張感はそこにあったのだ。
また見たいかと聞かれれば、どうかなとは思うけれど、見て良かった。
そう思える映画だった。
まだこんな映画をアメリカは作るんだ。そんな感慨に包まれた。