もう数年前のことです。
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お盆期間中に無事ホスピスに転院できたAさん。
朝晩少し涼しさを感じる季節
9月に入りました。
社会福祉士の後見人は
月1回(もしくは以上)の訪問となっています。
私は、3日に1回のぺースで面会に行きました。
Aさんは、家族の面会が見込めず終末期だったからです。
ある日、病棟のホールにお月見の設えがしてありました。
和服を召した女性とグランドピアノを演奏している方。
おそらく、お二人ともボランティアさんでしょう。
抹茶のほのかな香りとともに、和服の女性はお茶を点てておられました。
しばらくすると、ピアニストの方がある曲を演奏し始めたのです。
ディズニーの名曲 「星に願いを」
ホスピスはこのように、ゆっくりと時間が流れるところだったのです。
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もうひとつは、ヘルパーさんと一緒に面会に行った時のことです。
ここで、なぜ、病院にヘルパーさんが出入りできるの?
訪問介護は介護保険のサービスだから、医療(病院)では使えないんじゃないの?
って思われる方がいるかもしれません。
Aさんは転院まで絶食が継続していました。
お洗濯やちょっとした会話、転院後は
お楽しみのアイスクリームを食べる介助など
顔見知りのヘルパーさんの面会で
Aさんが心安ぐ時間を少しでも過ごせればと思ったのです。
このような理由から
在宅からの顔みしりのヘルパーさんに
自費サービス(介護保険外)として入ってもらっていました。
この日は、Mヘルパーと私と2人で面会に行きました。
Mヘルパーが
「Aさんは、『ふたり酒』が好きだったんですよ~。家でよく歌っていましたよね~」と。
「そうなの?」といいつつ、スマホで曲を探し始めた私。
「じゃあ、3人で歌いましょうか?」と、スマホで曲を流しながら、歌うことにしました。
危篤状態で意識も薄れつつあるAさん。
ベッドの横でわたしとMヘルパーは、『ふたり酒』を心をこめて歌いました。
「生きてゆくのがつらい日は、お前と酒があればいい。」
Aさんはどんな気持ちでいつもこの歌を口ずさんでいたのでしょう。
そう思うと、胸がいっぱいになりました。
ふとAさんを見ると、明らかに目に表情が戻り、わずかに涙を流されていました。
その夜、Aさんが亡くなったと連絡をもらったのでした。
あの時の光景が今でも脳裏に焼き付いています。
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