初めての方は、こちらをお読みください。
はたと気付けば、洋装店に着いていて、制服を揃えて。渡されたのはワイシャツと、ベスト。ネクタイは入学式の時に配られるらしい。少し魔法学校とやらに入学するんだという実感がわいてきた。しかし、こんな妙な状況に慣れてしまっている俺がいて。
「でも、案外楽しいんだよな・・・」
そう、他人と買い物に来たのもこれが初めてだ。他愛ない会話をして、歩いてるなんて一昔前の自分には考えられなかった事だろう。客観的にも主観的にも、楽しんでいると見えているんだろう。
「アーサー、次は杖だから・・・・」
「杖?」
「そう・・・魔法使いには、命の次に・・・・大事な、もの」
そう言われるがまま、着いた場所はオリバンダー杖店と言う店だった。店の奥に店主と思われる老人が一人。ヘラクレスとは知り合いのようで、言葉を交わしていた。
「よぉ、ハーク。久々だなぁ。今日は何の用だい?」
「ここに、来る理由は・・・一つ、しかない」
「そうだな、そりゃそうだ!・・・で、そこにいる金髪の坊ちゃんの杖って事だな」
「うん・・・そう」
金髪の坊ちゃんって・・・・まぁ、店主。アンタから見たらガキに違いないが、坊ちゃんはやめてくれ・・・。俺はそんな風に言われるほど育ちは良くない。なんて今更言えないんだが。
「よし、じゃあ坊ちゃん、名前は?」
「・・・アーサーだ」
「よし、アーサー坊ちゃん。あんたに合う杖を用意してやっからな!」
「これはどうだ!」
「・・・」
「じゃあ、これは!!!」
「・・・」
杖店にいる事、多分小一時間経過中・・・。次から次へと杖を持たされる。が、今の今まで全く反応がない。本当に俺に魔法の才能なんてあるのだろうか?そうだ、きっと無かったんだ。そうだよなぁ、そんなんあったら必死に勉強してないっての。しかし、ちらっとヘラクレスを見てみると、何か食いながら親指を立て、俺に向けた。ツッコミどころ満載だからつっこんでおく。まず、その食ってるのはどこで買った?それから親指立てんな!何かうざい!その親指へし折って良いか?
「じゃあ、アーサー坊ちゃん!次はこの店始まって以来のとっておき商品だ!!一角獣の中でも凄く希少種・・・品種は忘れた!」
「忘れたのかよ!!」
「そんな希少種のたてがみを芯に、樫の木で作られた最高級品!!」
少し焦りが見えている店主・・・一角獣の種類までど忘れしてしまっているらしい。いや・・・それは老化が原因か?まぁ、老店主は店の奥の方から大事そうに一つの古めかしい箱を持ってきた。開けられた箱の中には綺麗な樫の木で作られた杖があった。
「これが駄目だったら他あたって貰うしかないからね!他って言ってもこの横町にはもう無いからお取り寄せになるけど!!」
「えっ・・・マジで?」
最高級品って言ってなかったか?そんなモンに一般庶民が触れても大丈夫なのか?金目のモンなんて俺触った事無いんだぞ・・・。
「・・・」
しかし、このままでは埒があかない。意を決して、恐る恐る触れてみると、不意に杖の先端が光を放った。とてつもなく眩く光ったそれは、数秒した後すぐに収まった。
「・・・」
何故か、心臓がバクバクしている。あの光は俺がやったのか?呆けている俺に老店主は感動した面持ちで話し掛けている。
「本当に凄いな、坊ちゃん。長年杖売りを営んでいるけど、ここまで才能に富んでる子は数少ないよ。そうか、さてはお前の秘蔵っ子だな、ハーク」
「まぁ、そんなとこ・・・・」
「えっ?はっ?」
戸惑う俺に老店主は、買うだろう?と首を傾げる。値札を見ると、10ガリオン・・・約、10万。10万・・・って嘘だろ。
「・・・買う」
「ちょっ・・・ヘラ・・・・」
「言った、でしょ・・・?俺は、アーサーの後見人。って事は・・・所謂、親代わりだから・・・」
そんな事をのほほんと言って、ヘラクレスは10ガリオン、老店主に渡していた。いや!いやいやいや!10万だぞ!・・・俺が、自分の革袋に手を伸ばすと、良いからと軽く受け流されてしまった。もう見てるしか出来ない自分が恨めしい。
「毎度~♪また来いよな」
「うん・・・・また来るよ。じゃあ・・・行こっか・・・アーサー」
「おっおう・・・・」
渡されていた手提げ袋に、荷物が一つ追加された。
「あ・・・」
「うん・・・?」
「ありがとぅ・・・・べっ別にお前の為に礼を言ってる訳じゃないんだからな!おっ、俺の為だかんな!!」
くっそ、何でこんな必死になって照れ隠ししてんだよ!俺はぁぁぁぁ!!笑えない・・・。ヘラクレスは俺の言葉にくすくす笑っていた。
「・・・・どういたしまして」
くそ・・・恥ずかしい・・・・。
ツンデレが書きたかっただけです。実にすみません。ほんとに、実にすみません(大事な事なので二回言いました)後悔はしている、公開だけに。しかし反省はしていません。いつかするよ・・・orz