1751年、バビロニアのウル遺跡に墓泥棒が侵入して、古代の吸血妖怪ダイモンを四千年の眠りから蘇らせてしまう。復活したダイモンは飛行能力を発揮して、はるか日本までやってきて、伊豆の浜辺で釣りをする代官の磯部兵庫を襲い、兵庫の生血を吸ったあげく、兵庫の体に乗り移ってしまう。
領民思いと信望の厚かった兵庫は、うるさく吼える犬を切り捨て、神棚や仏壇を不浄なものだと破壊する。どうしたのか、と心配する娘の千絵と、代官所の役人で千絵の恋人の真山新八郎。そして代官屋敷の古池に住みつく河童は、兵庫が妖怪に乗っ取られていることに気づき、兵庫に喧嘩を売る。「どこの妖怪野郎か知らねえが、勝手の俺の縄張りに飛び込んできやがって。とっとと出ていきやがれ」しかしダイモンのパワーは河童のかなうところでなく、河童はすごすごと退散する。
河童は妖怪仲間のたむろする古寺に行き、仲間にとんでもない妖怪に追い出されたと訴えるが、油すましは妖怪紳士録と日本妖怪大図鑑を河童に渡す。「それには日本中の妖怪が載っとるのや。お前の言うようなお化けは出てへん。水が温うなったんで、夢でも見たんとちゃうか」「俺の言うことを信じてくれよ」「まあ、頭でも冷やしてやれ」頭の皿に水をぶっかけられる河童。
ダイモンに乗っ取られた兵庫は、用人や腰元に手を出し、吸血することで自分のエネルギーを蓄えていく。新八郎は叔父である祷師の大日坊に事情を説明する。「微塵の疑いもない。全て魔性のもののなせる業じゃ」「それでは、その魔性の者は代官様と見てよろしいのですね」「魔性の命は人の生血で永らえると言うからの」「叔父上、ではその魔性を代官様から取り除く手だては」「ない」「え」
「代官殿に魔性が乗り移ったのではなく、魔性が代官殿の姿を借りておるのじゃ」「では、代官殿は」「すでにこの世のお人ではあるまい」「それではいかなる手だてでその魔性を」「御仏におすがりするだけじゃ」死力を尽くして悪魔退散の祈祷を行う大日坊であったが、ダイモンのパワー凄まじく、大日坊は黒焦げの死体と相果てる。
大人の血に飽きた兵庫は、若い子供の血を欲するようになり、村では子供狩りが行われる。茂市とお咲の幼い兄妹は妖怪寺に逃げ込み。そこで誰も俺を信じてくれないと不貞腐れる河童と会う。おいらたちを助けてくれと頼む茂市。「代官様に子供たちが連れ去られて、みんな殺されて帰って来るんだ」
妖怪仲間に相談する河童。「だから言っただろう、あいつは代官じゃない。お化けなんだ」「じゃあ、一体何者なんや」バビロニアの妖怪ダイモンだ、という雲外鏡は、自分の腹の鏡にダイモンの姿を映し出す。見事な悪党面や、と呻く油すまし。「こんな奴、のさばらせといたら、日本妖怪の恥やで」「そうや、そうや」
まず手始めにと、代官の手先である役人たちを怖い目に合わせる妖怪たち。ろくろ首は色仕掛けでダイモンを倒そうとするが、自慢の首をへしおられてしまう。河童や油すましたちも打倒ダイモンを果たさんとするが、ダイモンのパワー凄まじく、あえなく退散する。
新八郎は兵庫は人間ではないと千絵に言い放ち、兵庫に斬りかかる。窮地に追い詰められた新八郎は弓で兵庫の右目を射抜く。ぬううと叫んで倒れる兵庫。これでみんなが安心して暮らせるようになるでしょう、と新八郎に感謝する千絵。
しかしダイモンは、新代官となった大舘伊織を狙って、すぐに伊織の血を吸う。右目に眼帯をして伊織の体を乗っ取るダイモン。伊織は前代官殺害の罪で、新八郎を捕まえる。「死罪を申し付ける」途方に暮れる千絵に、我々がなんとかしてやると申し出る油すましたち。
「ダイモンはまだ生きているんやで。あいつ、汚い手を使いよって」「このままにしとくと、日本中の人間がダイモンに血を吸われてしまうぞ」「あんな奴をのさばらせておいたら、日本妖怪の名折れだ」「しかし、どうやって奴を。奴は不死身だぞ」「いや。奴にも弱いところがある。新八郎さんが教えてくれたやないか。目や。残った左の目を狙うんや」「そうか。じゃあ日本全国の仲間を集めよう。一丸となって当たるんだ」
日本全国から妖怪が続々と伊豆に集結し、ダイモンと対峙する。巨大化したダイモンは分身の術を駆使して、日本妖怪軍団に対抗する。「どれが本物のダイモンや」困惑する妖怪軍団であったが、雲外鏡の腹に移ったダイモンが本物であると見抜き、本物のダイモンの左目を槍で刺す油すまし。失明状態になったダイモンはこれ以上日本にいると危険と判断し、海を越えて逃走する。「俺たちが勝ったんや。日本の妖怪が勝ったんやぞ」朝日の昇る中で、鐘の音とともに妖怪たちは踊るようにそれぞれの故郷に戻っていくのであった。