さいとうたかを「ゴルゴ13(555)」 | ロロモ文庫

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リプレイ

ソフトマクロ社社長のゲイリーから依頼を受けるゴルゴ13。「標的はララックス社のウェズリーだな」「そうだ。あのララックスのカリスマ経営者ウェズリーさえ消えれば、ララックスは空中分解する。問題は」「標的のウェズリーはララックス社の社長室の籠っている、ということだな」「そうなんだ。ウェズリーはこの2年半、ララックス社から一歩も出ず、今後も出る予定はないようだ。だから奴のいる40階に行って仕事をしてもらうことになる。だがあのビルの警備が厳重だ。だからその様子を実際にその目で見て、チェックしてほしい」「……」

「さて、ウェズリーの始末にはもう一つ理由がある。ララックスの財務担当責任者はハンス・フィッシャーという男だ。有能だが起業家的野心を秘めるというタイプではない。フィッシャーはかつて私の部下だったが、移籍して今はララックスの重役だ。ウェズリーを消してララックスが崩壊したら、フィッシャーを呼び戻したいと考えている」「わかった。依頼を引き受けよう」清掃員のマーティを拉致して、マーティになりすましてウェズリーを射殺するゴルゴ13。

ウェズリーが射殺されフィッシャーが殺人容疑で逮捕されたと聞いて驚くゲイリー。(ゴルゴ13が完璧な仕事をしたため、ウェズリー暗殺の捜査圏が狭まって、たまたまその圏内にフィッシャーがいて逮捕されてしまったということか。なんてことだ、もう一度ソフトマクロ社に迎え入れようと思っていたフィッシャーを冤罪に陥れてしまうとは。かといって私にはどうすることもできない)

留置されて考えるフィッシャー。(スタンリー弁護士が言ってた自発的に嘘発見器かかるのはうまい手かもしれない。あなたは殺人に関与したことがありますかと質問されれば、答えはノーで、その答えを噓発見器が正しいと保証。いや待て。もし殺人に関与したことがありますかと質問されれば、この質問にはノーと答えるしかないが、私は9年前にゴルゴ13に依頼しているのだ。つまり殺人に関与している。だから計器はノーという答えを嘘だと示すだろう。これはまずいぞ)

(あっ、ゴルゴ13。今度の仕事はゴルゴ13の仕業では。これほど完璧にわけのわからな殺人だからな。そうだ、清掃員だ。彼は清掃員になりすまし、社長を狙撃したんだ、しかしこれを警察に話すわけにはいかない。社長殺しの容疑は晴れても、9年前の件は明るみに出る。いや。それだけじゃあすまない。私がゴルゴ13の関与を警察に示唆すれば、ゴルゴ13は間違いなく私を殺すだろう。私はどうすればいいのだ。清掃員が録画に映っているのは自分ではない、とさえ名乗ってくれれば)

考えるゴルゴ13。(フィッシャーは9年前に俺に仕事を依頼し、俺のことを当然覚えているだろう。そして今回、自分が誤認逮捕され、事件の関係から見て、俺を思い起こしただろう。だがフィッシャーはそのことを警察に話さなかった。彼は契約を守ったということだ。とすれば俺もそれに答えなくてはなるまい)再度マーティを拉致して、マーティになりすまして、ララックス社の社長室を狙撃するゴルゴ13。

自分のアパートで縛られているマーティに事情を聴く刑事。「また東洋人にやられたんだ。失神している間に入館カードを抜かれてこんな恰好にされちまった」「おい、またと言ったな」「今夜は二度目だ。一度目はあの事件のあった夜だよ。俺は麻酔薬を嗅がされ気絶したんだ。朝になって俺はクビを覚悟した。なにせ無断欠勤したからな。だが不思議なことに俺は出勤したことになっている。それでそいつの話に合わせちまったんだ」「バカ野郎。なんで最初からそう証言しなかったんだ。おかげでこっちは誤認逮捕までやっちまったんだぞ」「う」

釈放されるフィッシャー。(ウェズリー暗殺も昨夜のリプレイもゴルゴ13の仕事に違いない。ゴルゴ13の遂行した仕事なのに私が誤認逮捕されてしまった。私は彼の狙撃の可能性を警察に示唆することも出来たが、そうはしなかった。ゴルゴ13、リプレイはそのことへの彼の礼なのか。いや、ゴルゴ13としては自分のした仕事が他人のしたことのように扱われ、彼の中に何か居心地悪い思いをしたのかもしれない。その居心地の悪さをどうにかしようと自分のためにリプレイしたのかもしれないな)(2006年9月)