作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(667)」 | ロロモ文庫

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恍惚のワイン(5)

俺の結論は結論を出すのはまだ早いだと言う山岡。「本音を言うとワインと日本料理は合わないと思う。醤油、味噌、米酢。この三つの調味料とワインは絶望的に合わない。海苔、昆布、ワカメといった海藻類もワインと衝突する」「海藻の持つ磯臭さが不快になるのね」「そして一番の問題は、魚介類とワインの相性だ。フランス人は生ガキと白ワインの組み合わせを喜ぶが、俺は絶対お断りしたい。俺は生のアワビとワインと合わせたことがあるが、死ぬかと思った。どうも生の貝類はワインは難しいと思う」「む。同感だ」

「で、魚だがバターやクリームで魚のにおいを包んでやる料理法でないとワインは難しい」「塩焼きにすると魚のにおいが立つ。そこが香ばしくて塩焼きの良さだけど、その香ばしい魚の香りがワインとぶつかる」「でも塩焼きの魚と日本酒はなぜ合うのかしら」「それはワインと日本酒の成分の違いのせいだ。ワインも日本酒もいろいろな有機酸を含んでいるが、その酒類が違う。そしてワインは日本酒よりはるかに多くの香りの成分を含んでいる。そのワイン特有の有機酸と多くの香り成分が生の貝や魚に出会うと不快なにおいになってしまう」「その通りだ」

「一方でアミノ酸の量を比べると、日本酒のほうがワインよりたっぷり含んでいる。アミノ酸は旨みの成分だ。これが魚介類の旨味成分と出会うと、互いに旨味を増幅しあう」「じゃあワインは日本料理に合わないでいいだろう」「この段階で日本料理とワインの組み合わせを全否定していいのか」「ぬ」「京都の超一流の料理屋に行っても、鮎の塩焼きにはビールを出す。ビールが鮎と出会ったのなら、ワインだって何か日本料理と出あえるじゃないか」「ぬう。ワインと日本料理は合ったら、ワイン評論家をやめるなんて言った私は、考えが浅かったようだ」「とんでもない。真剣にワインに取り組んでいる姿に感服しました。私を弟子にしてください。私はソムリエ志望なんです」「ぬうう」「上杉、弟子にしろ」「わかった」