作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(666)」 | ロロモ文庫

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恍惚のワイン(4)

料理もワインも本番だと言う上杉。「今度はマグロとコンニャクと伊勢海老の尾の身の刺身だ。刺身に合わせるワインは白ワインの最高峰モンラッシェ1990年、赤ワインはオーストラリアのブロークンウッド1987年。ともに文句なしのワイン。さあ合わせるぞ」

「ぬ。マグロは豊かなモンラッシェがやせていがらっぽく感じる。ブロークンウッドはひどく荒々しい感じになる」「私は赤とマグロは悪くないと思う」「ロブスターと白は合うと思う。でも生臭く感じてしまう」「ロブスターを醤油もわざびもつけずに食べると、モンラッシェとは合うみたい」「わさびと醬油がワインといけないんですかね」「そうなんだ。私は以前から醬油とワインの相性の悪さの悩まされてきた」「確かに醤油だけをなめて、そのあとにワインを飲むと無残だ。ワインは香りも味も失ってしまう。醬油ってなんて強い性格なんだ」

次の料理とワインだと言う上杉。「料理は甘鯛の蕪蒸しと銀むつの西京焼き。赤蕪シソ漬けとベビーほうれん草の白和えを添えた。ワインは白はオーストラリアのヘンシュケ1998年、赤はシャトー・オー・ブリオン1971年。ともに文句なしのワイン。合わせろ」

「ヘンシュケと甘鯛の蕪蒸しは合うね」「この甘鯛は蕪蒸しにしたので、あまり生臭さを感じさせないんだ」「この蕪蒸し、シャトー・オー・ブリオンとも悪くない」「でも西京焼きはダメ」「西京味噌のせいだ。醤油のほかに味噌もワインとはうまくいかない」「銀むつの付け合わせの白和えは白とも赤とも合う。野菜と豆腐はワインと喧嘩しないんだ」

次の料理とワインだと言う上杉。「料理は蒸しアワビそうめん。海老とオクラ。そして納豆の天ぷらだ。ワインは白がオーストラリアのリンデマン・シャブリ1970年。赤はブルゴーニュの銘酒エシェゾーの1981年。ともに文句なしのワイン。合わせろ」

「意外だな、海老の天ぷらとエシェゾーはいい組み合わせだ」「私は赤はダメだと思う」「天つゆで食べると、リンデマンともエシェゾーとも合う」「さっきの甘鯛に続いて、ワインに合うという日本料理が出たわ」「海老の天ぷらじゃ生臭さがないから、塩で食べればワインと合うもやいだ」「アワビとリンデマンはいいと思う。エシェゾーは絶対にダメだと思うけど」「納豆の天ぷらとエシェゾー。これはひどい」「醬油、味噌、納豆。日本風の発酵食品とワインはダメみたいだ」

最後の料理とワインだと言う上杉。「料理は伊勢海老も鬼瓦焼き。アワビの肝の酒蒸し。そして酢ガキ。紅葉おろしとポン酢を乗せてある。ワインは赤のシャトー・ラフィット・ロトシルドの1981年だ。文句なしのワイン。合わせろ」

「伊勢海老は焼くとにおいが強くなる、そのにおいがラフィットを殺すわ」「このカキとワインと来たら、イヤなノイズに悩まされる感じだ。ポン酢も紅葉おろしもかけずに、生ガキとして食べてラフィットを飲むと、なんだがドブの水を飲んだようなにおいと味に苦しめられます」

山岡にこれだけワインと日本料理を試せば十分だろうと言う上杉。「ワインと日本料理、合うか合わないか結論を出そうじゃないか。私がワイン評論家をやめろか、お前が責任を取るか、結論を出せ」「ぬう」