作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(637)」 | ロロモ文庫

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日本全県味巡り大分編(2)

説明する山岡。「京都でも棒鱈と呼ばれる干し鱈を戻し、エビイモと煮るイモ棒という料理がある。だが棒鱈は鱈の身の方だが、このたらおさはエラと消化器だけだ」「この地方では江戸時代からお盆にたらおさを食べるならわしがあった」「日本人の海の魚に対する愛着と執念を感じるな」「しかし三隅川のほとりで、この地方の名物が鱈のエラと消化器の干物とは意表をつかれたな」「もちろん三隅川の恵みもたくさん用意してある」

うるか2種を出される山岡たち。「うるかは鮎の塩辛だな」「うるかと言うと、内臓をつけこむものが多いが」「ここは両方とも身うるかだ。内臓だけのものでは苦味が出て、脂も強いので塩分を多くする」「うるかの好きな人はその苦味が好きなんだな」「これにも内臓は使ってる。右の身うるかは目玉、エラ、ヒレをはずして、残りを全部すりつぶして、岩塩だけで味付けして一週間ほど寝かせたものだ」「ぬ。内臓だけと違って、身も一緒にすりつぶした分、味が柔らかくふくらみあがる」「左の方は鮎の身を切り身にし、内臓で和えて、岩塩で味をつけて寝かせている」「中身は鮎の身の歯ごたえと甘みを保っている」

こいものうるか煮を出される山岡たち。「ぬう。ねっとりしたこいもの感触と、うるかの風味の取り合わせがたまらない」「川の幸のうるかが山の幸のこいもと一緒になって、大地の恵みというべき新しい味を作り出している」

由布院で有機栽培の野菜を食べる山岡たち。「このキュウリを曲げてみろ。しなやかで折れにくいが汁気たっぷりで歯ごたえバリバリだ。へたの方の緑の濃い部分をかじってみろ」「ここはえぐいんじゃないのか。ぬ、甘い」「牛堆肥で栽培してるかだ。これが化学肥料だと、その部分にアクが出て、えごくなってしまう」

「ここのトマトはひと昔前のサターンという品種を使っている。桃太郎などに比べると耐病性に優れているし、酸味があってトマト独特の香りが強い。ハウス栽培にするのは雨よけをしないと病虫害を防ぎきれないからだ。基本的には無農薬だが、アブラムシは発生した時や、長雨が続いてオンシツコジラミが発生した時には使わざるを得ない」「む、このトマト、懐かしい」

「ここのトウモロコシは除草剤を一切使わないから、雑草がいっぱい生えている。アブラムシが出た時だけは農薬を使うが、土を銀色のビニールシフトで覆うと、光を嫌がるらしく、アブラムシを防げる」「ぬ、アブラムシのそういう習性を研究しないで、農薬を使わない努力をしているわけか」

鯉の洗いを食べる山岡たち。「大分では鯉をよく食べるんだ」「ほう、ずいぶんコクがある」「鯉というと泥臭いかと思ったが、そんなことはない」「俺は今まで鯉を敬遠していた。小骨があってにおいがして味がやせている。でもこの鯉は全然違う」「こういう鯉を食べると、日本人が昔から鯉をありがたがってきた理由がわかる」「この皮の湯引きもいい。ゼラチン質で心地いい歯ごたえだ」