作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(602)」 | ロロモ文庫

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ポン酢の秘密(前)

島高部屋でちゃんこ鍋の取材をする山岡。「こちらは金車運輸の桁川社長。うちの後援会の役員をお願いしてる。今回はタラのチリ鍋を用意した」「おお、スダチ。胸がすくようないい香り」「チリを食べるのに何といっても肝心なのはポン酢だ。今回は桁川社長にスダチをたくさんいただいた。めいめい小鉢にスダチを絞り、醤油を加えてお好みに合わせてポン酢を作ってくれ」「わしの出身地である徳島の最高のスダチだ。スダチのポン酢で食べればどんな肉でも魚でも持ち味を存分に引きだすのだ」

そこに現れる島高部屋の後援会の役員をしている大九全三の社長の早田。「ぬう、スダチだと。親方、カボスを持ってこい」「ぬ」「ちゃんこのポン酢はカボスでなきゃダメだと言っただろう。スダチは味が尖って下品だ。焼き魚なんかに直接しぼってかけるにはいいきかもしれんが」「ぬ。スダチは香り一番の松茸と切っても切れない間柄にある。それに比べてカボスなんて、ぼけてだらしのない味だ、大分でとれるカボスなんかありがたがるのは下品な人間だけだ」「ぬうう」「ぬうううう」

お前らずれてると桁川と早田にいう山岡。「ポン酢を作るのにスダチもカボスも少数派だ。俺の知ってる限り、専門の料理屋のほとんどはポン酢には橙を使っている。と言ってスダチがポン酢に向いてないわけじゃない。ただ同じ量の果汁を手に入れるのに橙の数倍の手間がかかるし、スダチの方が橙よりも高価だ。それが料理屋でスダチが敬遠される理由だ」「味や香りに問題ないんだ」「カボスは大分では300年以上も前から栽培されてるが、東京や関西に広まったのはこの20年のことでまだ馴染み深くない。それが料理屋であまり使われない理由だ」「味や香りに問題ないんだ」

そこに島高部屋にイノシシの肉を届けに現れ、ポン酢論争についてに話を聞く海原。「ぬ、士郎、だいぶ偉そうな口をきいたようだな」「ポン酢の常識を語っただけだ」「常識か。では教えろ。ポン酢のポンとは何の事だ」「ぬ」「ポンが何か知らずにポン酢について云々するのは愚劣極まる」「ぬうう」