作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(603)」 | ロロモ文庫

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ポン酢の秘密(後)

来週に激励会の会合があったなと島高親方に聞く海原。「東西新聞社の大原社主も参加するな」「はい、今度の激励会に博多からアラを取り寄せていただくことになりました」「アラ鍋とあらばポン酢は不可欠、だがアラにはどんなポン酢がいいか、大原社主に教えていくだくことにしよう。そしてポン酢のポンとは何か、ポン酢の本質とは何か教えてもらおう」

後援会の会合で橙とカボス、橙、スダチ、カボスを使った4種類のポン酢とアラ鍋の食前酒にパンチを用意する山岡。「ではポン酢とは何か説明する。ポン酢というのが一般的だが本当はポンス醤油が正しい。ポンスはオランダ語でそのもとの意味はパンチのことだ。おパンチはラム酒、紅茶、砂糖、水、レモンの絞り汁の5つの材料でできている。ヒンズー語では5がパンチだ。インドではこの世界では地水火風空の5つの元素で出来ていると考えられていて5という数が尊ばれてきた。だから飲み物も5種類の材料を混ぜたりする。その飲み物をイギリス人の船乗りたちが好んで飲み、英語でPUNCHというようになった。それはオランダ語になってPONSというようになった」

「日本人がポンスに出会ったのは江戸時代。長崎・出島のオランダ商館だ。ポンス、すなわちパンチにはレモンやオレンジなどの絞り汁を入れる。それからポンス自体、柑橘類の絞り汁を意味するようになり、酢醬油の酢のかわりに柑橘類の絞り汁を加えて、ポンス醤油と呼ぶようになった。そのポンスのスが酢と同じ音なので、ポンス醬油がポン酢となったのだ」

「インド人、イギリス人、オランダ人はパンチにレモンやオレンジの絞り汁を使った。しかし日本にはレモンもオレンジもないので、日本で手に入りやすい橙を使った。それからわかるようにポン酢に使う柑橘類はなんでなければいけないという決まりは最初からない。橙でもスダチでもカボスでも自分の好みの柑橘類を使えばいい。ここでもう俺の作ったポン酢だ」「ぬう。これは醤油でない、ベトナムのニョクマムだ。となると使った柑橘類も日本のスダチによく似たチャンというみかんだ」「ぬう。正解だ」「むう、ポン酢はどんな柑橘類を使ってもよいし、醤油も魚醬でもよいということか。大原さん、アラも美味しいし、ポン酢もいろいろ楽しめた。いい激励会になりましたな」