作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(574)」 | ロロモ文庫

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それぞれの才能

ブリと大根を煮る音痴なのに歌手志望の邦子。「ぬう。いい香りだ。味付けも見事。煮具合もいい塩梅だ」「生姜をたっぷりきかせて、日本酒と醤油で煮ただけよ」「そのだけが難しい。ブリはちょっと間違えると生臭さは強く出て鼻につく。こういう具合に少しも生臭くなく煮るのは難しい」「そうかしら」「大根も煮すぎるとやせてしなびた感じになるが、これはふっくらと瑞々しく柔らかい」「そうかしら」

大根の煮物を二つ作る山岡。「これは何の香りだ」「イカかな」「これはタコよ」「え。タコと大根を煮るの?」「タコを煮るのにはいろいろな料理法があるが、ヘタに煮るとタコは固くなる。タコを柔らかく煮るのに一番優しい方法は、大根と一緒に煮ることなんだ」「そうか。私、タコを柔らかく煮るのにいろいろ苦労したの。大根なんて盲点だわ。しかもタコを柔らかく煮た上に、こんなに大根が美味しくなるなんて素敵だわ。私、これ、自分で作りたい」「作れ」

「さて、右の大根だが」「これは海産物の匂いじゃない」「じゃあ肉だ」「牛肉だな」「牛肉はこんな匂いじゃないわ。これは豚肉、それも脂の味がこってりすりうからバラ肉ね」「正解。大根は脂肪分と合うと、とても甘みが増して力強い味になる」「だから、豚のバラ肉と煮ると肉の旨味と脂身の旨味が重なって、旨味と甘味が増すのね。私、これも作りたい」「作れ、作れ。お前、歌手の才能はないけど料理の才能あるから、料理人になれ」「なるからタコと豚のバラ肉を食べさせて」「ぬう」