作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(575)」 | ロロモ文庫

ロロモ文庫

いろいろなベスト10や漫画のあらすじやテレビドラマのあらすじや映画のあらすじや川柳やスポーツの結果などを紹介したいと思います。どうぞヨロピク。

食欲不振の治療薬!?

もう若くないから何も食う気がしないという沢村に元気を出させてやると言う山岡。「おお、これは」「あんたが40年前の学生時代の下宿の味を再現した。まず青じその葉の味噌巻き焼き。砂糖で甘味をつけた味噌を青じその葉で巻いて、それを油をひいたフライパンで、シソの葉がパリッとなるまで焼く」「う」「次が豆腐と魚の揚げ物。豆腐の水を切り、魚の白身を加えて、すり鉢でよくする。すったものを丸めて油で揚げて、醤油味のあんをかける」「ぬ」

「次が鯨のカツ。昔は豚カツなんかぜいたくで下宿では出せなかった。代わりに食べたのが鯨の肉。鯨カツは下宿では欠かせないおかずだった」「む」「そしてひじきご飯。ひじき、ニンジン、油揚げを醤油で甘辛に煮て、ご飯に混ぜる。ひじきは栄養がるし、ご飯の量も増えるから、大飯くらいの学生を養うのに役立った」「ん」「そしてシジミの味噌汁。当時、日本は貧しかったけど、自然は豊かだった」「あ」

下宿飯を食べる沢村。「思い出すよ、下宿生活を。このしそ巻き一本で、ご飯一膳軽く食べたものだ」「下宿のおかずは少しで沢山ご飯を食べられることが肝心なのね。鯨カツのこの匂いと感触、私は好きだわ」「今でこそ鯨は高価なものになったが、昔は鯨というとだいぶありがたみが少なかったね。しかし戦後の日本人を鯨が養ってくれたんだよ」「シジミは昔は都内を流れる川で取れた。経済発展の代償に我々が失ったものは大きい」

「でも、この下宿料理美味しいわ。安い材料では学生たちがお腹いっぱいになるように考えてあるのね」「ほんとに懐かしい。私たちが一生懸命勉強できたのも、こういう食べ物が支えてくれたからだな」「あんた、このまま終わっていいのか。人生を踏み出した時の味を失っていいのか」「ぬうう。いいわけないだろ」