作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(549)」 | ロロモ文庫

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新入社員のお手柄!?

チャラいくせに俺は料理が好きだと山岡に言う政治部に配属された新入社員の竹間。「日本人に生まれてよかったと言うのを作ってやる。油揚げを網で焼いて、ちょっと焦げ目がつく程度に焼けたら、アツアツのうち5ミリほどの幅に切る。釜揚げしらすをさっと蒸して温めて、今の油揚げに混ぜる。これをご飯の上にたっぷり乗せて、大根おろしを添えて完成。大根おろしにはすでに醤油がかかっている。食ってみろ」

「ぬう。いい塩梅に焦げた油揚げのぱりぱりした歯ざわり。蒸したシラスのふっくらした舌触り。この取り合わせは快感だ。油揚げのこくのある甘さ、釜揚げしらすの軽やかな甘さ、それをさわやかな大根おろしの風味が引き締める。そして温かなご飯をすべてが受け止める。簡単だが、どの材料をどう調理して他のどんな材料を取り合わせると美味しいか見つける。これが料理の基本だ」「あんた日本人に生まれてよかったものを作れ」

料理を作る山岡。「海苔をちぎって鍋に入れて酒を加える。海苔は箸でさらにほぐすようにしてやりながら煮る。海苔が完全に崩れたら醤油を加える。たたみ鰯を炙る。焦がさないように気を付けて、こんがりパリッとなったら小さくちぎって、それをご飯の上に乗せる。このたたみ鰯の上に、今煮えたばかりの海苔をたっぷり乗せて、食え」

「ぬう、海苔の香りがいい。味が素直で優しい」「良い海苔と酒と醤油だけでさっと煮る。煮すぎてはだめだ。風味が失せるからな。市販の海苔の佃煮なんか比較にならん」「わずかに苦みのあるたたみ鰯の風味はそれだけでは深みがないが、この煮た海苔と一緒になると素晴らしく味がふくらむまた。それがご飯と合う」「日本人に生まれてよかったな」「そうだ。大物政治家の日柄が過労で倒れて、いつも食ってる料亭の料理を受け付けない。これなら食うだろう」「食わしてやれ」