疑惑の渦巻 | ロロモ文庫

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高級デパートで安物のブローチを万引きした容疑で警備員室に連れていかれ、警察に訴えると言われるアン。それはやめたほうがいいと言うコルボ。「お前は誰だ」「支配人の知り合いだ。このままでは店の評判に傷つくことに」「なぜだ」「彼女は著名な精神分析医のサットン先生の奥さんだ。泥棒扱いすれば彼女と店は信用を失う」「確かにサットン先生とは多額の取引がある」「彼女は心の病気に違いない。裕福なご婦人を泥棒扱いするな」「面倒は避けたい。警察には届けない」「その方がいいだろう」

コルボに呼び出されてレストランに行くアン。「ご主人に黙っていたのは正解だ。秘密がある方が夫婦はうまくいく」「……」「脅迫されると思って気が気じゃないな。ご主人は著名な精神分析医だが自分の妻に盗癖があることに気づいてないとは」「……」「新聞に書かれたら評判はガタ落ちだ」「わかった。払うわ」5000ドルの小切手を渡すアンにサットン医師の妻としてあるまじき行為だと言って、小切手を破るコルボ。「まず脅迫者に金を渡してはいけない。さらに悪いのは私を悪人と信じたことだ」「……」「かなり傷ついたよ」「ごめんなさい」「来てもらったのは君を安心させたかったからだ」「安心したわ」「今度、パーティーを開く。よかったら来てくれ」

パーティーに来たアンによく眠れるかと聞くコルボ。「いいえ。あの日から眠れないの」「睡眠薬は?」「飲んでも余計に考え込んでしまって。夫に別の薬を頼もうかと」「やめたほうがいい。ご主人は専門医だ。不眠症と知れば原因を探ろうとするだろう。君を患者と同じ目で見るようになる」「眠りたいの」「治療が必要だ。だが医者に頼めば、同業者からご主人の耳に入るだろう。だから占星術師に頼むしかない。たとえ医師免許がなくてもね」「あなたの患者になりたくない」「もうなってる。君には盗癖があり、心に問題を抱えている。ひどく苦しんで、私に助けを求めてるんだ」「……」「君は献身的に夫を支える冷静な妻を演じてきた。私が治療をしよう」アンに「11時に寝て、9時間眠る」という催眠術をかけるコルボ。「気分はどうだ」「なんだかスッキリしたわ」「今夜は眠れるはずだ。また明日の3時に来てくれ」「わかったわ」

アンにご主人にお世話になったと言うテレサ。「いい人ね」「そうでしょう」「コルボと親しいの?」「いいえ」「彼を知ってる。気を付けて。人妻は狙われやすい」「どういう意味?」「あなたのために言うけど、彼は危険よ」「余計なお世話よ」「彼はあなたのお金が目的よ。手に入れるまであきらめない男よ」「最低だわ。二度と彼を悪く言わないで」

明日からサンフランシスコの学会に行くとアンに言うサットン。「出張は3泊だ。君と離れるのは寂しいが」「私もサンフランシスコに行っても?」「昼も夜も会議で一緒に過ごせない」「すごいわ。淋しいけど誇らしいことね」「今日のパーティーは?」「楽しかったわ。なんだかすごく眠いわ。今、何時?」「11時だ」「悪いけど、もう寝るわ」

あなたのおかげで安眠できたとコルボに言うアン。「生まれ変わった気分よ。不眠症がウソみたい」「それはよかった」「昨日、あなたの噂を聞いたわ」「テレサからか。彼女は私の患者だったが、今はご主人が担当だ。言うことを信じるな」「……」「まだ、不眠症の治療を続けたい?」「ええ」

奥さんをテレサ殺しで逮捕したとサットンに言う警部補のコルトン。「被害者の首に巻かれたスカーフは奥さんのもので、私が殺したと警察に電話してきました。しかし今は何もわからないと供述しています」「……」「奥さんとコルボの関係を知ってますか?」「彼と何の関係が?」「奥さんとコルボは親密な関係だ。嫉妬した奥さんが被害者ともめたらしい。パーティーでね」「……」「それから毎日奥さんはコルボの家に行っていた」「とにかく妻に会わせろ」

訳が分からないとサットンに訴えるアン。「助けて。お願いよ」「必ず君を救い出す。とにかく本当のことを話してくれ」「ええ」「コルボとの関係は?」「何回か会っただけだわ」「それで?」「それだけよ」「なぜコルボと会った?」「治療のためよ。私は病気だったの」「あんな偽医者にか?何の病気だ?」「……」「どこで彼と出会った。全部話してくれ」「頭が混乱してきた。もうやめて」「アン」

妻はコルボをなぜかかばっているとコルトンに言うサットン。「犯人はコルボだ。テレサは彼の愛人だ。彼女から6万ドルだまし取った。彼女の娘が相続するはずの遺産だ」「その話はテレサが?」「治療の過程で聞いた。会話の録音も残っている。僕はテレサを説得した。娘にすべて話してコルボを訴えるしかないと」「……」「訴える前に始末されたんだ」

入院しているコルボを手術したのは昨日の2時だとコルトンに言う医師のウェイン。「16時間前だな。何の手術を?」「胆嚢の手術です。一年前から具合が悪かったので。今は容態は安定しています」コルボのアリバイは証明されたとサットンに言うコルトン。「君には期待外れの結果だった」「とにかく録音を聞いてくれ」保管庫からテレサの録音レコードがなくなっていることに気づくサットン。「保管庫を開けられるのは?」「私と妻だけだ」

サットンほど優しい人はいないとコルトンに言うアン。「だから彼に嫌われたくなかった。でも私は決心した。本当のことを言って彼と別れようと」「……」「事件の解決につながるなら話すわ。私は泥棒なの」「何を盗んだんだ」「万引きを。これまで何度も。こんな女は離婚したほうがいい。それが彼のためだわ。最初は学生の頃。どうしてもやめれず、彼にも言えなかったの」

話ができるかと聞くコルトンに少しならと答えるコルボ。「手短にすませる。アンと初めて会ったのはデパートか」「ああ」「万引きした彼女を助けた」「その通りだ」「君は手術で助かった。テレサから6万ドル返せと訴えられたそうだな」「……」「君には十分動機がある。しかし逮捕されたのはアンだ」「俺がテレサを騙したという証拠でもあるのか?」「……」

絶対にアンは殺してないとコルトンに言うサットン。「レコードを持ち出したのはアンしか考えられない。最初はコルボをかばうために盗んだのかと思ったが、アンは盗癖があることを知ったコルボは催眠術でレコードを盗ませ、テレサの家に行かせた。死体は用意されたんだ」「真犯人は?」「コルボだ」「彼にはアリバイがある」

彼のアリバイは信じられないとコルトンに言うサットン。「こんな記事がある。1948年にハンブルクの新聞に載った実話だ。外科医が自己催眠状態で自分の虫垂炎手術をしたそうだ」「信じがたい話だな」「自己催眠を使い、病院を抜け出して、テレサを殺したんだ」「胆嚢の手術だぞ」「絶対にアンは殺してない。彼女を現場に連れて行ってくれ。私も同行する。必ず何かを思い出すはず。いや、私が思い出させる」「……」

刑事たちがなんか話してたとコルボに言う看護婦のエレン。「被害者の録音レコードを聞けば犯人がわかるらしいわ」「……」「レコードを必死で探してるそうよ。レコードが見つかり次第、逮捕すると」「そうか」「明かりを消す?」「ああ、眠くなってきた」ヘッドライトをつけ鏡で自己催眠をかけ、ベッドから起き上がり、テレサの家に向かうゴルボ。

テレサの家に行くアンとサットンとコルトン。「ダメ。まったく覚えてないわ」「心から望めば思い出す。本来の自分を僕に隠すクセがついているんだ」「もう盗癖は知られたわ。泥棒をする妻なんて嫌いになったでしょ」「泥棒じゃない。心の闇を見抜けなかった僕のせいだ」「……」「君を治したい。僕を信じれば治る」「でもどうしても」「コルボが忘れろと命じたからだ。まだ指令が効いてる。彼に従う必要はない」

思い出したと呟くアン。「この家に来た。きっと殺人を思い出したのよ」「それはない。よく思い出してくれ」「そうだわ。彼女はここに座ってた」「ここに来る前、診察室に寄ったね」「ええ。保管庫を開けたわ。テレサのレコードを持ち出し、二階のクローゼットに隠したわ」クローゼットでレコードを持ったまま出血多量で死ぬコルボ。コルトンはサットンに奥さんを釈放すると言うのであった。