作:雁屋哲 画:花咲アキラ「美味しんぼ(386)」 | ロロモ文庫

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過去との訣別(前)

退院した山岡に命令する小泉。「今、相模湾で甘鯛がえらく釣れているので、今度の日曜日に情報産業釣友会は甘鯛釣りに出撃することになった。甘鯛は高級魚。ただ釣るだけではもったいない。美味しく料理をしようと言うことになった。栗田君と腕の立つ料理人を手配して、船宿で甘鯛を美味しく食べる支度を整えるんだ」「ぬう」

妹のゆう子のことで頼みがあると山岡と栗田に話す団。「妹と結婚したと言う青年が現れた。真面目で働き者の好青年だ。ところが妹は結婚したくないと言う」「どうしてですか。妹さんもその人のこと、好きなんでしょう」「うん、間違いない。あの苦しみ方は普通じゃない。愛しているのに結婚しないと決めたからあんなに苦しんでいるんだ」「団さん、妹さんは自分の堕落していた過去を気にしてるんじゃないか」「僕もそう思う。山岡さん、栗田さん、妹に会ってやってくれませんか。妹はお二人には心を開く」

私は結婚できないと言うゆう子。「立村さんには私の過去を知られたくない。と言って、立村さんにウソは言えない。だから結婚できないのよ」苦難を乗り越えてきた人間は輝いていると言う山岡。「どんな過去があっても、今の輝きを生み出すための肥料なら、それでいいじゃないか」「そうだよ、ゆう子。その通りだ」「……」

「逆に言うと、ゆう子さん、その立村さんて方を信じてないんじゃないかしら。その方があなたを本当に愛していると確信があるなら、こんなことで苦しまないわ」「そうだよ。君の過去を洗いざらいぶちまけて、それで変なことを言う男は、こっちからお払い箱にしてやればいいのさ」「……」

「立村さんの職業は?」「調理師です。日本料理店に働いています」「むう。ゆう子さん、今度の日曜日、立村さんに仕事を頼めないかな。船宿に出張して料理をしてもらいたいんだ」「え」「料理を作らせてみれば、その人間がどんな人間かわかるよ。その結果、この男なら大丈夫と我々が判断したら、ゆう子さん、思い切って、君の過去を率直に語るんだ」

甘鯛が大漁だと喜ぶ小泉たちに立村を紹介する山岡。「今日の料理をしてくれます」「おう、よろしく頼むよ」「精一杯頑張ります」「お相伴に預かりに、妹も連れてやってきました」「これは団社長、妹さんもようこそ。沢山釣ってきましたから、腹一杯食べてください」

俺はあの二人に賭けると栗田に言う山岡。「俺は両親のことで結婚に疑いを持っていて、それで君に対して、本当のことが言えなかった。でもそれでは事情が違うが、過去に捉われてためらっているゆう子さんと変わりはない。ゆう子さんが過去なんか屑籠に突っ込んで、立村さんと結婚できるように全力を尽くす。それに成功したら、俺も過去はゴミ箱に叩き込む。そして次は俺の番だ。君に結婚を申し込む」「山岡さん」