新宿泥棒日記 | ロロモ文庫

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1968年夏の新宿。紀伊国屋書店に入った鳥男は、本を万引きしようとするが、女店員のウメ子に見つかり、社長の田辺茂一のところに連れて行かれる。警察行きですか、と鳥男に聞かれ、何も答えない茂一。警察に行くまで限界は3回、と鳥男に言うウメ子。翌日、大量の本を本棚から抜き取った鳥男は、ウメ子にまた茂一のところに連れて行かれる。3回までいいと言ったじゃないか、とウメ子を非難する鳥男。

昨日が予告で、今日が本番かね、と言う茂一は、ここにあるのは店の売り物だからあんたにあげられないと鳥男に言う。「私の売れない本をあげよう」自著「裸像との対話」を鳥男に謹呈する茂一。ほかの店員はいちいち万引きした奴を私のところに連れてこないよ、とウメ子に注意する茂一。

勤務を終えたウメ子を待つ鳥男。「私、今晩8時と男と会うの」「何するの」「寝るの」「寝るより、よっぽどよかったよ。万引きする感じ。危うく射精しそうでした。この本はあんたに謹呈するよ」

ウメ子はネグリジェを万引きする。おめでとうとウメ子に握手する鳥男。あんたはこれを来た私を見るべきよ、と言うウメ子。二人は抱き合うが、ウメ子はぜんぜんと言う。そしてウメ子はスナックで気ちがいのように暴れ、四谷署に留置され、茂一が払い下げる。

茂一は鳥男とウメ子を性科学者の高橋鉄のところに連れて行く。「僕の考えでは男の方があまりに美少年でありすぎると言うか、女の方があまりにしっかりしすぎていると言うか、そこに問題があると思うんです。鳥男さんはまだおっぱいを飲んでるような感じです。ウメ子さんはしっかりしているようでしっかりしてないんです」

「まあ夢二の絵でも見たほうがいいですね。あなたには同性愛の傾向がありますね、ウメ子さん。彼の方は、まだ裸になりきっていない。心が裸になってないわけだ、ある意味では女性的なところが多いようです。ウメ子さんには自己愛が多すぎるようです。そして心の底に同性愛があるわけです。結局、あなたがたは何もできない人間のようです」

続いて茂一はバーに二人を連れて行き、酔っぱらっている俳優の佐藤慶と渡辺文雄と会わせる。「ハレンチに行きます。あなたはセックスについて充足していますか。でもセックスなんて義務じゃないでしょう。愛とはなんですか」「愛なんて人に言うことじゃないですね。男は男。女は女です」「ナンセンス。セックスは何だと答えたいと思ってます。でもいつもそんなこと考えてるわけじゃないんです。女の腕は男を抱くためにあるんじゃない。その腕は掃除するためにもあるんです」

「俺は相手の女が高まっていくかは疑わしいし、疑わしいから生きていくんです。その次元でセックスを考えたいわけです。セックスを統計的に考えることは全く意味がないんです」「つまり、セックスをしたときによかった、悪かったということなんです」「それは部分的な問題しか言ってない。それは全くナンセンスだ。名器でなくても名器にする。それがセックスだ」「じゃあ、セックスって何だ」「これはダジャレじゃなけど、複数形だから二人でやることです。オナニーではないことは確かです」

夜の新宿公園で、ウメ子は鳥男に暴行されそうとするが、佐藤と渡辺に似た男に助けられるが、結局その二人に暴行される。現実と空想が錯綜し、さまざまな情報があふれる中で、ウメ子は本の山を築いて、恍惚の表情を浮かべる。

茂一はこのへんで我々の芝居も打ち切りにしましょう、と二人に言う。「野球だってすぐ9回の裏が来て負けてしまうからね」ウメ子を買ってくれと茂一に言う鳥男。「もういいよ。わかったよ」「買ってください」「私は娼婦。淫売。輪姦されました」「買ってください」「もう遊びはやめだ。ウメ子君。君が偽者だということは初めからわかっていた」あなたを買ったわ、と鳥男に言うウメ子。

花園神社に行き、唐十郎の状況劇場を訪ねる鳥男とウメ子。「何をしようってんだ」「ちょっと違う人間になってみたいんですよ」「やるなら由比正雪だぞ」こんななよなよした男は役者はダメだわ、というウメ子に、役者は変な奴のほうがいいんだ、と言う唐十郎。テントでアングラ芝居を熱演する鳥男は、生理になったウメ子に初めて欲情を覚える。その夜、新宿では群衆と警官隊が激しく衝突するのであった。