女巌窟王 | ロロモ文庫

ロロモ文庫

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九州最南端の町にあるキャバレー「ブルームーン」でルミとエミの踊り子姉妹は妖艶な蝶の舞いを演じて客を魅了していた。町のボスの岩原はマネージャーの矢島にルミをなんとかしろと命令する。「で、ブツのほうは」「打ち合わせ通り運んでいる」「で、荷揚げは」「今晩だ」ルミとエミには慎一という船乗りの弟がいた。「今日はマネージャーに頼まれてきたんだ。何か荷揚げがあるってんでな」「危ないことしちゃダメよ」

矢島はルミに岩原の一夜妻になってくれと頼む。「いやよ、そんなこと」「俺の顔をつぶす気か。いいだろう、生娘じゃあるまいし」「そうしたのはあんたじゃないの。何も知らない私にお酒を飲ませてあんなひどいことを」「なあ、ルミ」「私はあんたを憎んでいるのよ」ルミの説得に失敗する矢島。こんなことだと思ったとつぶやく岩原。「なにがなんでもルミってわけじゃない。妹の方だって構わないぜ」酒と暴力の力でエミを自分のものにする岩原。

麻薬取引と知らず船に乗り込んだ慎一は、岩原と敵対する金竜組に麻薬を奪われてしまう。岩原からリンチを受ける慎一。何も知らなかったから許してやれ、と言う岩原の子分の武史。岩原はなおも慎一に容赦なくリンチを加える。「てめえ、金竜組とグルじゃねえのか」エミは岩原を殺してやりたいとルミにつぶやく。こうなるんなら私が変わってやればよかった、とつぶやくルミ。

武史は慎一が大変なことになっているとルミとエミに教える。「地下の倉庫に叩き込まれて命が危ないんだ」「どうして」「夕べ荷揚げした荷物がなくなって、疑いがかかっているんだ」「慎ちゃんは悪いことができる子じゃない。私たちが慎ちゃんを助けるわ」「それは危険だ。俺が助けてやる。どうせヤクザだ。死んだってもともとさ」

慎一を助け出す武史。しかし慎一はナイフの健のナイフに刺され絶命する。警察に行こうとするルミとエミは岩原に拉致される。岩原は金竜組が大きな麻薬取引をするという情報をキャッチする。「場所は」「樽島の東海岸なんで」「船の用意をしろ」ルミは花売りの少女を使って警察に連絡しようとするが失敗する。樽島にルミとエミを連れて乗り込んだ岩原たちは金竜組を皆殺しにし麻薬と金を奪う。

「次は裏切り者の番だ」ルミに惚れている武史はルミとエミを連れて逃げて、洞窟の中に入る。武史が射殺された瞬間に地震が起き、二人は洞窟の中に閉じ込められる。「手間がはぶけたぜ。これで奴らは生き埋めだぜ」「女はちょっと惜しい気がしますがね。はははは」「さあ、サツに感づかれる前に横浜に飛ぶんだ」

洞窟の中をさまよう二人は生きることに絶望するが、なんとか生き抜いて、海賊の財宝を発見し、洞窟から抜け出し、ヨットで通りかかった横浜在住の青年英次に助けられる。「私たちをこんな目にあわせた奴らには絶対復讐するわ」

それから数年後。岩原と矢島は横浜で岩原組と矢島興業を設立して悪の道を邁進していた。そのころ横浜に巨大アミューズメントパークが設立されることになるが、その創立パーティーになぜか岩原と矢島は招待されなかった。

強引にパーティーに乗り込む岩原。そこに現れる金髪でサングラスの女。「私が二階堂グループの会長の二階堂あやです」岩原を旭ヶ丘に連れ出す二階堂あや。「私はここにアミューズメントパークを作ろうと思ってます」「ほう。何組が請け負うんですか」「岩原組にお願いしようと思ってます」「本当ですか」「私はここに九州のブルームーンと同じキャバレーを建てたいと思っています」「え」

矢島の経営するキャバレーにエミとそっくりの洋子という女が働く。健は洋子を岩原のところに連れていく。「ブルームーンのエミじゃないか」「あら嫌だ。私は洋子よ」洋子を旭ヶ丘にドライブに連れ出す岩原。「わしの手でここにキャバレーを作るんだ」「ブルームーンみたいなやつね」「どうして知っているんだ」「だって、私を見てブルームーンのエミだと言ったでしょう」「そうか。はははは」笑ってごまかした岩原は洋子を抱こうとするが、洋子のピンチを英次が助ける。怒ったの、と英次に聞くエミ。「復讐も痛快だろうけど、もうちょっと自分を大切にしてもらいたいな」「……」

矢島の経営するキャバレーに勤めていた女が、二階堂あやの経営するキャバレー「ブルーシャトウ」に全員引き抜かれるという事件が発生する。マダム相手では勝ち目がないと恐縮する岩原に金儲けの話があると告げる二階堂あや。「危ない仕事なんです。麻薬を安く売る人がいるんです」「麻薬をねえ、で、取引はいつです」「明日の晩11時。場所は第三埠頭」しかしその時刻に警察が現れ、取引は散々な結果に終わり、矢島は二階堂あやの別荘に連れ込まれる。

「いやあ、あの手入れは驚きました」「その話はやめましょう。今夜はゆっくりくつろぎましょう」「この別荘にはあなただけですか」「そうですわ。まあ、どんどん飲んでください。強いんでしょう、矢島さん。私ってお酒の強い殿方が大好き」「今夜は久しぶりに酔えそうだ。さあ、あなたも」「いえ、私は全然いただけないんです」「そうおっしゃらず。私が飲ませてあげる」

二階堂あやに覆いかぶさる矢島。「最初の時もこうなさいましたわね」「え」サングラスをとるルミ。「思い出せて、マネージャー」「ルミ」「そうです。あなたのために一生をめちゃめちゃにされたルミです」「畜生」矢島は車に乗って逃走しようとするが、酒に睡眠薬が入っていたため、正面から突っ込んできた車をよけそこねて、谷底に落ちる。即死する矢島。谷底に落ちる車を見つめて笑うエミ。

矢島が死んで動揺する岩原と健。「何かがおかしい。昨日の取引だって俺は金も薬も奪われた。いったい誰が通報したんだ」「まさか、あの女が」二階堂あやとルミが同一人物ではないかと疑う健。

岩原と健が自分たちの正体を気づいても構わないと英次に言うルミ。「私たちがどんな苦しい思いをしたか。それを今度はあいつらが味わう番なのよ」「しかし、ルミさん。我々は相当彼らを苛めぬいた。復讐は成功したとも言えるんじゃないか」「もっともっと苦しめるのよ。慎ちゃんや武史さんはあいつらに殺されたのよ」

「彼らは法によって裁かれるべきです」「いいえ。私たちの行動が間違っていてもいいんです。わたしはあいつらが生きている限り、必ず復讐してやるつもりです。あなたには私たちの本当の苦しみがまだわからないんだわ」そんな言い方はひどいとルミを非難するエミ。「私たち英次さんにどれだけ感謝していいかわからないのよ」

健はルミを遊園地に追い詰めるが、ルミの策略に引っかかって、観覧車から墜落死する。健が死んだと聞いて国外にでも逃走しようと考える岩原の前に現れる英次。「主人があなたに是非見ていただきたいものがあるそうです」ブルーシャトウに連れていかれる岩原。「あなたの他に客はいません。ゆっくりご覧ください」ルミとエミの妖艶な蝶の舞いをこれでもかと見せつけられる岩原。やめてくれ、わしが悪かった、と絶叫する岩原は警官に逮捕される。

あなたが警察に知らせたのね、と英次に聞くルミ。「これ以上黙ってみてられなかったんです。それでエミさんと相談して警察へ」「ごめんなさい、お姉さん」「わかっていただけますか」うなずくルミ。数日後、ヨットに乗って新婚旅行に出かける英次とエミを見送るルミなのであった。