女王蜂の逆襲 | ロロモ文庫

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関東桜組の女親分である珠美は子分の松とおとみを引き連れて鬼怒川温泉に現れるが、さっそく黒部組のチンピラと絡まれる。颯爽とチンピラどもをやっつけようとする珠美であったが、突如現れた無鉄砲の政と名乗る男がチンピラどもを蹴散らす。珠美に挨拶する政。「どうだい。怪我はなかったかい」「ふん。余計なお節介を焼いてくれたよ」「こいつは気の強いお嬢さんだ」「頼みもしないのに横から出てきて、謝りなさいよ」「まあ、女は女らしくしとなないと、お嫁さんの貰い手がなくなるぜ」「ふん」

温泉旅館の大滝荘に泊まる珠美一行。主人の慎介の父は大滝組の組長で珠美の父と友人であったが一年前に投身自殺をしていた。「珠美さんのお父さんは怒ってらっしゃるでしょう。大滝一家の跡目を継がないで旅館経営なんて」「いえ。父は喜んでいますよ」

黒部組の組長の黒部は元湯の権利を譲れと父に絡んでいた、と語る慎介。「それで慎介さんの代になって何も言わないの」「ええ。僕は共同経営者である牧場主の花島さんに一任しているんです。黒部は元湯の近くでボーリングしてまして、今出ている湯を全部買うと豪語しているんです」「ふうん」

ボーリング場にいる黒部の前に現れる政。「こんなところ掘っても湯は出ませんぜ。あっしはこういうことにちょっと学があるんで」「ふざけるな。専門家に調べさせてあるんだ。ケチをつける気か」「いえ、あっしは職探しに来ただけで。黒部組は景気がよさそうなんでね」珠美に父の死はどうしても自殺と思えない慎介に、私もそう思うと答える珠美。「それで私は真相を探るためにここに来たのよ」

黒部組の経営するキャバレーのダンサー蘭子の妖艶な魅力に夢中になった花島の息子の順吉は賭博にのめり込んで、蘭子に多額の借金をしていた。賭博場に現れた珠美はすぐにイカサマを見抜き、黒部と対峙する。「私に何か用かね」「あくどいことをする男の顔がどんな顔か、ちょいと拝見にあがったんですよ」

「美人の口からそんな言葉を聞くとはとんだ艶消しだ」「ふん。お前さんも食えない男らしいね。まあいいさ。そのうちあたしが尻尾を掴んでやるからね」そこに現れた政は黒部組にチンピラどもをボコボコにする。「黒部組には大したのはいないね。黒部さん、俺を雇ったらどうです」「ふん。流れ者を雇う馬鹿がどこにいる」

黒部は自分の掘っているところから湯は一滴も出ないと言われて、順吉に今まで貸していた金を返せ、と命令する。「僕は蘭子さんから借りてるんです」「蘭子は私の女です。早く三百万返してください」「……」「そんな金がないという顔ですねえ。あなたのお父さんは元湯の権利をお持ちだ。あれで借金を棒引きしましょう」

元湯の権利書を手に入れて強気な態度に出る黒部。落ち込む花島の娘で恋人の麗子を慰める慎介。「今度のことは僕にも責任がある。僕は共同経営者なんだからね。権利は僕が黒部から取り戻してみせます」「慎介さん。わたし、暴力は嫌いよ」「麗子さん、僕を信じてください。僕も暴力が嫌いだから大滝一家の跡目を継がなかったんです」

慎介は黒部のところに行くが、黒部は相手にしない。激怒する慎介。「あんたのやり方は汚すぎる。うちの父が死んだのも納得できないことが多いんですよ」再び黒部組のチンピラどもをボコボコにし、黒部に自分の強さをアピールする政。「就職運動ですよ」「よし。お前を雇うかどうか入社試験を行う」黒部は慎介を殺せと政に命令する。政は慎介を射殺して、橋から稲荷川に落とす。その光景を見て満足する黒部。

稲荷川から慎介の財布が見つかったと聞いて、麗子は驚いて川岸に駆けつけるが、そこにサブという男に捕まる。「ねえちゃん、いい体してるな。優しく抱いてやるぜ」そこに現れる珠美。「ほお、なかなかイカスじゃねえか、この姉ちゃんよりよっぽど色気があるぜ」「随分飢えてるじゃないか。ムショでも入っていたのかい」「なんだと」「そんなところに入っていそうなご面相してるよ」サブより早くハジキをサブに突きつける珠美。お礼はさせてもらいます、と言って逃走するサブ。

政にあんたが好きよ、と言う蘭子。「牧場の息子といい仲じゃないのかい」「あれは黒部に言われたのよ」蘭子の前に現れるサブ。「お前のことが忘れられなくて戻ってきた」「あんたなんか嫌いよ」「まだ組長とできているのか」政をぶん殴るサブ。やっと手ごたえのある野郎が出てきた、と喜ぶ政。二人は一触即発となるが、黒部はサブを自分の部屋に呼ぶ。

「この土地に戻らない約束だろう」「小遣いがなくなりましてね。あれは去年の今頃でしたねえ。組長に言われて一仕事」「サブ。大きな声を出すな」小遣いをサブに渡す黒部。「二度と来るな。殺し屋には殺し屋の仁義があるはずだ」「そう邪険にしなさんな。俺は役に立つ男だぜ」

政を湖畔に呼び出してハジキを突きつける珠美。「拳銃さばきもサマになってるじゃねえか、跳ねっかえり屋さん」拳銃を出すと見せかけてトンカチを出す政。「こいつは命より大事な道具だ。ところで何の用だい」「慎介さんの持ち物が稲荷川からあがったんだよ。お前さん、真相知っているんじゃないのかい」「俺は何も知らねえよ」「黒部がやったんだろう」「本当に知らないんだ」花島は三百万用意して元湯の権利を黒部から返してもらうが、花島は翌日の新聞に「滝壺で死体。投身自殺か」という見出しで載ってしまう。

旅館業者を集めて演説する黒部。「花島さんが亡くなって気の毒ですが、元湯の権利は花島山の生前に私に譲渡されております。そういうことで湯の使用料金は従来の三倍にします」大滝荘の代理として反対する珠美。「こんな悪党の言うことは聞かなくていい。誰も湯を買わないと絶対に値上げできませんよ」「そうだ。そうだ」しかし湯はストップしてしまい、旅館組合は音を上げる。政は麗子に手紙を渡す。まあ、と驚く麗子。蘭子は黒部が呼んでいると政に告げる。

サブを呼び出す政。「政。お前は組長に俺を消せと命令されたんじゃないのか」「まさに図星。さすがは殺し屋のサブさんだ」「だが、あんたには人殺しはできねえ。そうだろう、刑事さん。組長もとんだ用心棒を選んだものよ。俺はお前と最初に会ったときから臭えと睨んでいたんだ」「はは。刑事さんとは恐れいったぜ。脛に傷もつ奴は誰を見ても刑事に見えるじゃないのかい」「俺の目は節穴じゃねえ」

政にハジキを突きつけるサブ。「地獄に行ってもらうぜ」「手ぶらじゃいけないな」「じゃあ冥土の土産話に教えてやる。一年前の大滝組長殺しもこの前の牧場主殺しも組長に頼まれて、俺がやった仕事よ。なんと素晴らしい土産じゃないか」しかしサブの隙をついてあっさり拳銃を奪う政。「さあ、今の話をしに警察に行ってもらおうか」

そこに現れた珠美はサブを松とおとみに任せて政に語りかける。「みんなそこで拝聴してましたよ。あなたも刑事さんだってこともね」「俺は刑事なんかじゃねえよ」「あたしも刑事さんと同じで一年前の大滝親分殺しを調べにやってきたのさ」「そんなに俺がデカに見えるかな。まあいい。ちょっと来い。会わせたい人がいるんだ」

花島牧場に連れて行かれた珠美は麗子と寄り添う慎介を見て喜ぶ。政のことをよく知っているという慎介。「父が学生だったころの政さんをお世話したんです。橋の上で銃を私に突きつけた政さんは、私を銃で撃ったふりをするから、あなたは撃たれたふりをして川に飛び込んで泳いで逃げてくれと言ったんです。その後、ほとぼりが冷めるまでここにいろと言われたんです。でも花島さんが自殺したと聞いて驚いているんです」

私を騙したのね、と政を睨んだ珠美は黒部組に殴り込みをかける。「元湯の権利は返してもらうよ。大滝親分や花島さんを殺したあんたのやりかたはあくどすぎるよ」「馬鹿な。何の証拠があって」「サブが全部しゃべったんだよ。さあ早く権利を返してくれ。私は気が短いんだよ」

「ふん。返してやってもいいが、桜組の親分ともあろうあんたが拳銃突きつけて返してもらったんじゃ後味が悪いんじゃないですかい」「ふん。泥棒にも三分の理屈だね」権利書を丁半勝負で争うことになるが、珠美は黒部のイカサマを見破り、権利書を奪取する。そして権利書をめぐって花島牧場で決闘が行われ、珠美は政と力を合わせ、黒部を倒す。

事件が解決し、鬼怒川を後にする珠美と松とおとみの前に、リュックを背負った政が現われる。一緒に東京に帰ろうと政を誘うおとみ。「姐さんのところに草鞋を脱ぎなよ」「僕は一年中山の中をほっつき歩く男でね」政の正体を明かす珠美。「あなたが地質調査所の技師さんの田代政一郎さんね」「詳しいんだな」「どう。私のところに来ない」「いや。気ままに歩くのが僕の商売なんでね。じゃあ」ふん、と答えた珠美であったが、松とおとみに先に帰れと命令して、政さん、と叫びながら、政一郎の後を追うのであった。