女奴隷船 | ロロモ文庫

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昭和20年、敗戦濃厚となった日本。マレー戦線にいた須川中尉は重大使命を受ける。「すぐ大本営に飛んでくれ。ドイツの潜水艦がやっとアメリカのレーダーの設計図を届けてくれたんだ」女の写真を渡される須川。「その写真の下に青写真として隠されている。この写真を国本中佐のもとに届けるんだ。いいな、頼んだぞ」「わかりました」輸送機に乗って日本に向かう須川であったが、輸送機は米軍機に爆撃される。

意識を取り戻した須川は自分が貨物船に乗せられていることに気づく。甲板では瑠璃子という娘が水夫たちに拷問を受けていた。早速瑠璃子を助ける須川。「命を救ってもらったのに。この恩知らず」水夫たちを投げ飛ばす須川に、なかなかイキがいいじゃないか、と声をかける妖艶な女。「誰だ君は」「私はこの船のクィーンよ。私が水夫たちに命令したからお前は御陀仏にならずにすんだのよ」クィーンは瑠璃子に船倉に行けと命令する。

貨物船の船長はこの船は「お唐さん船」だ、と須川に説明する。「この船には九州からシナに売られる女が12人も乗っている。どの女も大切な商品だ」あんたの待遇は保証すると須川に太鼓判を押すクィーン。「船長は私の言うことはなんでも聞くのよ。私に逆らうろくなことにならないわよ。私はこの船の女王なんだから」船長は須川を船倉に連れて行けと命令する。

船倉では生活に疲れはてた女たちが蠢いていた。女たちのリーダー格であるお豊はあまりスタンドプレーはしないでくれと須川に頼む。「あとで私たちが女王にいじめられるんですから。まあ私たちは承知してこの船に乗ったけど、瑠璃ちゃんだけは騙されて乗ったんだけどね」「騙されて?」「ええ。この子のおじさんが野戦看護婦になれる言うて、この船に乗らせたんです。ひどい話ですよ」

貨物船は突如海賊船に襲われる。海賊たちは女たちと須川以外を皆殺しにする。大暴れする須川を見てあいつは使えるとつぶやく海賊の首領。「あいつは軍人だな。きっと手下にしてやる」貨物船に火をつけられ、須川と女たちは海賊船に移される。脱出の機会はある、と女たちを励ます須川。

そんな須川に抱いてくれと迫るクィーン。「須川。好きなの。抱いて」「うるさい」須川に突き飛ばされるクィーン。首領は瑠璃子を抱こうとするが、騒々しく騒ぐ須川に邪魔される。「連絡が入りました。陳が須川を引き渡してほしいと。金はいくらでも出すそうです」こいつは金の匂いがしてきたぜとつぶやく首領は、須川の身体検査をし、手帳に挟んだ女の写真を見つける。あわてる須川。「それは俺の妹の写真なんだ」

「こいつは海軍中尉。そして陳はアメリカのスパイ。陳が欲しいというのはアメリカの欲しいものに間違いないな」須川に拷問を加える首領。「お前が持っている秘密はなんだ」「そんなもんは知らん」首領に迫るクィーン。「ねえ。あたし、あんたと取引したいの」「取引?」「女たちの行動を教えるから、あたしを大事に扱ってほしいの。みんなとは区別してほしいの」「それで」「あんたの言うとおりになるわ」「よし」

とある島に到着する海賊船。首領を出迎える陳。「あれですか。日本将校は。さっそく引き渡してもらいましょう」「あわてるな」須川は牢屋にぶちこまれ、女たちのセリ市が始まる。売約済みの女には焼印を押すという残酷な仕打ちに反抗する瑠璃子。「そんなことをしたら私たち全員舌を噛んで死にます」女たちの反抗に業を煮やした首領は、女たちを牢屋にぶちこむ。

陳に須川はどういう価値があるのか、と首領は迫るが、陳は言葉を濁して答えない。クィーンは須川を牢屋から脱走させる。「女たちはどうした。あいつらを置いて逃げるわけにはいかない」「何言ってるのよ、あんたは重大な任務があるんでしょう。あいつらのことなんかどうだっていいじゃないか。私と一緒に逃げて」「何を言うんだ。女たちを見殺しにできるか」「ねえ。須川」「うるさい」クィーンを突き飛ばす須川。そこに現れた陳は須川を自分の船に連れていこうとするが、そこに現れた首領は陳を蹴り倒し、須川とクィーンを捕まえる。

捕虜となった須川を見て、瑠璃子たちは落胆のため息を漏らすが、須川が絶対あきらめてはいけないと瑠璃子たちを励ます。牢屋に放り込まれるクィーンをののしる女たちを制する瑠璃子。「みんな同じ奴隷じゃないの。喧嘩なんかやめてよ」「ふん。こんな奴仲間にできるかよ」「ふん。こっちのほうこそお断りだよ。私はお前さんたちとは生まれが違うんだ。淫売と一緒にされてたまるもんかい」「なんだって」「なんだって」「なんだって」「なんだって」「なんだって」

須川は大事な人間だと主張するクィーン。「だからあの人は早く日本に帰らないといけないの」「だったら須川さん一人が逃げればいいじゃない。須川さんをダシにするなんてひどいわ」「うるさいわね」クィーンとお豊は取っ組み合いの喧嘩を始める。やめて、と叫ぶ瑠璃子。「今の私たちは力を合わせないといけないのよ。仲間割れしているときじゃないわ。須川さんも言ってたでしょう。絶対日本に帰れるという信念を持つのよ」

陳は写真の秘密を首領に教える。「よし。俺が写真をまきあげる。あんたはアメリカさんと交渉して、先方から巻き上げるカネを3倍にも4倍にもしろ。はっはっは。おい、須川を連れてこい」須川は見張りのスキをついて牢屋から脱走し、女たちを自由にする。「さあ逃げるんだ」森の中に逃げ込む一同。全員が逃げたと聞いて、首領は顔色を変えるが、クィーンは行き先はわかっていると首領に密告する。「西側の入江よ」「よし。お前のことは考えておく」

森の中でひと休みする須川たち。瑠璃子は須川の顔をじっと見つめる。「眠れる時は眠っておきなさい。夜が明けるとすぐ出発するから」「あたしたちのことなんかほっといて逃げればよかったのに。足手まといになるだけですわ」「何を言うんだ」「私聞いたんです。須川さん、大切な任務があるんでしょう」「僕は君やみんなのことをもっと真剣に考えているんだ」「……」

一同は海岸までたどり着くが待ち伏せしていた海賊たちに次々と捕まっていく。草むらに隠れる須川の前に現れる一等航海士の海蛇。「驚かないでくれ。俺は今日からお前の味方になるぜ」「え」「俺の命を役立たせてほしいんだ。事情を知った以上、日本軍人として君に協力したい」「え」「陳から聞いて知りました。中尉、自分は脱走兵であります。今までの罪滅ぼしに注意の脱走を手伝わせてください」「脱出の方法はあるのか」「はい。あります」

捕らえた女たちを氷の目で見る首領。「お前ら、どんな目に会うか見せてやる」お豊を射殺する首領。女たちはお前が殺したんだ、とクィーンを罵る。反論するクィーン。「わたしはね、お前さんたちはあんまりいじめるから腹いせに裏切ったんだ」恨みがましい目で首領を見るクィーン。「なんだ、文句あるのか」「あんまりひどいじゃないか。わたしは女たちが逃げるのは教えたけど、殺してくれとは言ってなかったよ」クィーンを突き飛ばす首領。「また、いつ寝返りするかわからない。お前の言うことなど聞いてられねえや」

首領はクィーンを射殺しようとするが、それを制する瑠璃子。「いい加減にして。あんたは鬼よ」「やかましい」鞭で瑠璃子をしばく首領。そうこうしているいうちに火薬庫を襲った須川は火薬を爆破させて、女たちを解放させる、「みんな、武器をとるんだ」激しい銃撃戦の末、海賊たちに勝利する須川たち。最後に生き残った首領は須川に殴り倒されて、海中で溺死する。こうして須川は生き残った女たちを引き連れて日本の勝利を信じて日本に向かうのであった。