地獄命令 | ロロモ文庫

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錦地区の土地を大松に買収されたと報告を受ける中丸。「畜生。大松一人にうまい汁を吸わせてなるものか。俺の意地を見せてやる」買収成功祝賀会を開催する大松。「新東京鉄道の総会で路線延長の話を聞いた時、これは絶好のチャンスと思ったんだ。だからゼニになりそうな土地は全部買い占めたのよ」「このニュータウンは組の新しい資金源になることは間違いありません」

「俺は新駅の前に三階建てのスーパーマーケットを建てようと思うんだ。それから娯楽センター」「そうなりゃ注ぎ込んだ資金は二年で回収できます」「俺はこのニュータウンに大松会2000人の夢を賭けて勝負するんだ」「しかし、会長、この錦地区は本来根津が仕切っている。これは問題だ。根津はあんたの娘婿ですぜ」「そんなことはわかってる。だが奴にはこれだけのプランをする資金がねえんだ。根津の縄張りだからと言って、これだけの金儲けを指をくわえて見てるわけにはいかねえ。ここは中丸だって狙っているんだ」

雪川たち五人組は車に乗ろうとする大松を狙撃するが、大松は九死に一生を得ることに成功する。親父がこんな目に会うことはわかってたと母のギンに言う大学生の信一。「親父の世界は何かと言うと暴力だ」「信一。やめなさい」二年間、大松の身替りで刑務所に入っていて出所した虎谷は、大松の亡骸を見せてくれと大松の秘書の依田に頼む。「虎さん、慌てちゃいけねえ。親父はまだ死んでねえ。手術中だ」「なんだ。そうだったのかい」

大松の手術は成功して数週間後に退院できる見込みですと報告する依田。「今度の事件でうちは四人が殉職しました。役に立たなかったボディガードは自宅謹慎中です。会長を襲った犯人については現在殺された四人の狙撃手の身元を調べております。問題は警視庁第四課です。今度の事件で大松会はどう出るか、警視庁は手ぐすね引いて待っております。我々が動き出せば、大松会を一気に潰そうと言うのが当局の腹です。くれぐれも軽率なことをしないように注意してください」

今の暮らしから抜け出せないかしらと大松に言うギン。「信一と三人で小さな家でも借りて」「何を言うんだ。そんなバカなことができるか」大松を狙った四人の狙撃手のうち、二人は根津組にいた大場と井上であることが判明する。見舞いに来た根津に出て行けと怒鳴る大松。「いずれ俺の方から挨拶してやる」

あまり事務所に顔を見せるなと雪川に釘を刺す中丸。「やることがないと暇なもんでね」「今度はきっとり大松をやってもらう」「大松会と根津組が衝突しているそうだな」「ああ。そのために根津の子分を二人引き抜いたんだ」

根津が本当にやったと思っているのかと大松に聞く虎谷。「俺は大将と30年一緒にいるが、こんな物分りの悪い男とは思わなかった。それに事業家を気取るのもいいが、こともあろうに息子の縄張りまで手を出すとはどういう了見だ」「虎。お前がムショに入ってる間に世の中は駆け足するみたいに変わってるんだ。もっとよく現実を見るんだな」

謹慎している浜川に会長をやったのが根津組と知っているのかと聞く依田。「ええ」「だったらいい。知ってて黙っていたら格好がつかないと思ってな」大松を見舞いに来る娘の愛子。「お父さん。根津がこんなことをしたと思ってるの」「ううむ。一時がかっとなってそう思ったが。大勢の前で怒鳴ったりして悪かった。お前から根津に謝ってくれ」私は本当はあなたはカタギの人の嫁になってほしかったと愛子に言うギン。

浜川は根津を狙うが失敗する。大松のところにねじ込む根津。「あんた。こんな汚いやり方をしてまで縄張りがほしいのか。意地でも根津組の縄張りに入れねえぜ」「邪魔ができるならやってみろ」お前には苦労をかけると言う根津に私はあなたといると幸せよと言う愛子。「愛子。俺だってできるだけ親父と争いたくねえ。できるだけ我慢するよ」中丸と密会する依田。「大松の奴も右腕と思ってるお前が裏切り者とはまさか気づくまい」「中丸さん。俺たちの計画が成功したら、ニュータウンの分け前はフィフティフィフティだぜ」

根津にニュータウン地下賭博場の図面が送られる。お前の父親は健康な新田園都市に博奕場を作ろうとしていると愛子に言う根津。「これ以上俺は我慢できない。愛子、大松の家に帰ってくれ」「嫌です。私はあなたの妻です。帰る家などありません」

工事現場で対峙する大松と根津。「会長。この図面はどういうことだ」「どうしてこれが」「あんた、こんなあくどい計画までしてたのか」「きれいごとだけじゃ渡世は渡れねえ」「だが俺の縄張りではやめてほしい。俺の組はカツカツだが工事現場や荷役の正業で食っている。ここにできる街まで汚されてたまるか」「今さら俺が後に引けると思うか」雪川は大松を狙うが、大松と根津の争いを止めに来た愛子を撃ってしまう。争いはやめてと言い残してあの世に行く愛子。

愛子の葬儀で私はヤクザをやめますとギンに言う根津。僕は大松の家を出ると言う信一。「お母さん。これ以上、親父の犠牲になるのはよそう」雪川に九州に逃げろと指示する中丸。「大松は娘を殺したお前を必死で探すだろう」「じゃあひとまず都落ちとするか。大松がやれなかったのは残念だが」

お母さんと僕は家を出ますと大松に言う信一。「なに」「根津さんのところに行きます。姉さんを殺したのはお父さんです。ギャングと言うお父さんの住んでいる世界が姉さんを殺したんです」「何を言う」「もうこの家には二度と戻りません」「どこへでも好きなところに勝手に行くがいい」

依田を中丸のところに連れていく大松。「何の用だ」「お前と取引しようと思ってね」「ニュータウンの土地でも譲る気になったのかい。3億でどうだ」「お前、勘違いしていねえか。俺が買ってほしいのは土地じゃねえ」「何を買うんだ」「この犬を買ってもらおう」

依田を突き飛ばす大松。「依田。お前が地下賭博場の写真を根津に送った。あの写真のことを知ってるのは俺とお前だけだ」「……」「杯はたった今返してやる。あと一つ聞きたい。俺と愛子に鉛の球をぶち込んだ奴の名前が知りたい。それとそいつを操ってる奴の名前を」「……」「さあ、言え」

依田を射殺する中丸。「何をする」「ふてえ野郎だ。裏切り者は当然こうするべきだと思ってね。俺がケリをつけてやったんだ」「中丸。依田の口からお前の名前を出るのを恐れて、先手を打って消しやがったな」「俺は親切でやったんだぜ」「このケリはいずれつけよう。覚悟しとけよ」

ギンと信一をなぜ追い出したと言う虎谷に向こうが出て行ったと言う大松。「あんたはみんなの気持ちがわからねえのか」「虎。世の中に娘をなくして泣かない親があると思うのか」「……」「虎、俺だって時が来れば思う存分泣いてやるぜ」「俺も馬鹿だが、お前も底抜けの馬鹿だ」「お前、こんな俺に愛想がついたか」「ああ」「じゃあ出ていくか」「行かねえ。俺がいなくなるとお前さんの身替りがいなくなるからな」

東京駅に行った信一は雪川を見かけて尾行するが逆に雪川に捕まってしまう。気が変わって戻ってきたと中丸に言う雪川。「手土産だ。大松のせがれだ」「これはいい。これは使えるぜ。この餌なら大松もきっと飛びつく」

大松に電話する中丸。「ニュータウンのあんたの土地と息子さんの命を交換しよう」「……」「あんたも大物のヤクザだから、息子の命などどうってことないかもしれんが、気が向いたら聖楽園のオートレース場に二時に来てくれ。おかしなことをしたら息子の命はねえぞ」

子分たちに息子を取り戻してくると言う大松。「親分。俺たちも」「いや、来るんじゃねえ。ここは俺の好きにさせてくれ」信一から電話があったと根津に言うギン。「なんでも愛子を殺した奴を見つけたそうなんですよ。でも途中で電話が切れちゃった。何でも聖楽園にいるそうですよ」「聖楽園ですね」

オートレース場に現れた大松を雪川は狙撃しようとするが、根津に撃たれて命を落とす。目にもとまらぬ早撃ちで中丸を地獄に送る大松。「お父さん」「信一。お前をこんな目に会わせてすまなかった」これでシャバともお別れだと言う虎谷に身替りはいらないと言う大松。「今まで犯した罪の償いをしたいんだ」「……」「根津。立派なニュータウンを作るには是非とも君が必要だ。健康な街にふさわしい施設を作ってくれ。そしてみんなの力になってくれ」今度は綺麗な体になって帰ってきたら信一と三人きりだとギンに言う大松。「じゃあ、行ってくるよ」大松は笑みを浮かべて警視庁に向かうのであった。