かもめ食堂 | ロロモ文庫

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かもめ食堂の初めての客になるトンミ。「いらっしゃい」「コーヒーをください」「はい」トンミにコーヒーを出すかもめ食堂の店主のサチエ。「ありがとう」「日本語上手ですね」「ガッチャマン好きですか」「ええ、まあ」「ガッチャマンの歌、全部ご存知?」「え、ちょっと待ってくださいよ」

喫茶店で「ムーミン谷の夏まつり」を読むミドリに「ガッチャマンの歌」を知ってるかと聞くサチエ。知っていると言って最初から最後まで歌うミドリ。すっきりしたと喜ぶサチエ。「どうしてガッチャマンなんですか」「私、この町で食堂やってるんですけど、そこに日本かぶれの男の子が来て、彼にガッチャマンの歌を全部知ってるかと言われたんです」「こちらで食堂を?」「はい」「ご夫婦で?」「いいえ」「じゃあ、一人で?」「ええ」「すごいですね」「いえ、ちっちゃな食堂ですから」

そちらは観光ですかと聞くサチエに、指さしちゃったと答えるミドリ。「どっか遠い所に行ってやろうと思いまして、世界地図広げて指さしたところがフィンランドだったんです」「すごい。なかなかできませんよ」「来てやるしかなかったんです」「よくいらっしゃいました」「一応、ホテルに一週間の予約をしてるんですけど、何をしていいか見当もつかなくて」「あの、ガッチャマンのお礼と言っては何ですが、うちに泊まりませんか」

どうしてフィンランドで食堂をと聞くミドリに、何が何でも日本でやる必要はないと思ってと答えるサチエ。「で、フィンランドですか」「素朴でも美味しいものなら、ここの人でもわかってもらえるような気がするんです」「なんか根拠が?」「フィンランドのソウルフードはサーモンです。日本の人もフィンランドの人もサケ好きなんですよ」「なるほど」「なんてね。たった今思いついたこじつけですけどね」「そう」

ここならやっていけると思ったと言うサチエ。「ここだったら、あたしにもできるかな。でもまだまだ。お客さん、全然来ない。かもめ食堂のメインメニューはおにぎりなんです」「あの、かもめ食堂、手伝わせてもらえないでしょうか。このままお世話になるのはどうかと思って。お掃除でもなんでもします。もちろん、お給料なんていりません。ある程度、お金持ってきたし」「いいんですか」「はい」「じゃあ、お願いします」どうして初対面の私に家に泊まれと言ってくれたんですかとサチエに聞くミドリ。「だって、ガッチャマンの歌を完璧に覚えている人に悪い人はいませんからね」「それもたった今思いついたこじつけですか」「ばれました?」

日本人相手の食堂としてガイドブックに載るようになれば店は繁盛すると言うミドリに、寿司のような和食をメインにする店とうちの店は違う気がすると言うサチエ。おにぎりの具にトナカイ、ニシン、ザリガニといったフィンランドで定番とされる食材を具にすべきと言うミドリに、おにぎりの具は梅、シャケ、おかかだと言うサチエ。せめてフィンランドの定番食であるシナモンロールを出すべきと言うミドリに、それもそうねと言うサチエ。シナモンロールを出すようになって少しずつ客が入るようになるかもめ食堂。

かもめ食堂でコーヒーを注文するマサコ。「お待たせしました」「あの、荷物が届かないんです」「え」「乗り換えの時には時々無くなるとは話に聞いてたんですけど、まさか自分のが無くなるとは」「それは大変でしたね。でもすぐに出てくるんじゃないですか」「もう三日目なんです」「そうですか。こちらではいつまで?」「まだ決めてないんです」

荷物が見つからないのでまた来たとサチエとミドリに言うマサコ。「困りましたね。大事なものも入ってるんでしょうし」「大事なもの。何か入ってたかしら」「着替えとか大丈夫ですか」「ごめんなさいね。あなたたちまで心配かけて」「とんでもない」「あなたたちはどうしてこちらでお店を?」「私はちょっとお手伝いしてるだけです。サチエさんは」「私はかっこいい男性と知り合いたくて。なんてね」「いいわね。やりたいことをやって」「やりたくないことをやりたくないだけです」

テレビでフィンランドのニュースを見たとサチエとミドリに言うマサコ。「エアギター選手権。あれには感動しました。ほかにも嫁背負い競争、携帯電話投げ大会、サウナ我慢大会。こんなことを一生懸命やる人たちっていいなあと思ったんです。妙なしがらみはなさそうで、人生はゆったりしてて。それで来ちゃったんですけど。特に目的もなく」「マサコさんはここでしばらくボーっとしてればいいんじゃないですか」「でも、ボーっとするのは結構難しくないですか」「そうですね。色々考えてしまいますね」「この国の人はどうしてこんなにゆったりのんびりしているように見えるんでしょうか」「さあ」

サチエの作ったおにぎりを食べ、かもめ食堂を手伝うようになるマサコ。どうしておにぎりがかもめ食堂のメインメニューなんですかと聞くミドリに、おにぎりは日本のソウルフードで自分で作るより他人で作ってくれたもののほうが美味しいからと答えるサチエ。荷物が見つかったとサチエとミドリに言うマサコ。やっぱりマサコさんは日本に帰るんですかねと聞くミドリに、マサコさんが決めることと答えるサチエ。私が日本に帰ったら寂しいですかと聞くミドリに、今まで一人でやってきたけど多分寂しいでしょうと答えるサチエ。確かに自分の荷物だけどなんだか違うんですとサチエとミドリに言い、かもめ食堂を手伝うことに決めるマサコ。そしてとうとう満席になるかもめ食堂。

マサコさんの「いらっしゃいませ」は少し丁寧すぎると言うミドリ。丁寧でいいんじゃないですかと言うサチエ。ミドリさんの「いらっしゃいませ」は乱暴すぎますと言うマサコ。元気があっていいんじゃないですかと言うサチエ。サチエさんの「いらっしゃい」はすごくいいと言うミドリ。サチエさんの「いらっしゃい」は聞きごたえがあると言うマサコ。そこに現れるトンミ。「こんにちは」「いらっしゃい」