喜劇 三億円大作戦 | ロロモ文庫

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門間直彦はギャンブル好きでクラブ・竜のママ竜子のヒモという生活をしている男だった。直彦は久しぶりに再会したホステスのアコとベッドインするが、アコの愛人である中年男の衣笠がアコのアパートにやってきたため、アコの友達のふりをして、アコのアパートを出る。

竜でアンナン国の元国王であるサリット殿下に口説かれる竜子。サリット殿下に直彦は私の弟ですのよ、と直彦を紹介する竜子。今にバンとでかいことしてみせるぜ、と竜子に大口をたたく直彦。衣笠は竜に行き、お忘れ物ですよ、とライターを直彦に渡す。

衣笠は三多摩厚生事務所に勤めるうだつのあがらない係長であった。竜子に女王様になれるというサリット殿下。「革命軍倒れる。私本国帰れる。あんた女王よ」「まあ。アンナンの国王夫人」「そう。第三夫人」「第三?まあいいわ」「そこであなたの兄さんの許可求めなければなりません」直彦を自宅に呼んだ衣笠は、私は空想が大好きだと話す。「ただ根が臆病だから実行できないだけです」「俺に何か用があるのかい」直彦に直彦とアコの情事のフィルムを見せる衣笠は現金輸送車を襲ってくれと直彦に頼む。

「あんたは俺を脅迫して、現金輸送車を襲ってくれというのか。冗談じゃないぜ」「私の考えた方法では、芸術的に犯罪を実行することができます」「ギャング映画の見過ぎだね」「私は本気なんです。私は胃癌です。今年いっぱいもちません。どうせ死ぬなら一生に一度、スカッとした生きがいを持ちたいんです。それでアコを愛人にしましたが、どうもスカッとしない」

「それで現金輸送車か。でもすぐ死ぬ人間が金を奪ってもしょうがないだろう」「金が目的じゃないんです。奪うという行為が目的なんです。金はあなたに差し上げます。私は考えることは好きだが、行動力がない。あなたの行動力と度胸が欲しいんです」「気違いと話をする気はないね。それじゃ失礼するぜ」

竜子はサリット殿下と付き合うので、あなたと別れると直彦に言う。金に困った直彦は舎弟の日出夫と修を引き連れて、衣笠の家に行き、あなたの計画に参加すると話す。来ると思ってましたよと言い計画を話す衣笠。「工場の給料を積んだ現金輸送車が毎月25日に銀行を出発します。A地点で車ごと現金をそっくりいただきます。現金輸送車を奪って府中街道に出ますが、なるべく早く次の車と交換しなくてはなりません。それはB地点の墓地で交換します」「その現金輸送車にいくら入っているんだ」「ざっと三億円」

衣笠に友人で葬儀屋の加古川を紹介する直彦。「彼が霊柩車を用意します」修はバイクを盗んできて、バイクを白バイに改造する。文章を読んでくれと加古川に頼む衣笠。「12月7日、午後六時半までに、300万を小金井浄水所まで持ってくること。約束を破れば藤垣支店長の家をダイナマイトで爆破する」 

五人がかりで300万かよ、と呟く日出男に、これは囮だ、という直彦。「狙いは12月10日の三億円のボーナスだ」「それじゃなおのことドジだ。この土壇場で狙っている銀行を脅かそうなんて」「いいか。この脅迫状を受け取った銀行員の頭に何が残ると思う。ダイナマイト恐怖症の銀行員が現金輸送車に乗っていると言うわけだ」そうかと言う修。「俺が白バイ警官になって、ダイナマイトと一言叫べば、乗っている奴は一目散に逃げ出すわけだ」

計画を説明する衣笠。「A地点で修君が白バイ警官になりすまし、現金輸送車を襲います。門間さんは現金輸送車を車で尾行します。もし銀行員が下りない場合は、門間さんが発煙筒を投げ込んでください。門間さんが使う車は盗難車です。修君は現金輸送車を墓地まで運び、ここで日出男君の待つ車にお金を移し替えます。この車も盗難車を使います。修君は警官の服を脱ぎ棄て、日出男君と一緒に神社に向かってください。私は最初からここにいます。門間さんは襲撃が終わったらただちにここに来てください。ここで加古川さんの霊柩車に現金を移し替えます。霊柩車は加古川葬儀店に納まります」

12月10日になって、神社にいる衣笠がアコに見つかったり、門間の車がエンコして、サリット殿下の車に乗せてもらったりと想定外のことがあるが、なんとか三億円を加古川の霊柩車に積み込むことに成功する。

葬儀店でこの三億円は三年間は手をつけてはならないという衣笠。「三年間もすると世間も事件のことは忘れるでしょう。明日霊柩車で私の田舎の墓地に運んで埋めます。今度はこの布団の中に三億円を入れてください」「入れるのはいいけど火葬場行きなんかならないだろうな」この棺に入れておけば大丈夫だ、という加古川。「これは開店祝いで作らせた最高級品なんだ。作って二十年になるけどいっぺんも使ったことがない。まずよっぽど偉い奴が死なない限り、使いっこねえな」

うまくいったと喜ぶ一同であったが、目撃者が一人いるぜ、と叫ぶ加古川。「そうか。サリット殿下」死人に口なしですという衣笠。「それよりほかにありません。サリット殿下を殺すことです。私がやりましょう。どうせ長くはもたない命なんです」しかし医者の診断を受けた衣笠は、お前の胃は神経性胃潰瘍で全治していると言われ、殺しをやってくれ、と直彦に頼む。殺しだけはやったことがないと蒼ざめる直彦であったが、サリット殿下が急死したと聞いてほっとする。

しかしサリット殿下は日本国内で国葬級の葬儀を行うこととなったために、加古川葬儀店は三億円の布団の入った最高級品の棺を出してしまう。なんとかその棺を取り戻そうと直彦たちは四苦八苦するが、ついに三億円の入った棺は火葬されることになる。もうダメだと絶望する直彦たちの前に現れるアンナン国大使。

「昨日、クーデターが起こり、アンナン国は再び王政が敷かれ、サリット殿下は国葬にふされることに決定しました」火葬は免れたぜ、と喜ぶ直彦たちであったが、サリット殿下の遺体は布団ごとアンナン国大使の準備する棺に移し替えられる。「布団ももらうよ。何しろ予算ないからね」

サリット殿下の遺体と三億円の入った布団の入った棺と一緒にアンナン国行きの飛行機に乗る竜子。胃が痛いとうずくまる衣笠。アンナン国は火葬ですか、土葬ですかとアンナン国大使に聞き、文明国は火葬に決まっていると答えられて、直彦もうずくまるのであった。