東京湾炎上 | ロロモ文庫

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20万トンタンカー・アラビアンライトは腹にたっぷり原油を詰め込んで日本に帰ってくる。「石油を掘り続けて2年。日本の人ごみが恋しくなった」と笑う乗組員・館は、キャプテン宗方に挨拶する。「いよいよ海から降りられますね。陸にあがると重役とか専務とか呼ばなきゃいけませんね」「キャプテンでいいよ。どうも俺はデスクワークにはむかん。次はオンボロ貨物船の船長だ」

伊豆の島を確認する館は恋人未知子との甘い一夜を思い出す。「あなたは夢を求める渡り鳥。女は実態のないものを愛せないわ。いつでも手の届くところにいてほしいの」遭難信号をキャッチするアラビアンライト。しかしその信号は偽装であり、日本人ムンクを含むアフリカ系ゲリラ6人にアラビアンライトはシージャックされる。エンジンルームと一般船室と操縦室の三箇所に乗組員を閉じ込めるゲリラたち。「君達は何者だ」と問う宗方に「行き先は東京湾。我々は神風特攻隊」と答えるゲリラのリーダーのシンバ。

空からヘリコプターで取材する岩動。「見ろよ。マッチ一本で大爆発する馬鹿でかいダイナマイトだ。日本政府もとんでもないものをかかえこんでしまったぜ」シンバは宗方に説明する。「私達は他のタンカーに爆弾をセットした」「この船が東京湾に行かないとそいつを爆破させるというのか」仕方なく東京湾に入るアラビアンライト。エンジンルームでトラブルがあり、日本人に両親を殺されたゲリラのキファルが乗組員の片岡を射殺する。「おまえら人殺しだな。無抵抗のものを殺して何が主義だ。馬鹿野郎」激昂する宗方。

タンカーの東京湾侵入に関し、日本政府代表の葛城に詰め寄るマスコミ連。「ゲリラと日本政府との間に取引ができてるんじゃないですか」「そんなことはない。我々は乗組員31名の安全を最優先に考えている。しかもそのうち一名は射殺された」質問する岩動。「彼らの国籍、及び組織名は」「わかりません。彼らは何も要求を発表していません」

シンバはムンクの口を借りて正式な要求を発表する。「日本国政府に我々は要求する。鹿児島の石油備蓄基地を破壊しろ。その手段として航空自衛隊の戦力を使うこと。また、当方で爆破を確認するため、テレビ中継すること。準備期間として明日の正午まで。その際実行しなければ直ちにアラビアンナイトを爆破する」

「次に我々の組織について説明する。我々は資源分配公正組織、通称フォフトニルのコマンド組織である。我々は先進国の資源独占を打破するために立ち上がった。そして見せしめのために日本をターゲットにした。なぜなら日本は典型的な工業国家であり、独占的エゴイズムが特に目覚しい存在であるためだ。我々の決意が固いことを示すために、今夜午前0時に別の場所に仕掛けた爆弾を爆破させる。終わり」

宗方がまたまた激昂する。「われわれが東京湾にはいれば、爆弾をしかけたタンカーと港の名前を教えると言ったじゃないか」「それがゲリラというものだ」「じゃあ、乗組員のうち必要のない者を下船させろ」「ノー」

東京湾で20万トンタンカーが炎上するとどうなるか。真夏の高い温度の中、揮発性の物質が蒸発して空中の飛行機のエンジンと反応して、東京湾上空の飛行機は爆破の危険性が酸欠状態となり人々は窒息死。それが災害を誘発し、首都圏は死の街となる恐れがあった。また鹿児島には石油タンクが54あり、それは日本の石油備蓄量の16%を占め、この爆破によって錦江湾は死の海となってしまうのは火を見るより明らかであった。

「二つを救う道を考えるんだ。まず午前0時のタンカー爆破予告。ゲリラのハッタリかもしれないが、念のため湾内にいるタンカーを湾外に退避させるんだ」まもなく12時。館はゲリラに聞く。「なあ、もう教えてくれえてもいいだろう。場所はどこなんだ」「清水」「船の名前は」「サウジ丸」

午前零時にサウジ丸は爆破される。「彼らは本気だ」蒼ざめる日本政府首脳。館はムンクと格闘してムンクを捕まえる。厨房長が殺害され一般船室の乗組員たちは怒り、ゲリラを捕まえる。館と格闘するゲリラも捕まえて、乗組員たちは全部でゲリラ3人を捕まえて、シンバに要求する。「我々は君達の仲間3人を捕まえた。我々乗組員を自由にしろ」「ノー」「君の仲間を殺してもいいのか」「殺せ。殺せ。その代わりエンジンルームや操縦室にいる乗組員は皆殺しだぞ」

絶望した乗組員が船から飛び降りて脱走しようとするが、ゲリラが射殺する。宗方は一般船室に行き、3人のゲリラを解放するよう説得する。そのころ日本政府は鹿児島と東京湾のどちらも爆破しないという結論に達する。朝になり回答する日本政府。「日本は鹿児島を自衛隊で攻撃する。しかし付近の住民を避難させるため午後八時まで待って欲しい」。

八時になり、現場の状況とコンビナート爆破の特撮フィルムを混ぜあわせたフィルムがプロデュサー深見の指揮のもと全世界に放映される。隔離された特撮映画監督は叫ぶ。「間違いない。これは俺が作った「地球1999」の特撮フィルムだ。この実況中継はニセモノだ」日本特撮技術の素晴らしさのため、ゲリラたちはまったく作り物とは思わず、満足そうにウン、ウンとうなずく。しかし鹿児島では雨が降ってくる。特撮のフィルムはいい天気なので、焦る深見はフィルムの放送を唐突に打ち切る。

ゲリラたちは不審に思い、もっと見せろ、見せなきゃタンカー爆発、と脅す。しかたなくフィルムを流す日本政府。「何だ。この音は」「雨の音だ」「前は雨の音がなかったぞ」急いで深見は雨の音を消す。シンバは葛城に連絡する。「面白いトリック、ありがとう。日本政府とのお話、終わり。さよなら」「待て。シンバ。今のは電気障害だ。雨の音じゃない」「雨の音、わたし、そんなこと言ったか」

騙された屈辱でシンバはアラビアンライトの爆破を高らかに宣言する。宗方が説得する。「お前らの目的は何だ。第四世界の貧困を世界中に知らせることだろう。トリックだろうが、鹿児島の爆破シーンは世界中に流された。これは事実として世界中に届く。君達の目標は達成されたのではないか。それでこのタンカーを爆破させて日本に壊滅的な打撃を与える必要があるのか」

「私は騙された。これは長い間の私の国の歴史と同じ。私は戦う」シンバは爆弾のスイッチを入れる。「これでこの船は1時間後爆破される。乗組員の人は皆出ていってくれ。我々はここに残る」しかしキファルは納得しない。「こいつらも一緒に死ぬんだ」仲間割れとなり、銃弾戦が展開。宗方はムンクに射殺される。

ムンクは館の銛打ち銃で壁に串刺しになる。ゲリラは全員死亡。館はシンバのポケットから爆弾のありかを発見し、無事にアラビアンライトの爆発を防ぎ、東京のピンチを救って恋人の未知子の待つ港へ急ぐのであった。