ゲゲゲの鬼太郎(第2部) 第1作 | ロロモ文庫

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妖怪復活

畜生と呟くねずみ男。「相棒の俺様を置いて、どこに消えちまったんだよ。妖怪ポストには妖怪を退治してくれって手紙がたくさん来てるのに。あっ、あれは鬼太郎のゲタの音。よし、これで俺の暮らしも楽になるぞ。鬼太郎、仕事は山ほどあるんだ」

その音が土杭いを打つ音とわかってがっかりするねずみ男。「お前達、誰の許可を得て、こんなことをしてんだよ」「なんだ。お前は」「鬼太郎なき後、このゲゲゲの森はねずみ男様のものなんだよ」「この汚いのをつまみ出せ。あっ、あれはなんだ」沼の中から現れ、工事作業員に泥を吐く泥の怪物。いいぞいいぞと喜ぶが、自分も泥を吐かれて気を失うねずみ男。

病院で目覚め、隣に猫娘がいるのに驚くねずみ男。「お前、俺が死んだら食おうと待っているんだな」「命の恩人に向かって、なんてこと言うのさ」「お前が俺を?」「泥田坊にやられて死にかかっているあんたをこの病院に担ぎ込んだのは私よ」「なんたる情けなさ。ねずみ男が猫に助けられるようになったら世も末だ。こんな時に鬼太郎がいてくれればなあ」「あら、鬼太郎さんならこの前会ったわよ」

なんだってと驚くねずみ男。「生きてるのか、鬼太郎は」「うん。生きてるけど死んでるようなものね」「車にでもはねられたのか」「要するに昔の鬼太郎さんじゃないのよ。あたし、のんびりアジの干物なんか作ってる鬼太郎さんなんて嫌いよ。あれじゃ死んだも同然よ。晴耕雨読の生活ですって」「なんだい、そりゃ」「つまり晴れた日は働いて、雨の日が本を読んだり、俳句を作ったりして暮らすこと」「はあ、あの鬼太郎が俳句」

砂浜で俳句を書く鬼太郎にやっと見つけたと言うねずみ男。「しばらくだったな、ねずみ男」「やっぱり猫娘の言う通りだ。立て、鬼太郎。親父も親父だ。鬼太郎の保護者として恥ずかしくないのか」「何を一人で怒っとるんじゃ」「お前と違って僕たちはやましいことをしてないつもりだがね」「ああ、これがゲゲゲの鬼太郎か。妖怪どもを次々倒したあの鬼太郎と思いたくない。この手紙を見ろ。日本中にたくさんの妖怪がはびこっているんだぞ」「ねずみ男。お前の腹の中はお見通しだぞ。また僕を担ぎ出して一儲けするつもりだろう」「鬼太郎、いつからそんなひねくれた考えを持つようになったんだよ」「ひねくれてるのはお前のほうじゃよ」「どっちにしても、僕はここの生活が気に入ってるんだよ」「馬鹿馬鹿しい。干物や俳句を作って世の中がよくなると思ってるのかよ」「お、あっちの浜の方でなんかあったようじゃ。船が遭難したらしいぞ、鬼太郎」「変だなあ。風一つない日本晴れなのに」

鬼太郎に僕の父さんがやられたと訴える和義。「どうしたんだ、この泥は」「鬼太郎。俺も同じ目にあったんだよ。泥の化け物にやられて」「はて、泥田坊のしわざかのう」「泥田坊は田んぼの中に住む妖怪でしょう」「しかも極めておとなしい性格のはずじゃが」「何がおとなしいだよ。親子そろって俳句ボケじゃないのか」

なんてこったと呟く網元。「ヘドロに悩まされたと思ったら、今度は正体不明の化け物か」そうかと呟く鬼太郎。「泥田坊の奴、田んぼの代わりにヘドロの中に住み着いたのか」ここにいるのは妖怪退治の権威の鬼太郎さまだと怒鳴るねずみ男。「この鬼太郎さまがいるならもう安心。泥田坊なんて妖怪はあっという間に」やかましいと怒鳴る網元。「何が妖怪退治の権威者だ。この小僧は和義のところの居候で、干物を干すしか能がないんだよ」

夜になって船を出す鬼太郎。海の中から現れる泥田坊。「田を返せ」「そうか。田んぼが段々減ったんで、お前の住む場所がなくなったんだな」「田を返せ」泥を吐く泥田坊。体内電池で船に火をつけ、泥田坊をバラバラにする鬼太郎。

俺の船を弁償しろと鬼太郎に怒鳴る網元に、妖怪を退治したから安いもんだろうと言うねずみ男。「黙れ。妖怪を退治したという証拠はどこにある」「ですから泥田坊は粉々になったんです。だからもう安心して漁に出られます」「でも和義の親父の船が妖怪にやられたって証拠もねえぞ」そこに現れ、父ちゃんが意識を取り戻したと鬼太郎に言う和義。「泥のお化けが父ちゃんの船を沈めたって言うんだ」「網元さん、これでわかってくれますね」「ふん。お、雨だ。どっちみち今日は漁は休みだ。まあ一日様子を見ることにするか」

鬼太郎にお前の人気も落ちたなと言うねずみ男。「昔は少しは庶民に尊敬されたが、今じゃ詐欺師呼ばわりだ」「お前は今も昔も詐欺師呼ばわりじゃがな」「なんだと、親父」問題はこの雨だと呟く鬼太郎。「いっぺん死んだ泥田坊が生き返らなければいいが」

雨で蘇り、車のスリップ事故を次々と起こさせる無数の泥田坊。「やっぱり泥田坊は生き返ったのか」無数の泥田坊を退治する鬼太郎に、それでこそ鬼太郎だと喜ぶねずみ男。「やっと昔の勘が戻ったな」「泥田坊はまだ死んだわけじゃないよ」「なに」「急に雨が上がったんで、力をなくしただけさ。今のうちにこいつらをひとかたまりにしておこう」

俺のうちにトラックが突っ込んだと鬼太郎に怒鳴る網元。「鬼太郎、弁償しろ」「網元さん。気を付けてください。あなたの足の下に泥田坊がいますよ」「え」「そこだけがトラックに踏みつぶされたんで、はがれて取れないんです。下手に水をかけると生き返ってしまうし」「鬼太郎、こいつをこのままにする気はないだろうな」「そのことで相談があるんです」

驚く網元。「なに。俺の田んぼに妖怪を住まわせろ?」「この漁師町で山に田んぼを持ってるのは網元さんだけらしいんで。泥田坊はもともとおとなしい妖怪です。住む田んぼさえあれば、その下でじっとしているんです」「せっかくだが俺の田んぼは今年で終わりだ。東京の観光会社がいい値で買いに来てるんでな」

鬼太郎にいい田んぼがあると言って、小学校に連れていく和義。「グラウンドで僕たち米を作ってるんだ」「でも、これはちょっと狭いかも」「ダメでしょうか」事故のショックで水道管が破裂して復活する網元の家の前のドラックに踏みつぶされた泥田坊。「田を返せ」泥田坊の口の中に飛び込む鬼太郎。小学校の田んぼまで行き、その中に消える泥田坊。田んぼの中から現れる鬼太郎。「無事じゃったか、鬼太郎」「泥田坊の体の中に入り込んで、脳神経をコントロールしてやったんですよ。狭いけど農薬を使ってない田んぼだと泥田坊は喜んでいます」

和義に世話になったと言う鬼太郎。「あの田んぼはずっと守ってくれよ」「はい」「僕に会いたくなったら妖怪ポストに手紙を入れるんだよ」「はい。鬼太郎さんもお元気で」鬼太郎親子はねずみ男とともにゲゲゲの森に向かうのであった。

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