福本伸行「賭博黙示録カイジ・人間競馬・高層綱渡り編(9)」 | ロロモ文庫

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天空

こんな話があるか、と嘆くカイジ。「命からがらやっとの思いで、たどり着いたのに、あの風がもぎ取ってしまった。せっかく手にした奴の未来・希望・人生を」俺も死ぬのか、と愕然とするカイジ。「渡ってもあの突風で死ぬのか。それとも戻るのか、もう一度」後を振り返るカイジ。「できるわけない。とても無理。結局、死」

窓越しにカイジを見つめながらにやにやする男たち。「奴らのあの笑いは単なる死の見物じゃない。もう少し別の何か。人のミスや愚かさや不幸。助かる道はあるのに、その道を選べない。そんな人間をあざ笑う笑い」何かある、と考えるカイジ。「え」カイジは上にも人がいることに気づく。

 

死角

カイジは上の窓の端が光っていることに気づく。(いや。よく見るとその下も。光のようなものが伸びている。伸びて、曲がった。光がこっちに近づく)カイジは上の部屋に達するガラスの道があることに気づく。(これがあの風を避け、ゴールにいたる起死回生の抜け道。見えてしまえば明らかだが、佐原側にもある。こんなものが見えないなんて)しかし気づくような状況でなかったと考えるカイジ。

(いつも物理的精神的に死角だった気がする。スタート地点じゃ、この別ルートは遠すぎて確認できないし、途中はそんなことに気づく状況じゃなかった。そして佐原のように窓までたどり着いてしまえば、今度は位置的に死角。唯一気がつけるのはこの地点のみ)

 

登城

ガラスの道に足を踏み出そうとするカイジ。(しかし、果たしてそうだろうか。確かに正面から入ろうとした佐原には風が来た。しかしこのガラスの橋が絶対安全ってことはない。これも連中の罠かもしれない。ありえる。割れることも。しかし、やるしかない。俺には他に選択肢などない)ガラスに足を踏み入れるカイジ。「うおっ」ガラスは割れなかった。「やった。やった。賭けに勝った」ゴールにたどりつくカイジ。そんなカイジを暖かい拍手が迎える。「え」

 

謁見

コングラチュレーション、と祝福の言葉を受けるカイジ。そこに利根川がやってくる。「ククク。実に見事な完走だ。素晴らしい。素晴らしい。おめでとう」「よしやがれ。何がめでたい。何人死んだと思っている。ふざけるな」「……」「出せ。金だ。2枚。ほらっ」「ククク。残念だな、カイジ。悪いがその券はもう無効だ。橋の途中でその効力を失った」「バカな。いくらなんでももう一時半ということはない。まだ時間はあるはずだ」

「ククク。一時十五分。確かにその点では問題ない。そうでないところで失格なのだ。忘れたのか。お前が言い出したのだぞ。「切れ、電流を。金はいらない。中止だ」と」「え」「ククク。我々はお前の願いを聞き入れた。あのあと、電流を切ったのだ。もっとも電流を切るのが遅れて痛ましい犠牲も出たがな」「ううう」「わかったか。つまり、お前は自ら放棄したんだ。権利をね。残念至極。クククク」

あまりのことに怒り狂うカイジ。「ふざけるな。てめえ。そんなことが通るか。切るなら、すぐ切れ。汚ねえぞ。このチケットが紙屑ならなんのために、みんな死んだ。なんのために。許せるか」やれやれ、とつぶやく利根川に謎の老人が話し掛ける。「利根川。一理あるではないか。その子の言い分も。確かに電流はすぐ切るべきだったし、それが遅れて事故が起きた以上、我々にもいくばくかの責任がある。のう?」「はあ」

「利根川。この子に今一度チャンスを与えてあげなさい。種目はそう。Eカードが面白かろう」「は」