ハンナの愚痴をタクシーの中で聞いているうちに旧市街へ着きました。ダマスカスは、古来から様々な王朝、帝国に支配したりされたりしながら現在まで絶えることなく歴史の中で息づいてきた世界最古都市のひとつです。
旧市街は城壁に囲まれ、細い路地の入り組む迷路のような空間にモスク、スーク、宮殿、教会、レストランや一般家屋がひしめき合っています。
パラダ川沿岸に位置するダマスカスのこの辺りは、紀元前2000年以前から南部のアラビア半島、メソポタミアと地中海地方を結ぶ交易の中継地として発展しました。
スークの先にはここが神殿だった頃のゲートが遺っています。
サラディーンは、エルサレムをはじめ十字軍に支配された各地を片っ端から奪い返したアラブの英雄です。ここでも少し触れましたね。
ダマスカスは紀元前2000年紀にはすでに聖域とみなされ、この場所にはメソポタミア神話における雷神ハダドを祀る神殿がありました。
ローマ時代に木星神ジュピターを祭る神殿と変わり、4世紀末にはキリスト教の洗礼者ヨハネの教会に変わります。
そして西暦661年、イスラム教カリフのムアーウィヤ1世がウマイヤ朝を成立させるとダマスカスに首都を置き、第六代カリフのワリード一世が715年にここをモスクへ改築。
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現存する世界最古のモスクとなりました。これは黄金のモザイクです。
因みに、現在でもモスク内部に聖ヨハネの首が納められているとされる神殿がありますよ。
イスラム教徒の間では、世界の終末の日における救世主の再臨が、ウマイヤ・モスクにおいて実現するという信仰が古くからあり、十字軍侵略の時代に各地のムスリムを繋ぐ結節点となりました。
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