ハンナの愚痴をタクシーの中で聞いているうちに旧市街へ着きました。ダマスカスは、古来から様々な王朝、帝国に支配したりされたりしながら現在まで絶えることなく歴史の中で息づいてきた世界最古都市のひとつです。







旧市街は城壁に囲まれ、細い路地の入り組む迷路のような空間にモスク、スーク、宮殿、教会、レストランや一般家屋がひしめき合っています。





まずはウマイヤ朝に建てられたウマイヤ・モスクを目指します。城塞から旧市街へ入るとスーク。




スークも世界最古級。そして世界最大級なのですよ。




パラダ川沿岸に位置するダマスカスのこの辺りは、紀元前2000年以前から南部のアラビア半島、メソポタミアと地中海地方を結ぶ交易の中継地として発展しました。





少なくとも4,000年の時を経て激動の歴史を繰り返してきましたので、スークも年季が入っています。





スークの先にはここが神殿だった頃のゲートが遺っています。





ジュピターゲート。迫力あります。




そしてこちらがウマイヤ・モスク。もともとは神殿、その後に教会に改築されモスクに変わりましたので、若干統一感に欠けます。後ほどご覧いただきますね。





ウマイヤ・モスクの敷地にはサラディーンの廟があります。




サラディーンは、エルサレムをはじめ十字軍に支配された各地を片っ端から奪い返したアラブの英雄です。ここでも少し触れましたね。







彼の眠る廟だそうです。





廟内では四隅にアズレージョが施されていました。ポルトガルの専売特許のようになっていますが、元はこの辺りから流れています。女性二人に撮ってと言われたのでパチッ。




さぁ、ウマイヤ・モスクの中へ入ってきました。世界でも屈指の歴史をもつ最古のイスラム教モスクです。





ダマスカスは紀元前2000年紀にはすでに聖域とみなされ、この場所にはメソポタミア神話における雷神ハダドを祀る神殿がありました。





ローマ時代に木星神ジュピターを祭る神殿と変わり、4世紀末にはキリスト教の洗礼者ヨハネの教会に変わります。





そして西暦661年、イスラム教カリフのムアーウィヤ1世がウマイヤ朝を成立させるとダマスカスに首都を置き、第六代カリフのワリード一世が715年にここをモスクへ改築。





現存する世界最古のモスクとなりました。これは黄金のモザイクです。





因みに、現在でもモスク内部に聖ヨハネの首が納められているとされる神殿がありますよ。 





イスラム教徒の間では、世界の終末の日における救世主の再臨が、ウマイヤ・モスクにおいて実現するという信仰が古くからあり、十字軍侵略の時代に各地のムスリムを繋ぐ結節点となりました。





上述のように、神殿が教会となり、その後モスクとなったため、建築物としては統一性がなく、世界最古級モスクでも個人的にはチグハグな感が否めませんでしたわ。汗




あと、外野から歴史を感じるのが、ダマスカスは「カルバラーの戦い」で袋叩きに遭った殉教王子と、その父親アリーを殺害した宿敵ムアーウィヤがカリフとなって首都を置いた地でもあるのですよね。




気のせいかも知れないですが、ここをSNSでポストしたとき、シーアのイラク友人の反応が極端に少なかったように思います。爆





メソポタミア時代からアッシリアとバビロニア、若しくはアッカド(北と南)は領土争いを繰り広げてきており、未だ感情的に何かあるのかな?と。




現代のシリアとイラクも、極端に仲は悪くありませんが良くもない。血はホント争えないと思いましたね。



ウマイヤ・モスク前。撮ってと言うので