2012年2月に訪ねたスリランカの旅を綴っています。
ジュエリーショップにて、トルマリンを物色しています。
無言で立ち去り、裏部屋へ消えたオッチャン。再び戻ってきて私の前に座ると、おもむろに
「あなたにはこれが似合う。」
と、握りしめてきた一つのトルマリンを、手のひらで披露したのです。
その時の衝撃といったら!
ちょっとっ!
こんなんあるんだったら最初から出してよ!
私のこの数時間は何だったの!
と言うくらい美しくてですね。深みのある真紅に重みある9カラットのトルマリン。ヒョコッと持って来たそのトルマリンは、今、目の前にバラバラと散っている数百のトルマリンのどれよりも輝いていました。
格が違うように見えたのです。やっぱり宝石って魔力ありますね?
すると、
「これは貴方にピッタリだ。この宝石も貴方を欲している。」
と、これまでほとんど言葉を発さなかったオッチャンがドマジメな顔して言うのですよ?笑 今までのあの沈黙も商売手法なんか?
しかし、これを一目見た時に私の中では98%くらい決まっていましてあとは値段。ほぼ買うことに決め、ここから価格交渉です。
最初、「綺麗だけど高過ぎるだろう」という価格を提示されました。よく分からないけど、そこまで高くはないんじゃん?という頭があり、ここから更にどれくらい交渉しただろう?
お茶を持ってきてくれる若いメンズと冗談言ったり世間話したり、お茶菓子いただいたりしながら結構粘ったような気がする。あのオッチャンも、言葉少なながら嫌な顔ひとつせず、よく付き合ってくれたと思います。
そして、9カラットのこちらのトルマリンと、他に気になった32カラットのブルートパーズと抱き合わせで自分の納得した値段に落ち着きました。
宝石など自分で買ったことないので、正直これが高いのか安いのかサッパリ分からなかったけど、気に入ったものを「大体この国の相場だったらこれくらいだろう」と感じる言い値まで落とせたので満足です。
いくらで買ったのかなぁ?全然覚えていませんが、2つ日本円で5万はしてないという記憶。個人的には結構安い値段まで下げたかなと思ってるのですが、高いのかな?
ダイアモンドやエメラルド、ルビー、サファイアとは違い、トルマリンは安いだろうという頭があったので、出してもこれくらいまでと思っていました。トルマリンは日本に帰って来て側を自作しました。ブルートパーズはまだ裸のまま。笑
支払いを済ますと、なんとオッチャン、
ニコッと笑ったんですよ!!
何だ、笑うんだ?しかも、「また来たときのために。日本のお友達にも良かったら紹介して。」と名刺を何枚も貰い。少し優しい目をしてますでしょ?
交渉も面白いのですが、沢山ある中から石を選ぶ作業がこんなに楽しいとは思わなかった。病み付きになりそうでした。これも石の魅力というか魔力なのでしょう。
しかも、ここは全く客が来ないので何人かの店員を独り占め。集中して石を選べ、また静かなので気が散らず交渉にも余裕をもって臨めます。
やはりこのオッチャンも石も、何か人の真理を見抜いているというか、何らかの力はあって私も大満足で店を後にしたのです。