2018年9月、コーカサス&東欧の未承認国家を中心に旅した記録です。
 
 
 
 
 

多分、アゼルバイジャンのVISAを見つけられることもないだろう。

 

 

 

 
 
 
エレバンに着き、サラッと入国。
 
 
 
 
 
 
ここから未承認国家「ナゴルノ・カラバフ(アルツァフ共和国)」を目指します。
 
 
 
 
 
しかしそこで、のっけからハプニング。
 
 
 
 
 
日本で事前にエレバン空港のレンタカーを予約していたので、入国後、空港構内のレンタカーブースへ行くと、、、
 
 
 
 
 
 
シーン。。。
 
 
 
 
 
人がおらず辺りは静まり返ってる。
 
 
 
 
 
 
7AMに借りる予定としていたのですが、なんで誰もおらんの?
 
 
 
 
 
しばらく待っていると、若い兄ちゃんがプラプラとやってきてブースに着いた。既に8AMを回ってます。
 
 
 
 
 
今日、7AMから予約しているのですが。と伝えると、
 
 
 
 
 
「?」
 
 
 
 
 
「今日?」
 
 
 
 
 
予約確認書を印刷していたので、それを見せると、、、
 
 
 
 
 
「すみません、予約入ってないです。」
 
 
 
 
 
へ?
 
 
 
 
 
・・・
 
 
 
 
 
何それ。
 
 
 
 
 
「今から2日間、借りれる車、ありませんか?」
 
 
 
 
 
調べてくれましたが、
 
 
 
 
 
「すみません、ないです。」
 
 
 
 
 
・・・
 
 
 
 
 
この手の途上国でのWeb予約ってホント、一か八かだな。
 
 
 
 
 
何度も確認しないとアカン。
 
 
 
 
 
と教訓になりました。
 
 
 
 
 
「今日、ナゴルノ・カラバフへ行く予定にしてるのですが、行く手段ありませんか。」
 
 
 
 
 
すると、その若い兄ちゃん、
 
 
 
 
 
「僕の知り合いで行ってくれる人がいるかも。ちょっと電話してみる。」
 
 
 
 
 
望みを繋ぎ、しばらく待つと、
 
 
 
 
 
「片道40,000ドラム(およそ8,000円)で行ってくれる人がいるけど、どうする?」
 
 
 
 
 
車を借りてもそれくらいかかりますので、まあいっか。
 
 
 
 
 
マルシュートカで行くこともできますが、どこから何時に出るか分からない。
 
 
 
 
 
ナゴルノ・カラバフはすごく遠いので、マルシュートカだと到着は夜だろう。それにもう、マルシュートカはうんざりだ。笑
 
 
 
 
 
「お願いします。」
 
 
 
 
 
しばらくすると、オッチャン登場!
 
 
 
 
 
なんで私はこう、車を依頼するといつも運転手がオッチャンなんだろ。たまにはイケメンとかないんかい!
 
 
 
 
 
まぁイケメンの場合、何時間も助手席に座りドライブしてると恋してしまう可能性があるので、やっぱオッチャンでいっか。笑
 
 
 
 

オッチャンは英語は話せず、身振り手振りでのドライブが始まりました。
 
 
エレバンの国際空港を出て、なだらかな丘を永遠と登りました。
 
 
セヴァン湖。首都エレバンより高いところにある湖です。
 
 
これから向かう「ナゴルノ・カラバフ」も未承認国家です。世界的にはアゼルバイジャンの一自治州ですが、アルメニア人が実効支配し独立した形となっていま(した。2年前まで)す。
 
 
アゼルバイジャンの領土ですが、私の訪ねた時はアゼルからの入境は不可。
 
 
アルメニアからのみ入境可能でした。
 

 
オッチャン、ガソリン補給。ほんと遠いわ。
 
 
途中、天国かと思うほどの緑。
 
 
ゴールドを運ぶ長い列車の線路を横目に、

 

 

三時間ほど経ってやっと、アルメニアとナゴルノ・カラバフの州境へ。ここでパスポートチェック。入国時はビザがなくてもOKです。

 

 

山深いですね。本当に素晴らしい景色でしたよ。
 

 
山道を抜け、
 

 
美しい川沿いを走り、
 

 

エレバンの空港を出て5時間半。やっとナゴルノ・カラバフの首都ステパナケルトに入りました。

 

 
ステパナケルトはここにあります。
 
 
 
 
ホテルの住所をオッチャンに見せたのですが、イマイチよく分からない様子で、中心となる街のロータリーで降りて道行く人に確認。
 

 
若い女性に声をかけて、オッチャンが現地の言葉で聞いてくれました。
 

 
すると彼女、「どこから来たの?」と英語で私に話しかけてくれたのです。
 

 
英語も話せるんだ!?ここはアルメニア実効支配なので母国語はアルメニア語です。しかし、こんな山奥の未承認国家で、英語を話すとは!
 

 
日本から来たことや、ナゴルノ・カラバフ(こちらではアルツァフ共和国という)の事などで、ちょっとした話に花が咲きました。
 

 
彼女がホテルの場所を教えてくれたので、車で向かいます。軍人も歩いていますね。結構な数の軍人を見ましたよ。警戒度は高めに感じました。
 

 
私がここを訪ねてから、ちょうど二年後。コロナ禍中に紛争が始まりました。
 


どんなキッカケだったのか不明ですが、戦禍となってすぐ、アルメニアにとって長年の宿敵トルコが、ドローン無人爆撃機をアゼルバイジャンへ提供し、
 

 
最初は優勢だったナゴルノ・カラバフ軍+アルメニア軍+αが、そのドローンに手も足も出ずあれよあれよと劣勢に。これ以上、軍人や市民の死者を増やせないと、アルメニア(ナゴルノ・カラバフ)側が停戦(降伏)した形です。
 
 
この時に使われたドローンのリアルな攻撃映像を、私はYoutubeでたまたま見たのですが、上空から敵軍(ここではナゴルノ・カラバフ軍)を一発で仕留め、多くの軍人が吹っ飛ぶ様子が映し出されていました。
 
 
その一つの映像に流れる爆撃が一度や二度じゃなく、様々な場所で構えるナゴルノ・カラバフ軍の軍人を上空から一気に殺戮するドローンの様子が、もはやゲームのようで空恐ろしかったです。
 
 
この映像を見て、トルコからドローン爆撃機を購入した国がどれだけあったことか。こういうことで儲けるんですよね、トルコって。

 

 
この地方は元々、正教会のアルメニア人とイスラム教のアゼルバイジャン人が住んでいましたが、お互いを受け入れることなく大昔からいがみ合っていたそう。
 
 
旧ソ崩壊後、元々アルメニアに振り分けられていたナゴルノ・カラバフは、何かの力が働き昨日の今日でひっくり返されたようですよ。その時点で紛争が起きています。
 
 
 
 
 
その時はアルメニア軍が強くて、アゼルバイジャン人をこの地方から追い出しましたが、二年前の紛争で、アゼルバイジャンが取り返した形となりました。
 
 

今、ナゴルノ・カラバフは2/3ほどがアゼル奪還地域となっているらしいです。そこには金を始め、様々な鉱物の採れる地域も含まれていますよ。

 
 
また、奪還地域にアゼルバイジャンとトルコを結ぶ高速道路を敷き、国際空港も敷設するのだとか。この紛争は当初からトルコの影。
 
 
私思うに、コロナ禍の混乱を狙った突然の奇襲は、トルコが焚き付け主導したのでは?
 
 
この子達は大丈夫だっただろうか。
 
 
紛争が始まった当初、前回エレバンを訪ねたときにバスで出会った心優しいメンズが物資を募り始め、そのうち志願兵としてナゴルノ・カラバフへ向かっているとFBに載せまして、大変心配しました。
 
 
しばらく更新がなかったので、もしや。。。と思っていましたが、相当経ってからケロッと更新あり安堵したことを覚えています。
 
 
まあ、ちょっと紛争から離れまして、
 
 

 

 

 

街のアイスがめっちゃ美味しい。運人も並んでますね。笑 やっぱり水の綺麗なとこにいる牛のミルクは美味しい。

 

 
ビールは、ここで注いで持って帰ります。山奥なので使い捨てなどほとんどなし。資源のリサイクルは行き届いているよう。皆様、ペットボトルや瓶を持参ですよ。SDG’sをこの頃から実践。
 
 
ワインも同じく。ここから瓶に注いで持って帰ります。
 
 
そんな中、私は瓶ビール。スミマセン。笑

 
ホテルで夕飯。
 
 
翌朝に散歩しました。建築中の教会です。この時(4年前)、この街はやっと復興に向けて進み始めていたのですよ。

 

 

建設中の公共施設も多く、復興の道半ばって感じでしたけれども。
 
 
やっと前へ向いて進み始めたと思ったところで、2年前(2020)の紛争ですからね。上の教会も爆撃に遭って穴が開いたようです。
 
 
アルツァフ共和国の国旗が掲揚されている場所では、必ずアルメニア国旗も並んでいます。右がアルメニア、真ん中がアルツァフ共和国。アルメニアと引き裂かれた様子を表しているのだとか。
 
 
スタジアムの席にも。
 
 
旧ソ崩壊時、自治州をそれぞれの国に割り振る側はテキトーに決めてるでしょうが、そのおかげであちこち紛争が起き、多くの死者を出しています。
 
 
 
 
 
人種や民族、宗教を考慮していると「こっち立てればあっち立たず」でいつまでも決まらないのでしょうが、『旧ソ崩壊』という歴史的な出来事は、こうも広範囲に多大な影響を人々に与えていたのだなと、現地へ訪ねて感じました。
 
 
 
 
 
未だにウクライナは揉めていますものね。ウクライナだけではないですけどね。
 
 
 
 
 
さて今日は、エレバンに戻ります。
 
 
 
 

なんだかここまで来て私、一人レンタカー旅はキツかったかなーとシミジミ。車は借りれなかったけど、オッチャン運転で良かったかも。楽。

 

 

 

 

 

オッチャンは当初、片道だけの予定でしたが、運転に疲れたらしく、昨夜はナゴルノ・カラバフのどこかで泊まることにしたと。
 
 
 
 
 
なので、帰りも同じ値段で乗せてくれることになりました。
 
 
 
 
ここからエレバンまで行ってくれる車など、他にいるように思えなかったので、ホッとしました。
 
 


 

そうそう、ここも未承認国家ですので、VISAをゲットしないと出境できません。次の日、ステパナケルトにある外務省へ行き、VISAをもらいました。今となってはこのVISA超貴重。
 
 
これも出境時にチェックポイントで提出する必要があったかな。
 
 
領収書、3,000アルメニアドラム。700円くらい。
 
 
さぁ、帰途に着きます。また長旅。もっと泊まりたかったですけどね。ほんと日本のサラリーマンというのは私の性質に向いてない。
 
 
出境ポイントでVISAを見せ、先ほどの紙を渡します。
 
 
ここももう、今となっては閉鎖されているのでしょうかね。
 
 
太古の昔から領土争いの絶えなかったナゴルノ・カラバフ地方を訪ね、「人種の壁は超えられないのか?」ということをすごく考えましたね。アブハジアもそうでしたが、個人の壁はなくとも民族単位となると何故か諍いが起きる。
 
 
ナゴルノ・カラバフに至っては、あまりにも紛争が長すぎて(紀元前から)、DNAに叩き込まれているのでは?とさえ感じました。
 
 
私の訪ねた2年後(2020)、あのような紛争が起きるなど、この現代において信じられない思いで情報を読み漁っていましたが、
 

 

 


 
 
今回のウクライナで、現代だろうが未来だろうが、どんなに技術が進歩しようが、どんなにITが発達しようが、人間自体は大して変わらず、戦争の旨味を知ってる爺さん世代の焚き付けで、戦争はいつでもどこでも起きるものだと確信いたしましたわ。
 
 
ところでオッチャン、行きに増してタバコ休憩が増えましてですね。ちょいちょい停車。
 
 
車の中で吸えばいいのに。。と思いながらずっと来ていたのですが、、、
 
 
どうやら、私のために車内で吸うことを遠慮してくれてたことが分かり、「ええ?いいよいいよ、全然吸っていいですよ!」と身振り手振り。笑 
 
 
オッチャン、すごく真面目な紳士で、だいぶ我慢してたよう。行きだって言ってくれれば良かったのに。まぁでも、長旅なので一時間おきくらいは休憩必要。ちょうどよかったのかもね。
 
 
エレバンのホテルまで送ってもらい、最後にフロントで一緒にパチリ。
 
 
オッチャン、運転ほんとお疲れさまでした。思わぬ二人旅。会話もないのに妙な信頼感が生まれていましてね。いつまでもお元気で!