聖子が残したものを、旅に変えて。11月、遺影と一緒に石川から北海道へ | ロックベーシスト 西本圭介

ロックベーシスト 西本圭介

テクニカルベーシストとしてベース・マガジンでも紹介 / ディープ・パープルのグレン・ヒューズ達と共にヨーロッパ11カ国を周り、また巨匠ビリー・シーンと共にKoRnのドラマー[レイ・ルジアー]のリズム隊として登場。

 

最近、少しずつ身の回りのものを整理しています。

バイクを何台か販売したり、
「3丁目のたこボール」で長年活躍してきたワーゲンバスから、たこ焼き屋としての設備を降ろしたり。

ワーゲンバスは、ようやく本来のWestfaliaのキャンパー仕様へ戻しました。
 


聖子が店長として乗り、たこ焼きを焼き、たくさんのお客さんと出会ってきたワーゲンバス。

 

その中からキッチン設備を一つずつ降ろしていく作業は、単なる車の模様替えではありませんでした。


 

電子レンジ。
冷蔵庫。
たこ焼きコンロ。
鉄板。
作業台。
細かな備品。

どれも16年間の「3丁目のたこボール」を支えてきたものです。

 

現在、その一部をジモティーなどで販売しています。

たこ焼きコンロや鉄板も出品しました。
 


 

もちろん、全部を捨てるわけではありません。

たこ焼きを焼くために使っていた大きな什器は、そのまま処分するのがどうしても忍びなくて、ガレージの工作台として生まれ変わらせました。
 

鉄板を置いていた場所は耐熱仕様になっているので、これからバイクの部品を削ったり、いずれ溶接機を買ったらちょっとした加工をしたり。

たこ焼きを作っていた台が、今度はバイクを直す台になります。
 

こうして形を変えて残せるものは、できるだけ残していきたいと思っています。
 

一方で、私が持っていても使うことのない道具までガレージの奥に積み上げておくことが、本当に聖子のためになるのか。

最近は、そう考えるようになりました。

埃をかぶって眠り続けるより、
必要としている誰かのところへ渡って、もう一度道具として使われた方がいい。
 

バイクも同じです。


image
 

手放すたびに寂しさはあります。

聖子のものが、家から一つずつ減っていく。

これは正直、なかなか慣れるものではありません。

ただ、私は単純に「現金化したいから売っている」わけではありません。

実は、その先に一つやりたいことがあります。


11月、聖子と一緒にもう一度旅をしたい

11月には、長女が女子フットサルの全国大会に出場します。

会場は石川県。

聖子は、陽子のフットサルの試合を本当に楽しみにしていました。

そして2026年6月15日。

聖子は、長女のフットサルの試合を応援した帰り道に交通事故に遭い、亡くなりました。

だから私は思います。

もし聖子が生きていたら、全国大会には絶対に行っただろうな、と。

仕事があったとしても、

「全国大会なんじゃけぇ、行くに決まっとるじゃん」

そんなことを言って、きっと応援に行ったと思います。
 

だから今回の全国大会には、私一人で行くつもりはありません。

聖子の遺影を持って行きます。

 

 

客席から、一緒に応援します。

私にとっては、ただの全国大会観戦ではありません。

聖子と一緒に続きを見に行く旅です。
 


そして、その旅にはもう一つ続きがあります。

聖子は生前、

「11月に北海道へ行きたい」

と言っていました。

北海道・釧路には次男が暮らしています。

そのシェアハウスにも行ってみたいと話していました。

結局、その願いをかなえる前に聖子はいなくなってしまいました。

だから石川県で全国大会を応援したあと、私はそのまま車で北へ向かおうと思っています。

新潟からフェリーに乗り、北海道へ。

そして釧路まで。

 

石川から北海道。

かなり長い旅になります。

でも、急ぐ必要はありません。

途中で景色を見て、
サービスエリアで休んで、
フェリーに乗って海を渡って。

聖子の写真を助手席に置いて、

「ここまで来たよ」

と話しながら走ろうと思っています。


売ったものを、旅の費用に

今回、バイクやたこ焼き屋の設備を販売して得たお金は、できるだけこの旅の費用に充てたいと思っています。

ガソリン代。
高速道路代。
フェリー代。
宿泊費。

そう考えると、少し気持ちが変わります。

聖子が使っていたものを単純に売って、お金に換えているのではない。

聖子が残したものが、今度は私たちを石川へ、北海道へ連れて行ってくれる。

そんなふうに思えるからです。

 

たこ焼きコンロは、またどこかでたこ焼きを焼くかもしれない。

バイクは、新しいオーナーと新しい道を走る。

什器は、私のガレージで工作台として第二の人生を始める。

そして、それらを手放して得たお金の一部は、聖子が行きたかった場所へ向かう旅になる。

物の形は変わっても、
聖子が残してくれたものまで消えてしまうわけではありません。

むしろ、

次につないでいく。

最近は、そう考えるようになりました。


11月。

石川県で陽子の全国大会を応援して、

そのまま北海道へ。

聖子が生きていたら、一緒に見たかった景色。

一緒に行きたかった場所。

今度は私が、聖子の遺影を連れて行ってきます。

これは「遺品整理の続き」ではなく、

聖子との旅の続き。

そんな11月にしたいと思っています。