昨日の日経平均株価は、前日比3,318円安で下げ幅は歴代3位という記録になりました。
ニュースでも「史上3番目の下げ幅!」と大きく報じられていましたね。
3,000円を超える下落。数字だけ見ても、なかなかのインパクトです。
でも、下げ幅ではなく「下落率」で見ると、歴代何位になるのでしょうか?
答えは……20位にも入りません。
昨日の下落率は約4.9%。
下落率の歴代1位は、1987年のブラックマンデーで記録した約14.9%。歴代20位でも約6.6%です。
下げ幅では歴代3位なのに、下落率ではトップ20にも入らない。
同じ暴落なのに、見る数字によって、これほど印象が変わるのです。
昔の3,000円安と、今の3,000円安
なぜ、こんな差が生まれるのかというと、日経平均株価の水準が昔と今では大きく異なるからです。
例えば、日経平均が1万5,000円のときに3,000円下がったら、下落率は20%。
一方、昨日のように日経平均が6万4,000円台なら、3,000円安でも下落率は約4.7%です。
同じ3,000円安でも、株価全体に対するインパクトはまったく違います。
もちろん、日経平均が1万5,000円だった時代に、実際に3,000円下がったという話ではありません。あくまで、株価の水準によって下落率がどう変わるかを示した例です。
「何円下がったか」だけでは、その下落の大きさを正しく比較できない。
昔なら3,000円安で20%の下落。もしそんなことが起きたら、相当な大暴落です。
一方、今は株価の水準が高いため、数千円単位の下落も起こり得ます。
だからといって、今の3,000円安が大したことではない、という意味ではありません。約5%の下落は、十分に大きな値動きです。
ただ、金額のインパクトだけで過去の暴落と比べるのは、ちょっと違うということですね。
なぜ「3,318円安!」のほうが印象に残るのか
ニュースで「3,318円安」と聞くと、思わずギョッとします。
でも、「下落率4.9%」と聞くと、少し違った印象を受けますよね?
人間には、最初に提示された数字や情報を基準にして、その後の判断が引っ張られやすい傾向があります。心理学では、こうした現象を「アンカリング効果」と呼びます。
もちろん、ニュースが下げ幅を取り上げるのは、歴代順位という客観的な記録があるからでもあります。
ただ、インパクトの強い数字ほど印象に残りやすいのも事実。
「歴代3位」と聞くと、過去最悪級の暴落だったように感じてしまうかもしれません。
そんなときは、ちょっと立ち止まって、「で、下落率は何%なの?」と確認してみる。
それだけでも、ニュースの見え方が変わることがあります。
日経平均が暴落しても、自分の持ち株は同じように下がるとは限らない
もうひとつ、知っておきたいことがあります。
それは、日経平均株価が日本株全体の動きを完全に表しているわけではない、ということ。
日経平均は225銘柄で構成されていますが、単純に225社の株価を平均したものではありません。株価の高い銘柄などの影響を受けやすい仕組みになっています。
例えば、半導体関連株などが大きく売られると、日経平均が強く押し下げられることがあります。
一方、銀行株や食品株など、別の業種の株は違った動きをする場合もあります。
実際、昨日は日経平均が約4.9%下落したのに対し、TOPIXの下落率は約2.4%でした。
どちらも日本株の動きを示す指数ですが、構成銘柄や計算方法が違うため、同じ日に同じように動くとは限らないのです。
つまり、日経平均が大暴落したからといって、自分の持ち株がすべて同じ割合で下がったわけではありません。ニュースの数字と、自分の資産の増減が一致しないことがあるのも、このためです。
日経平均だけでなく、TOPIXや自分が保有している銘柄の動きも見てみると、相場の状況をもう少し立体的に捉えられます。
数字は正しい。でも、見方はひとつじゃない
今回の日経平均3,318円安。歴代3位という記録は事実ですし、約4.9%という下落率も事実です。どちらかが間違っているわけではありません。
ただ、どちらの数字を強調するかによって、受ける印象は大きく変わります。
下げ幅を見るのか、下落率を見るのか。
日経平均を見るのか、TOPIXを見るのか。
ひとつの数字だけで判断せず、違う角度から見てみることが大切なのだと思います。
もちろん、下落率が歴代20位以内に入らないからといって、安心できるわけではありません。ここからさらに下がる可能性もありますし、数字だけで今後の相場を予測することもできません。
でも、インパクトの強いニュースを見たときこそ、その数字が何を意味しているのか、ちょっと掘り下げてみたい。
「何円安」だけでなく「何%安」も見る。
たったこれだけでも、株式市場の見え方は変わるかもしれません![]()