原子爆弾の開発に成功し、「原爆の父」と呼ばれた物理学者ロバート・オッペンハイマーの知られざる人生を描いた歴史ドラマ。
第二次世界大戦下のアメリカ。
極秘に立ち上げられたプロジェクト“マンハッタン計画”に参加したJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)は、優秀な科学者たちを率いて世界初の原子爆弾を開発する。
しかし、原爆が実戦で投下され、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩する。
その後、冷戦や赤狩りなど、激動の時代の波に飲み込まれていく。。。
監督・脚本・製作は、「インセプション」「ダンケルク」などのクリストファー・ノーラン。
原作は、カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン。
出演は、「ダークナイト」シリーズなどのキリアン・マーフィーがオッペンハイマー、「クワイエット・プレイス」などのエミリー・ブラントが妻のキティ・オッペンハイマー、そして「アイアンマン」シリーズなどのロバート・ダウニー・Jr.がアメリカ原子力委員会の委員長ルイス・ストローズを演じる。
出演は他に、「AIR/エア」などのマット・デイモン、「ミッドサマー」などのフローレンス・ピュー、「オペレーション・フォーチュン」などのジョシュ・ハートネット、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」などのケイシー・アフレック、「ボヘミアン・ラプソディ」などのラミ・マレック、「名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊」などのケネス・ブラナーなど。
音楽は、「TENET テネット」などのルドウィグ・ゴランソン。
原題「Oppeheimer」
映倫区分R15+
2023年作品
アメリカ映画
配給はビターズ・エンド
製作会社はSyncopy=Atlas Entertainment=Gadget Films
上映時間180分
原作は未読です。
第96回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、撮影賞、編集賞、作曲賞の7部門の栄冠に輝きました。
圧巻でしたね。
クリストファー・ノーラン監督は、そろそろ受賞してもいいんじゃないか。という事もあったんでしょうか。
これでノーラン監督は、娯楽映画のノーランだけでなく、巨匠の仲間入りですね。
おめでとうございます。
非常に面白かった。
凄い作品だった。
原爆の父、オッペンハイマーの半生を描いています。
1本の映画、伝記映画としてはかなり良く出来ている作品だと思います。
人類最悪の殺戮兵器・原爆の完成、成功を終始スリリングに見せてくれます。
それとスパイ容疑の尋問を挟みながら、緊張感溢れる構成で物語を展開し我々を魅了します。
ルドウィグ・ゴランソンの音楽も全て計算し尽くした、非常に緻密な旋律がさらにスリリングさを生み出します。
悪魔の兵器を作り出す様を、見事に表現しています。
演出も撮影も音響も音楽も映像も迫力満点で素晴らしいです。
個人的には、特に被爆国である日本としての見方の問題はあるにせよ、1本の映画としは格別に良かった。
脚本も非常に計算されて緻密で素晴らしい出来。
ただ、ちょっと専門用語が多いし、人物も多くちょっと複雑。
それに、いくつもの時間軸が同時に進んでいく、ノーラン監督得意の変態的時間軸構成のおかげでさらりと観れない。
無理矢理難解にしているようにも思える。
まあ、この感じの作品がアカデミー賞に輝くというのは、納得出来ました。
そして、キャストが恐ろしく豪華です。
トールマン大統がゲイリー・オールドマンというのも凄い。
この映画は面白いとか、面白くないとか、そういう角度から見れる映画ではないように思えます。
ただ、やはり日本人として、原爆を開発していく過程、出来上がって投下する場所を議論する、被害を描かないというところは、心が痛みます。
広島に投下して、大喝采を浴びるオッペンハイマー。
そして、その彼の苦悩。
オッペンハイマーは、人類を滅亡させる兵器を作ってしまったのだから。
原爆を成功させたシーンは、寒気に襲われ鳥肌がたつくらい、人類にとって恐ろしいシーンだった。
でも、ノーランはあえて日本の被害を大まかな数字と2、3のセリフだけで表現したのだと思う。
実際、当時のアメリカはそんなもんだったんでしょう。
ここに、広島や長崎の被害を写真付きで克明に描くと、この映画の軸がブレるような気がする。
もちろん、主人公がオッペンハイマーなわけであるし、アメリカ映画なので当たり前なのですが、アメリカ側からの視点でしか描かれていません。
やっぱり、この映画に日本側の視点を入れ込むのはおかしい。
なので、これで十分いいんです。
日本としては、このアメリカ側の視点でのやりとり、日本としてだけでなく、世界はこの視点で描かれたこの現実をどうか見てなにかを感じ取って欲しい。
今作を観て、楽しむという感覚ではなく、特に日本人ならなにかを感じ取って鑑賞出来ることに、大きな価値があると思う。
アメリカ視点ではありますが、ちゃんとした反戦映画になっています。
北米では同時期に公開された「バービー」の大ヒットともに、2作一緒に鑑賞する者が多いと報じられており、インターネット上では両方の映画のタイトルを合わせた「バーベンハイマー」という造語も生まれた。
日本でもSNSで炎上してましたね。
日本公開が、今の時期になったのは、北米と合わせて2023年の夏期に公開してしまうと、広島市への原子爆弾投下日である8月6日や、長崎市への原子爆弾投下日である8月9日、終戦の日である8月15日と重なるため、対日感情を考慮してこれを避けたとの指摘があるようですが、アメリカで製作された映画は北米公開から数か月遅れて公開されるのはよくあることで、今作が特別な訳ではないとの指摘もあるようです。
ですが、配給会社のビターズ・エンドのコメントで、「弊社ビターズ・エンドは、クリストファー・ノーラン監督作「オッペンハイマー」を2024年、日本公開いたします。本作が扱う題材が、私たち日本人にとって非常に重要かつ特別な意味を持つものであるため、さまざまな議論と検討の末、日本公開を決定いたしました。作品を観た上で、クリストファー・ノーラン監督の手による、伝統的な作劇手法を超越した唯一無二の映画体験には、大スクリーンでの鑑賞が相応しいと考えております。日本公開の際には観客の皆様ご自身の目で本作を御覧いただけますと幸いです。」とあるので、やはりなにかしら日本公開にあたり弊害があった感じですね。
■興行収入予想
現段階では上映館数344館と拡大ロードショー。
3月29日(金)からの公開。
同日の公開作品は、「ゴーストバスターズ/フローズン・サマー」、「ラブリセット 30日後、離婚します」、「デストラップ/狼狩り」、「RHEINGOLD ラインゴールド」、「パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ」、「美と殺戮のすべて」など。
北米では2023年7月21日公開。
製作費は1億ドル。
興行収入は、全世界で約9億5,700万ドル、北米で約3億2,600万ドル。
ちなみに、クリストファー・ノーラン監督の近年の作品では、2020年の「TENET テネット」が、製作費2億2,500万ドルで全世界で約3億6,500万ドル、北米で約5,800万ドル、日本で約27億3,000万円。
これはコロナ禍真っ只中での数字であるので、通常時と比べてはならない。
2017年の「ダンケルク」は、製作費1億ドルで全世界で約5億2,700万ドル、北米で約1億9,000万ドル、日本で約16億4,000万円。
2014年の「インターステラー」は、製作費1億6,500万ドルで全世界で約7億170万ドル、北米で約1億8,800万ドル、日本で約12億6,500万円。
2012年の「ダークナイト ライジング」は、製作費2億5,000万ドルで全世界で約10億800万ドル、北米で約4億4,800万ドル、日本で約19億7,000万円。
2010年の「インセプション」は、製作費1億6,000万ドルで全世界で約8億3.600万ドル、北米で約2億9,200万ドル、日本で約35億万円。
という成績。
さあ、日本ではどうか。
アカデミー賞主要部門受賞効果は十分にあると思いますが。。。今のところ思ったっほど動員出来ていない感じですね。。。
題材が原爆ということと、上映時間が180分と長いことが客足を遠のかしているのか。
特大ヒットにはならない感じですね。
初登場2位スタートと予想。
最終興行収入は28億5,000万円と予想。
星4つ半(5点満点)
★★★★☆
「オッペンハイマー」公式サイト
「オッペンハイマー」のチラシ付きパンフレットです!
「オッペンハイマー」関連の書籍『オッペンハイマー クリストファー・ノーランの映画制作現場』です!
ガイ・バード&マーティンJシャーウィンによる『オッペンハイマー 上 異才』です!
ガイ・バード&マーティンJシャーウィンによる『オッペンハイマー 中 原爆』です!
ガイ・バード&マーティンJシャーウィンによる『オッペンハイマー 下 贖罪 』です!
「オッペンハイマー」関連の書籍『ロバート・オッペンハイマー ――愚者としての科学者』です!
「オッペンハイマー」関連の書籍『ヒロシマ・ナガサキのまえにーオッペンハイマーと原子爆弾ー』です!
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