「ニーチェの馬」などのハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督・脚本が大作「サタンタンゴ」に続いて撮りあげた長編作品で、クラスナホルカイ・ラースローの小説『抵抗の憂鬱』をモノクロ映像で映画化した幻想ドラマ。
2024年2月24日より、4Kレストア版にてリバイバル公開。
ハンガリーの荒涼とした田舎町。
天文学が趣味の郵便配達員ヤーノシュは、音楽家の老人エステルの身の周りを世話している。
エステルは18世紀の音楽家ベルクマイスターを批判しているようだ。
ある日、町の広場に移動サーカスと見世物である巨大クジラがこつ然と姿を現す。
住民たちは「プリンス」と名乗る扇動者の声にあおられるように広場に集まり、やがて町中に破壊と暴力が充満していく。
出演は、「ラン・ローラ・ラン」などのラルス・ルドルフ、「マリア・ブラウンの結婚」などライナー・ベルナー・ファスビンダー監督作への出演で知られる「すべてうまくいきますように」などのハンナ・シグラ、「さよなら子供たち」などのペーター・フィッツなど。
脚本・原作は、「サタンタンゴ」などのクラスナホルカイ・ラースロー。
音楽は、「ダムネーション/天罰」などのヴィーグ・ミハーイ。
原題「Werckmeister Harm_ni_k」
2000年作品
ハンガリー=ドイツ=フランス合作映画
配給はビターズ・エンド
製作会社は13プロ=フォンダチオネ・モンテチネマヴェリタ=ゲス・フィルム=マグヤル・モズゴケプ・アァピトヴァニー=マグヤル・テレヴィジオ=ネムゼティ・クルトゥラリス・アラプログラム=オルスザゴス・ラジオ・エ・テレヴィジオ・テストレ=ラジオテレヴィジオーネ・イタリアーナ=スタジオ・バベルスバーグ=フォン・ヴェティンホフ・フィルムプロ=ツェット・ドイツ・フェルンスヘン=アルテ
上映時間145分
タル・ベーラ監督作品は、「ニーチェの馬」しか観ていませんでした。
「サタンタンゴ」は観たいと思ってたけど、7時間という長さで未だ未見。
原作小説『抵抗の憂鬱』も未読。
今回、4Kレストア版にてリバイバル公開というのでこれを機に鑑賞。
完成まで4年の歳月をかけて完成させた異色のモノクロ作品です。
おお、これは。。。いいですね。
このモノクロの世界観、めっちゃいいです。
めっちゃ重厚感があります。
そして長回しが多い。
上映時間145分で、カット数わずか37だということです。
凄すぎる。
そしてこれがまた美しい。
これはタル・ベーラ監督の特徴ですね。
ヴィーグ・ミハーイによる音楽も、ファンタジーっぽくてい素晴らしい。
物語的にはなかなか理解に苦しむものです。
頭の悪い私には、理解が至っていません。
登場人物の背景も教えてくれません。
セリフも少ない。
でも、ストーリーは複雑ではなく、わかりやすいです。
無駄なものは一切削ぎ落としたモノクロ映像によって、人間の姿が浮き彫りなっている。
長回しや演出は、観ている者の不安も掻き立てる。
私にとっては物語に入り込むというより、映像美・映画技法を感じる映画ですかね。
なので、長回しも多いし、集中出来ず入り込めなければきっと眠ってしまう。。。
非常にアート性の高い作品です。
特徴的な広場に残されたクジラを観て、どのようなメタファーを受け取るか。。。
これは、一度観ただけではピンとこないのかもしれない。
ただ、「ニーチェの馬」の時も感じたのですが、この映画は映画作品としての原点回帰をしているように思える。
映画芸術の先駆けの時代に戻そうとしているのではないか。
とも思えるような。
映像で表現することとはなんなのか。を目指しているような。
少なすぎるカットに長回しで、映画という概念を取り払ったような感じでしょうか。
2000年の作品で、かつ上記で書いたような感覚があるのに、なんか今の時代とシンクロしているような感じがあるんですよね。
なんとも言葉では言い表せないけど。。。
なんか凄いものを観た。。。な感じ。
この作品は、その都度変わる感覚に快感を覚えるまで何度も観たい作品ですね。
なにか、漠然とした大きななにかに包まれるような感覚になりました。
■興行収入予想
現段階では上映館数4館と少ない。
2月24日(金)からの全国順次公開中。
タル・ベーラ監督作品は、日本ではかなりマイナーで、一部映画ファンしか認知度はあまりありません。
今作は、4Kレストア版にてリバイバル公開なので興行収入の期待は持てないですね。
一部ファンは、マストですね。
初登場圏外スタートと予想しましたがそうでした。
ミニシアターランキングでは1週くらいは上位に入るかもです。
最終興行収入は1,000万円と予想。
星4つ(5点満点)
★★★★
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