介護士として働きながら42人もの高齢者を殺害した殺人犯と、彼を裁こうとする検事の激突を描いた葉真中顕による小説『ロスト・ケア』を映画化。
老人と訪問介護センターの所長の死体が早朝の民家で発見された。
容疑者として浮上したのは亡くなった所長が勤めていたセンターで介護士として働く斯波宗典。
検事の大友秀実は彼が働き始めてから亡くなった介護センターの利用者が40人を超えていることを突き止める。
真実を明らかにしようと斯波を追い詰めていく大友に、彼は自分のしたことは「殺人」ではなく「救い」であったと主張する。
監督・脚本は、「そして、バトンは渡された」などの前田哲。
出演は、「聖の青春」などの松山ケンイチが殺人犯となった斯波宗典、「コンフィデンスマンJP」シリーズの長澤まさみが法の正義のもと斯波を追い詰める検事、大友秀美をそれぞれ演じる。
出演は他に、「バイオレンスアクション」などの鈴鹿央士、「そばかす」などの坂井真紀、「沈黙のパレード」などの戸田菜穂、「ひとりぼっちじゃない」などの峯村リエ、ずんのやす、「老後の資金がありません!」などの藤田弓子、「湯道」などの梶原善、「シャイロックの子供たち」など柄本明など。
脚本は他に、「四月は君の嘘」などの龍居由佳里。
音楽は、「流浪の月」などの原摩利彦。
主題歌は、 森山直太朗の「さもありなん」。
映倫区分G
2023年作品
日本映画
配給は日活 東京テアトル
製作会社は日活=東京テアトル=東映ビデオ=東宝芸能=光文社(製作幹事:日活=東京テアトル/制作プロダクション:日活=ドラゴンフライ)
上映時間114分
原作は未読。
存在は知っていましたが、中身は知りませんでした。
面白い。
めっちゃ号泣してしまいました。
というか、重い。
観終わった後、めっちゃどんよりした。
介護の大変さやそれを取り巻く人物・キャラクターの感情を繊細に上手く表現しています。
誰にでも起こりうる事の物語で、かなり生々しくリアル。
決して他人事じゃない。
かなり考えてしまいます。
とても辛い。
人それぞれの思いや考えがあると思う。
実際は、もっともっと過酷なこともあるはず。
自分が生きることで結構精一杯だし、生きるって本当に大変だなって生活の中で感じることが多い。
でも、それも子育てや親の介護も含まれてのことでしょうが。
何が正しいのか何が正しくないのかを問われる作品ですね。
法律的には正しいのは長澤まさみで、間違ってるのが松山ケンイチです。
映画的には主人公である松山ケンイチに肩入れして見せようとするところでしょうが、そうではない。松山ケンイチの気持ちもわかるが。。。わかるけど、どんな理由、思いがあっても人の命を終わらせることは、許されない。
映画を観ながら、そういう思いになる。
これは、人によって反対の見方もある、という風に持っていってない。
観た人、きっと全ての人が、気持ちは分かるけど松山ケンイチは裁かれるべきだと思って観ているはす。
やはり自分勝手だとしか思えない。
観客も、長澤まさみの役所のように、とても気持ちが揺れる。
揺れ動く。
あえてそういう見せ方にしているところが、この映画の素晴らしいところ。
そして、父とのあの瞬間で救われる。
ここで、キャラも観客もみんな少し救われる。
この絶妙な気持ちの揺れ動きの持っていきかた、素晴らしいです。
このような介護問題などとなると、法律だけで治る問題じゃないですね。
自分の親の今後の介護問題がチラついて何とも言えない気分になる。
私も、母が今かなり弱っていて介護が必要な状況になっている。
でも、この間、入院して心配はもちろんですが、ちょっと寂しいやら病院だから安心したやら。。。
複雑な心情です。
この映画を観ている間、ずっとすっかり老いてしまった母の事を思い出していた。
母が若い頃、よく唄ってた歌を頭の中で何度も何度も繰り返していた。
そして、たぶん近い将来やってくる、その時を思いまた涙が溢れ出た。
きっと親が介護の年齢になられている方々には、色々と 刺さると思います。
若い世代で、親がまだ元気な方々でも、今からしっかり考えて覚悟もしておいた方がいいと思います。
この映画、若者にはきっと受けが悪いし、そもそも観に行かないとは思いますが、是非幅広い世代、たくさんの人に観て欲しいです。
それしても、主演の松山ケンイチはもちろんいいですが、柄本明は相変わらず凄いですね。
とんでもない演技ですわ。
出番はそんなに多くないですが、かなり強烈です。
この2人の魂のぶつかり合いとも言える凄まじい演技合戦です。
もうこれだけでも観る価値があります。
もちろん、長澤まさみもいいですよ。
■興行収入予想
現段階では上映館数230館と普通規模公開。
3月24日(金)からの公開。
同日の公開作品は、「シング・フォー・ミー、ライル」、「グリッドマン ユニバース」、「デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム」、「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」、「赦し」、「メグレと若い女の死」、「三茶のポルターガイスト」など。
前田哲監督作品としては、2018年の「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」は11億4,000万円、2021年の「老後の資金がありません!」は、12億4,000万円、2021年の「そして、バトンは渡された」は17億2,000万円の興行収入。
さて今作はどうか。
初登場5位スタートと予想。
最終興行収入は7億2,000万円と予想。
星4つ(5点満点)
★★★★
「ロストケア」公式サイト
「ロストケア」のチラシ付きのパンフレットです!
葉真中顕による「ロストケア」の原作本です!
「ロストケア」のサントラです!
前田哲監督作「そして、バトンは渡された」のDVD プレミアム・エディション(2枚組)です!
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前田哲監督作「老後の資金がありません!」のBlu-rayです!
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