本「雲の墓標」感想 | リタイアライフのつぶやき

リタイアライフのつぶやき

65才でサラリーマン生活からリタイア。さて、これから何をしていこうか。ブログでつぶやきながら日常生活を報告。参考になれば幸いです。

今月の8月3日に、作家阿川弘之氏が亡くなりました(94才)。


阿川弘之といえば、「雲の墓標」を思い出し、自宅の本棚をゴソゴソ。


買ったかどうか、記憶にはなく、半信半疑でしたが、ラッキーな事に


ありました。買ったのは20年以上前でした。


時期が時期だけに、興味がわいてきたため、再読しました。


内容で本の裏の解説は、以下の通りです。


「太平洋戦争末期、南方諸島の日本軍が次々に玉砕し、本土決戦が叫ばれていた頃、


海軍予備学生たちは特攻隊員として、空や海の果てに消えていった……。


一特攻学徒兵吉野次郎の日記の形をとり、大空に散った彼ら若人たちの、生への執着


と死の恐怖に身をもだえる真実の姿を描く。観念的イデオロギー的な従来の戦争小説


にはのぞむことのできなかったリアリティを持つ問題作。」とあります。


実際、作者の阿川弘之は、1942年9月海軍予備学生として海軍に入隊し、


1943年、8月に海軍少尉に任官しています。


この小説は、作者自身の体験に基づき、あるいは、友人の手紙によるものなのか


わかりませんが、事実をあらわしているとするならば、海軍の中ては、何かに


つけてなぐるシーンが多く、読んでいて、いじめの世界がいやになります。


海軍兵学校出身者が、主人公ら学徒出陣者を補助的存在として、いじめたり、


命を軽視したりします。


本の中で、この時代の政治家、軍人らが笑って死ぬことしか考えず、この国を


再建することを考えている人は誰もいないと言っています。


出撃命令が出た時、とうとうきたかという感じで、いつも明日死ぬといわれ


つづけたら、諦めの心境になるものです。


だれだも、死にたくないのだから、出撃命令の時は、硬直状態になります。


喜んで死に行く人間なんて一人もいません。


この本の終わりに、両親にあてた遺書があります。特攻隊として、死んで


いく両親との別れの手紙には、思わず泣けてしまいました。


いえる事は、2度とこんな時代はきてほしくないということでした。





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