宮崎駿さんの風の谷のナウシカが好きだ。いや、映画版も勿論だがわたしが愛してやまないのは漫画版の原作のほうである。映画では1巻の半ばまでしか語られておらず、それぞれの人物の奥深さが表現しきれていない。まぁ、2時間という映画の時間枠の中ではそれらを全て表現するのは不可能であろうし、物語を完結させなければいけないので仕方がない。ちなみにわたしの好きなキャラは クシャナ とチクク。旦那にしたいキャラはユパ様。息子にしたいキャラはオーマ(巨神兵)。
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みなさまおなじみの映画版では、クシャナ が率いるトルメキア軍が風の谷に不時着し、そこから人間(?)たちの身勝手な自然破壊によって蟲たちの怒り買い、それをナウシカがおさめるといったような大自然賛美的な色合いが濃いが、原作は大分違う。
原作では、この世界に存在する、トルメキアと土鬼(ドルク)という敵対する二大列強国が行っている戦争が物語の核となっている。その辺境地にあるトルメキアの同盟国「風の谷」および、工業都市ペジテ市が戦いに巻き込まれ、巨神兵をはじめとした『火の7日間』以前の文明の謎が紐解かれていくというストーリーだ。
映画版で重要な役割を果たすペジテのアスベルは原作ではさほど活躍せず、むしろ映画版では悪役としか描かれていないトルメキアのクシャナや軍参謀のクロトワがどんな思いでやりたくもない戦争をしているのか、その背景にあるものはなんなのか?というトルメキア王国の闇の部分が物語の重要な伏線となって展開していく。

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冒頭でも述べたが、わたしの一番好きなキャラはクシャナである。映画版のクシャナはただの悪役に描かれていて口惜しいことこの上ない。原作のクシャナは悲しい生い立ちを胸に、腐敗した祖国を救うべく戦う王女である。部下にも慕われており、自分の部隊が「蟲」の大群に囲まれ絶対絶命の危機に陥った時、部下の兵士達を落ち着かせるために子守唄を唄い、決死の覚悟でクロトワの命を救い、物語の中盤からはナウシカとも理解しあうようになる。

個人的にはこの作品のタイトルは『風の谷のナウシカ』ではなく『トルメキアのクシャナ』でもよいのではないかと思っている。

また、クロトワの「腐ってやがる!早すぎたんだ!」のセリフでおなじみの巨神兵であるが、人々の畏怖の対象のなる点では映画版と同じである。しかし原作ではストーリが進むにつれてナウシカのある行動により人格を持ち、ナウシカを守護する存在となってゆく。
ナウシカの原作にはいろいろと邪推したくなるような要素が多い。ネタバレするが実はナウシカ達は『綺麗な空気の中では生きられない』のだ。つまりナウシカ達、この世界で『人類』とされている者たちは人間ではないのである。詳しい説明は原作を読んでいただくとして、そういうことになってくると、ナウシカのサイズに関してにも疑問が湧いてくる。「蟲」がわたしの見ている虫と同じサイズだったとしたら、ナウシカの身長はもしかしたら3cmくらいなのかもしれない。実は巨神兵が人間サイズとか・・・。謎である。
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ナウシカちゃん、セルムくんと幸せになってね(←いつもの書評のオチ)
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