映画「ムカデ人間」~他映画の感想も | 通りすがりのブルジョワ

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グロテスク・スプラッター作品が好きでよく観ます。最近は育児について書いてます。



やあ。我が名はヨーゼフ・ハイター。

“博士”だって? おいおい、昔の名で呼ぶのはやめてくれ。

今、私がもっぱら興味があるのは「創造」でね。

一つの新たな生命体を創り出すよろこびに、私は打ち震えている。

そう、その生命体は「三つの体」から成り立つのである。

三つの、人間の体を繋げて……。


※倫理的にあれな映画なので、感想も倫理的にあれです。

(作品のネタバレをやや含みます)

 


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★エログロについて


健全なる少年少女が誤っても見てしまわぬよう、言及をしておきますが、特にそれらしい描写はないので大丈夫です。

それでも過保護な親御さんのために、少しかすめるかな? と思ったところを挙げるとするならば、

グロ→お腹にメスを入れて皮膚を切り取る(麻酔有)描写がある。しかし皮膚は作り物感が結構あるし出血も少ない。ある意味、医療ドラマの手術シーンと同じと言ってもいい。ピュアなハートで見ることができる。

エロ→中盤以降、女性二名の胸部は丸見えにこそなるが、意図的に胸部を描写するシーンはなし。「よくよく見たら裸やないか!」程度。ムカデ人間それぞれの股間部も、術後まもないためか包帯が巻かれているのでダ〇スケ的にもオールオッケー。

 

あなた「友達や恋人と一緒に観たいけど、エロシーンで気まずくなりたくない!」

わたし「エロシーンはないので大丈夫です


そんな感じです。ちなみにR-15指定。



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感想


主人公であるヨーゼフ・ハイターさん。とりあえず顔が怖いですよね。「狂った博士」の役としては顔面で一発合格できそうなレベルだし、何なら推奨文も付けてもらえそう。「羊たちの沈黙」で有名なレクター博士も底知れぬ怖さがあるが、それとはまた違う。こいつは一目でヤベエとわかるヤベエ奴。

とにもかくにも、生物の体と体を繋げて「一つの生命体」にすることに人生をかけているような男性であり、マフィアのような色付きサングラスをかけている姿はやはり怖いものがある。

(ちなみに彼は、集中すると呼吸を止める癖がある)

 

映画、面白いには面白いのだけれど、ムカデ人間をつくるまでが長い。

私としては「ムカデ人間をつくって、あれやこれや~と物語が進展していく」というものを期待していたので、いざ観てみたら「森で迷子になるシーン長くね? えっ、脱走シーンにこんな尺取る? 寝台でわちゃわちゃし過ぎじゃね? てか関西人うるさくね?」という感じでした。

つまりこの映画、ムカデ人間の創造はあくまでも結果であって、創造するまでの過程を大事にしているっぽいのです。

普通の人間だった男女がいかにしてムカデになっていくか、ということを表現したかった……のだろうか?

ムカデになる男女の焦燥・葛藤はどうでもいいから、男女がムカデにされたあとを濃厚に描写してほしかったです。

 

実際、ムカデ人間に改造されるシーンが割とお粗末でした。

→麻酔で眠らされている男女

→ヨーゼフのベッドシーン(※寝ているだけです)

→眠らされている男女

→ねむねむヨーゼフ

……と、数秒間隔で順番に映されるのみで、次のシーンではすでにムカデ人間が完成しているのです。

そのわずか数十秒で「手術開始から数日経過していますヨ」ということを表しているらしい。

私的には、ムカデ人間をつくる過程(どこをどうやって繋げるのかの説明や、手術シーンの視覚的な描写)を詳しく入れてほしかったです。

せっかく天才外科医(たぶん)でいい腕を持っている(はず)なのに、肝心のムカデ人間をつくる描写がおざなりなんだもん。

 

グロテスク度 ★☆☆☆☆

エロチック度 ★☆☆☆☆

後味の悪さ度 ★★☆☆☆

頭おかしい度 ★★★★☆

全体的にどう ★★★☆☆

 


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せっかくなので続編(?)であるムカデ人間2とムカデ人間3も見たのですが、それらを見たあとでは「あー、ムカデ人間おもしろいわ」となりました。つまり2と3はクソ。


そんな感じで以下、最近観た他の映画のひどい感想。

全体的に罵っていますので、もしその映画を好きな方がおられましたらすみません。飽くまでも私個人の感想です。

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『ムカデ人間2』&『ムカデ人間3』
→「ムカデ人間」の映画を見た肥満小男が真似っ子どんどんして12人(?)を繋げるというストーリー。白黒映画。(この白黒に救われたとグロ苦手な人は言う)
これは正直、肥満小男に同情しました。彼、叫んだりはするものの一切言葉を喋らないのですが、その理由が心の病なんですね。幼少期に受けた実の父親からの性的虐待が原因で。
まずそこに小一時間心を悩ませました。血の繋がった息子に性的興奮を覚える父親がいる、っていうのが本当に恐ろしいですよね。
児童虐待の被害者が県内で○万人越え、という記事を以前新聞で読んだのですが、その中に「性的虐待」という項目がありまして。何と被害児童数1000人(約)。飽くまでも「この一年に県内で児童相談所に相談された件数」らしいので、つまり通報や相談をされていないものを含めたらもっと数はあるのでしょう。恐ろしや。
映画での印象的な台詞
「泣くんじゃない。泣くと、父さんの○○○○が固くなるぞ」
肥満小男に性的虐待していた父親の台詞です。キモ……。

→クソオブクソ。見る価値無し。
ムカデ人間&ムカデ人間2の映画を観たふたりが、自分たちの職場である刑務所の受刑者500人(?)を繋げるというストーリー。エロあり。1の博士と2の肥満小男が共演してます(役は違う)。
しかし終始下ネタ言ってるだけ。下品。所長の精神状態が心配。
個人的にゲロ吐きシーンが大好きなので、トム・シックス監督が窓にゲロるところは良かったです。もっとゲロってほしい。
(ムカデ人間シリーズの監督トム・シックスが本人役で出演しているのですが、これはモノホン……? 監督のお顔を知らないのでわかりません……)


『グロテスク』
カス。つまらない。AVかぶれの下品な映画。
手繋いで仲良さそう〜に歩いていた若い男女をキチガイ男が拉致、拘束して色々な痛いことをする映画。
「君たちの愛を試す」「相手のために死ねる?」
とかってキチガイ男が言うんですがそれはあなたの勘違いです。彼らは恋人同士ではありません。はい終了ー! みたいな感じでした。
私はピュアなのでAVは見たことありませんが、これはAVかぶれのクソ映画。
エロって言っても色々とあるじゃないですか? それは見せ方次第で「エロティック」にも「官能的」にも「すけべえ」にも「セクシー」にもなるんですよ。それなのに、この映画はただただ「下品」。きもちわるうーい!
前半、キチガイ男が女の子を脱がしてペロペロしたりするだけです。あのさ、わしはAVを借りたんじゃねーんだよ。テメェ、タイトル通りのことをしろ。「グロテスク」なんじゃねーのか? それとも何か? テメェの疑似AV愛撫シーンが「グロテスク」ってか? 笑えるぜ!!

そんな感じで前半は無意味なエロ。いらない。
後半、いよいよグロ来るか? って期待するじゃないですか。期待させておいてこれ。何これクソじゃん……。何も興奮しない……心がたぎらない……。
グロシーンというのはもっと、
心がどきどきして
身体がぞくぞくして
ああ、ああ……
興奮する……
痛い……
気持ちいい……
痛い……
ああ……
もっと……
ああ……もっと!!!!
って楽しくなるものなのに。この映画は何も感じない。何も興奮しない。
AV借りるのは恥ずかしいけどエロが観たいって方は、良いかもしれません。行為はしませんが、キチガイ男が女の子の服を剥いで上半身と下半身を触ったり舐めたりはします。
でも、ああいう拘束プレイは良いですよね。シチュエーション自体はよかです。でもクソ映画。


『メメント』
面白かったけど長い……。話が難しいから、余計に長く感じました。それとテンポがもう少し速くてもよかったと思う。
これは、簡易的に感想を書ける映画ではないです。もっと考察に考察を重ね、熟考してから感想を書き記すべき映画。そのくらいに難しい話だと思いました。
主人公は可哀想と言うか、悲惨というか。しかしこれ、主人公は「まともな日常生活を送れている」とは言わないっすよね? 精神病院かどこかに主人公は入ったほうがいいと私は思うんですよ。精神を病んでいる、とはまた意味が違うのかもしれないけど、明らかに「一般人」ではないでしょ?
普通の人と同じように、普通の生活を送ることができない。その時点で、思考がたとえまともだったのだとしても、何かしら周囲の援助を受けるべきだと思うのです。ぜひとも彼を思うのなら、病院か施設に入れてあげてほしい。
何というか……救われない話。やるせないです。
けど名作だとは思う。エロ無しですし、おすすめします。


『ドント・ブリーズ』
盲目の金持ち爺さん家に、ドロボーに入る男女3人の話。
とりあえず一言
「爺さん100%被害者やないかい」
観れば観るほど(1回しか観てないけど)、爺さんに非はほとんど無いと思いました。娘を事故で亡くし、その慰謝料か何かで莫大な金が手に入り、その金を狙って来たドロボーたちにボコられる爺さん(爺さんは元軍人のため、ドロボー3人中2人は返り討ちにします)。

爺さん家の地下室に、若い女性が監禁されているんですよ。
その女性こそが、爺さんの娘を轢き殺した犯人。
しかし金持ちの令嬢だったんだか何だかで、お金で解決して彼女は逮捕されなかった。それを爺さんは許せなかったのだそうで、誘拐拉致して地下室で飼っていたみたいなんですね。
その監禁彼女、何かやんかあって結果的に死んでしまいます。
そのときに爺さんが亡骸を抱いて泣くんですね。泣いて悲しんでいたんです。そのとき、誰しもが思うわけですよ。
「ああ、死んだ娘の代わりに、監禁彼女を自分の娘だと思って愛していたんだな……」
と。映画を観ている人の大多数が、そう思ったと思います。

しかし。ある意味、どんでん返しがそのあとに来ます。
ドロボー女の子が爺さんに捕まり、監禁彼女が監禁されていた場所に、今度はドロボー女の子が監禁されてしまいます。そうして、爺さんは語りはじめるのです。

「死んでしまった娘はもう帰ってこない。それはもう仕方がない。だから私は、娘を殺した彼女に償ってもらうことにした。私は自分の娘がほしい」

男は冷蔵庫から、何かを取り出します。

「監禁彼女のお腹には、子供がいた」

………………え…………。

「順調に育っていた。もうすぐで生まれるはずだった」

え……待ってジジイ……?
監禁彼女を娘同然にかわいがっていた、のではなくて?

「レイプはしない」

ジジイが手に持つ、スポイトのようなものに入った何かの液体。白い液体。え、これって……。
ドロボー女の子はその意味を理解して泣き叫ぶ。
いや……マジキモ!! これはキモイ……。
宙吊りのような格好で拘束しているドロボー女の子のスボンの尻あたりをナイフで切り、ジジイは自分の○液が入ったスポイトを近づけます。女の子は死ぬ気で嫌がります。でしょうね。
でもこのとき私は思いました。ドロボー女の子、どう足掻いたって犯罪者ですよ。この爺さん家以前に、色んなところにドロボーして荒稼ぎしてる悪人です。家が貧乏だからって、そんなのドロボーしていい理由ではないことくらい分かる年齢でしょう。
ジジイさんの精○注がれるくらい、当然の報いでは?
まったく非のない無実の少女なら同情したけれど、ドロボーだから余り可哀想だとは思わなかったです。それよか、このドロボー女の子は助かるのです。結局、ジジイさんのお金を持ち逃げして、海外だかどこかに逃げるのです。犯罪者が得をするってどーなん?
ジジイさんはドロボー3人組との戦いで大怪我を負いましたが、一命は取り留めたようです。しかしお金は盗まれたまま。うーん。ジジイさん可哀想。


『エイリアン』
観た数日後にTVCMで新作映画の公開を知りました。タイムリー!
特に何かの期待をしていたわけではないけれど、面白かったです。時間にしては『メメント』同様、2時間くらいはあったと思うんですが、まったく体感時間が違いましたね。こちらは先の読めない展開にハラハラ、ドキドキしっぱなしで、2時間も観ていたのか!? と驚いたくらいです。
ダラス(?)みたいな名前の男性が主人公だと思っていたんですが、違いましたね。私、映画を観ていて「主人公がダレか?」を判別するのが苦手なんですよ。主人公だと思っていた人が序盤で死んだなんてことはたくさんあります。

「ニーアオートマタ」でアダムとはじめて会う、エイリアンの死体がある地下あるじゃないですか? あの場所を思わせるシーンがありました。あ、似てる! って。オートマタもひょっとしたら、この辺りから参考にしてるところとかもあるのかな? ないのかな?

とりあえず、楽しく観ることができました。エログロも特にないですし、おすすめです。



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そんな感じですね。今回当たりだなーと思ったものは『メメント』と『エイリアン』ですね。面白かったです。『バタフライエフェクト』と『食人族』が手許にあるのですが、まだ見ていないです。見たらまた近いうちに感想を。


総評

映画はおもしろいんだなあ


2017.9