6月13日 記念日 その3 | スズメの北摂三島情報局

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2011/08/02 リニューアル
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柴犬ハルがお伝えします

はやぶさの日。
2010(平成22)年6月13日、小惑星探査機『はやぶさ』は、宇宙空間約60億Km、約7年間の歳月を掛けたミッションで、世界初の小惑星サンプルリターン(地球以外の天体や惑星間空間から試料を採取し、持帰ること)や、電気推進エンジン(イオンエンジン)の長時間運行を始めとする数々の科学的偉業を成遂げ、地球に奇跡的な帰還を果たした。この偉業から学んだ「あきらめない心」「努力する心」の大切さを伝えていこうと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の施設がある4市2町(秋田県能代市・岩手県大船渡市・神奈川県相模原市・長野県佐久市・鹿児島県肝属郡肝付町・北海道広尾郡大樹町)で構成する「銀河連邦」(本部:神奈川県相模原市)が制定。「銀河連邦」は、神奈川県相模原市の呼掛けて、1987(昭和62)年に発足し、2012(平成24)年で友好交流25周年を迎えた。相互の発展と宇宙への夢とロマンを育むことを目的に、首脳サミット、銀河フォーラム、子ども留学交流等を行なっている。さらに、1995(平成7)年1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の発生を受けて、災害時に相互応援を行なう防災組織という側面も有するようになった。2016(平成28)年に宮城県角田市が加盟したことで、銀河連邦は5市2町の組織となった。なお、電気推進エンジン(イオンエンジン)は、電気推進と呼ばれる方式を採用したロケットエンジンの一種であり、マイクロ波(電波の中で最も短い波長域)を使って生成したプラズマ状イオンを、静電場で加速・噴射することで、推力を得るロケットエンジンである。イオン推進、イオンロケット、イオンスラスタ等ともいう。最大推力は小さいが、比較的少ない燃料で長時間動作させられる特徴を持ち、打上げられた後の人工衛星や、宇宙探査機の軌道制御に用いられることが多い。『はやぶさ』の正式名称は「第20号科学衛星MUSES-C」で、2003(平成15)年5月9日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究機関である宇宙科学研究所(ISAS)が打上げた小惑星探査機である。イオンエンジンの実証試験を行ないながら、2005(平成17)年夏に地球近傍小惑星(地球に接近する軌道を持つ小惑星)のグループの1つ、アポロ群の小惑星「イトカワ(25143)」に到達し、その表面を詳しく観測してサンプル採集を試みた後、この日に地球に大気圏再突入した。地球重力圏外にある天体の固体表面に着陸してのサンプルリターンに、世界で初めて成功した訳であるが、小惑星からのサンプルリターン計画は、国際的にも例が無かった。「イトカワ(25143)」は、平均半径が約160m、長径500m余りしかない小天体であり、これは、これまで惑星探査機が探査を行なった中で最も小さな天体である。『はやぶさ』は2010(平成22)年6月に地球へ帰還し、同年11月には、『はやぶさ』のカプセルコンテナ内に「イトカワ(25143)」の微粒子が多数存在することが明らかとなり、その後「イトカワ(25143)」の微粒子についての分析が進められている。『はやぶさ』の地球帰還とカプセルの大気圏再突入、カプセルの一般公開、その後の採取物の解析等は、日本を中心に社会的な関心を集めた。『はやぶさ』がミッションを終えてからも、ブームはしばらく続き、「イトカワ(25143)」探査の終了後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機『はやぶさ2』をミッションとして立案し、2014(平成26)年12月3日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センター大型ロケット発射場から、人工衛星打上げ用液体燃料ロケット「H-IIAロケット」で打上げた。『はやぶさ2』は、地球近傍小惑星の 「リュウグウ(162173)」への着陸、及びサンプルリターンが計画されている。初の地球外天体からのサンプルリターンは、1969(昭和44)年のアポロ11号で、これは有人月探査であった。無人探査機によるものでは、翌1970(昭和45)年の旧ソビエト連邦の無人月探査機ルナ16号が初である。無人探査機で月の石を地球に持帰ることに成功したのは、ルナ16号が初めてであった。『はやぶさ』は、小惑星探査機として数々の新技術を実証しているが、初の小惑星探査機は、近接探査という意味では、1991(平成3)年に小惑星帯(アステロイドベルト、太陽系の中で火星と木星の間にある小惑星の軌道が集中している領域)の内縁近くにある小惑星「ガスプラ」を探査した、アメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機ガリレオである。また、小惑星を専門とする初の探査機は、1996(平成8)年に打上げられたアメリカ航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機NEARシューメーカーであり、これは、初の小惑星周回(ランデブー)と軟着陸を行なっている。そのため、『はやぶさ』は、初の小惑星から離陸・帰還した探査機ということになった。また、電気推進エンジン(イオンエンジン)をメインエンジンとする初の小惑星探査機は、1998(平成8)年に打上げられたアメリカ航空宇宙局(NASA)のディープ・スペース1号であり、『はやぶさ』はあくまで、新方式の電気推進エンジン(イオンエンジン)を実証した探査機である。複数の技術的なトラブルに見舞われ、帰還を絶望視されつつも、それを乗越えて地球への帰還を目指す『はやぶさ』の旅程は、多くの日本人に美談として受止められ、共感を呼んだ。『はやぶさ』は、「星の王子さまに会いに行きませんか」キャンペーンを実施し、国内外から149ヶ国約88万名の署名入りターゲットマーカー(灯台の役割を果たす装置)を積んでいたことで、投下成功のニュースには、多くの励ましのメールが宇宙航空研究開発機構(JAXA)に届けられた。ターゲットマーカーの大きさは直径10cm程で、周りに貼付けられた反射シートが、『はやぶさ』から発せられたフラッシュによって明るく輝く。これをガイドにして、『はやぶさ』は「イトカワ(25143)」に安全に着陸することができた。『はやぶさ』に対する反響の一環として、プラモデルや書籍、果ては日本酒等といったグッズも、無人探査機を扱った商品としては、例外的な売行きを示した。『はやぶさ』帰還後には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に8社から映画化のオファーがあり、2011(平成23)年秋期から2012(平成24)年春期にかけて、『はやぶさ』を主題とした映画3作が相次いで公開された。日本国内で同じ題材の映画が3作品重なって競作されることは、非常に稀なことである。映画の他には、映画の原作となった著作や、探査機を萌え擬人化した漫画作品等が出版されている。世界で初めて小惑星の物質を持帰ることに成功した探査『はやぶさ』の後継機で、初号機が小惑星往復に初めて挑んだ「実験機」であったのに対し、有機物や水のある小惑星を探査して、生命誕生の謎を解明するという科学的成果を上げるための、初の「実用機」として開発された『はやぶさ2』の基本設計は、初代『はやぶさ』と同一であるが、『はやぶさ』の運用を通じて明らかになった問題点を解決した、改良機となっている。サンプル採取方式は、『はやぶさ』と同じく「タッチダウン」方式であるが、事前に爆発によって衝突体を突入させ、直径数mのクレーターを作ることによって、深部の試料を採取できるようにする。採取した物質は、耐熱カプセルに収納されて地球に回収される。着陸用小型ローバーの「ミネルバ2」(2-1A, 2-1B, 2-2の計3基)、及び、ドイツとフランスが開発した小型着陸機「マスコット」も搭載されている。