5月30日 記念日 その3 | スズメの北摂三島情報局

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2011/08/02 リニューアル
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柴犬ハルがお伝えします

消費者の日。
1968(昭和43)年5月30日、消費者の利益を守ることを目的とした「消費者保護基本法(昭和43年5月30日法律第78号)」が公布・施行されたことを記念して、その10周年に当たる1978(昭和53)年に政府が制定し、総理府(内閣総理大臣自らが分担管理する事務、及び各行政機関の総合調整に係る事務を所掌した行政機関で、現在は内閣府に統合されている)の外局(特殊な事務、独立性の強い事務を行なうための組織で、独任制の庁)として設置され、長期経済計画の策定、各省庁間の経済政策の調整、内外の経済動向に関する調査・分析、国民所得の調査等を所掌した経済企画庁(現在の内閣府の前身の1つ)が主催した。「消費者保護基本法」は、その後の社会状況の変化(規制緩和、高度情報通信社会)等にも対応するため、2004(平成16)年に、消費者がより自立するための支援をする目的に改正され(「消費者保護基本法の一部を改正する法律[平成16年6月2日法律第70号])、名称は「消費者基本法」となった。 消費者保護とは、経済学用語の1つで、市場において自由な取引が行なわれる社会では、消費者の利益というものは侵害され易い状態に置かれているが、このような消費者の脆弱性的な利益を守ろうとする公権力のことを言う。これは、近代資本主義の発展等という、20世紀以降の科学技術の発展と共に行なわれるようになった大量生産や、専門的なサービスと共に重要視されるようになった概念であり、その背景には、これらと相まって、消費者問題の深刻化や消費者運動の強力化等といった事柄が存在する。このことから、消費者保護は、現代国家においての重要な課題、政策の1つであると言える。イギリスでは、18世紀末に産業革命が起こり、19世紀の中頃には消費者問題が起こっている。アメリカでも、比較的早期から消費者による運動が盛んであった。特に1960年代から1970年代、アメリカの弁護士・社会運動家、ラルフ・ネーダーによる企業告発等によって消費者運動 (コンシューマリズム) が盛上がった。1962(昭和37)年3月15日、アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディは、消費者保護特別教書において、消費者の4つの権利として、安全を求める権利、選ぶ権利、知らされる権利、意見を聞いてもらう権利を挙げた。1975(昭和50)年に、アメリカ合衆国第38代大統領ジェラルド・R・フォードによって、消費者教育を受ける権利が追加され、「消費者5つの権利」と呼ばれるようになる。現在は、1980(昭和55)年に国際消費者機構(CI)が追加した、生活の基本的ニーズが保障される権利、救済を求める権利、健康な環境を求める権利を含め、「消費者8つの権利」と呼ばれている。これらの権利は、2004(平成16)年施行の「消費者基本法」にも明記され、日本国内において、消費者が持っている権利であるということが明文化された。日本でも、第二次世界大戦後の1945(昭和20)年、大阪の主婦らが粗悪品追放を掲げて、「おしゃもじ運動」を起こす等して消費者運動が始まった。1954(昭和29)年12月から1973(昭和48)年11月までの約19年間の時期である高度経済成長期になると、様々な消費者問題が起き、その後「消費者保護基本法」が制定され、ようやく産業優先の考え方から消費者優先の原則へと移行し、消費者保護の基本的方向が示されることとなった。「消費者保護基本法」は、消費者のための憲法とも言われることがあるものであり、これによって、行政・事業者・消費者それぞれの役割が明確化された。それまでの「産業優先」に凝り固まった考え方から消費者優先の原則へと移行し、消費者行政の基礎が体系付けられ、消費者保護に関する基本的方向が示された。その後、この「消費者保護基本法」の趣旨に則り、全国の地方自治体に消費生活センターが設置された。これは、消費者行政の「第一線機関」とも位置付けられるものであり、消費者からの苦情・相談の窓口となったり、苦情処理テストや消費者啓発を行なう等、消費者と直接に接する業務を行なうものである。販売業者のセールスマン(セールスレディー)が一方的に消費者宅に訪問し、訪問先で商品(権利、役務を含む)の販売活動を行なう小売形態、訪問販売が盛んになり、これに関するトラブルが増えたことから、1976(昭和51)年には「訪問販売等に関する法律(訪問販売法、昭和51年6月4日法律第57号)」が制定された。後の2000(平成12)年に、「特定商取引に関する法律」と改題される(「訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律[平成12年11月17日法律第120号]」によるもの)。また、消費者を保護するためにクーリングオフ制度が設けられた。クーリングオフとは、一定の契約に限り、一定期間、説明不要で無条件で、申込みの撤回、又は契約を解除できる法制度である。但し、申込者が商人、又は契約が開業準備行為であるものに対しては、適用されない。なお、法律の条文そのものには「クーリングオフ」という表現は無く、前述のような内容を法文で表現している。さらに、2009(平成21)年、消費者の視点から政策全般を監視する組織の実現を目指し、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする内閣府の外局(特殊な事務、独立性の強い事務を行うための組織)として、消費者庁が発足した。消費者庁が所管する独立行政法人(日本の行政機関である省庁から独立した法人組織であって、かつ行政の一端を担い、公共の見地から事務や国家の事業を実施し、国民の生活の安定と社会、及び経済の健全な発展に役立つものとされる)として国民生活センターがあり、全国の消費生活センター等と連携し、消費者行政の中核的な実施機関としての役割を担っている。国民生活センターの具体的な業務としては、一般消費者からの直接・間接(地方自治体の消費生活センターを通じて)消費生活に関する相談の受付、危害情報の収集、蓄積、これに基づいた情報提供、市販商品テストや結果に基づいた企業への改善等の要請等がある。消費生活センターは、地方公共団体が設置する行政機関で、事業者に対する消費者の苦情や相談の他に、消費者啓発活動や生活に関する情報提供等を行なう。名称は「消費生活センター」に限らず、設置者により、消費者センター、消費者相談室、消費者生活センター、生活科学センター、市民生活センター等の他に、市民相談室が担当する事例も見られる。悪質商法や製品事故等の情報交換、消費生活相談データベースの共有、消費生活相談員の研修事業等を国民生活センターと連携するが、国民生活センターの下部組織ではない。内閣府は、現行法では悪徳業者を呼出せないため、将来的には法律を改正して、事業者を呼出す権限を付与する方針を固めた。「消費者基本法」の前身である1968(昭和43)年の「消費者保護基本法」公布・施行から20周年となる1988年(昭和63)年からは、5月1日から5月31日までを「消費者月間」として、全国各地で消費者の権利を守る啓発運動が行なわれている。消費者、事業者、行政が一体となって、消費者問題に関する教育・啓発等の事業を集中的に行なう他、地方公共団体等の広報誌や各種メディアを通じて、消費者月間についての広報を積極的に実施したり、消費者月間ポスターを作成し、地方公共団体や消費者団体、事業者・事業者団体、鉄道会社の各駅等で掲出する。なお、消費者運動の統一行動日とされ、1983(昭和58)年から始まった「世界消費者権利デー(World Consumer Rights Day)」は、3月15日とされている。これは、1962(昭和37)年に、90ヶ国、215の消費者団体が参加する国際消費者機構(CI)において、アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディが「消費者には権利がある」と一般教書で発表した日に因んだ記念日である。