5月29日 記念日 その3 | スズメの北摂三島情報局

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2011/08/02 リニューアル
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柴犬ハルがお伝えします

こんにゃくの日。
5月29日の「5」と「29」を、「こ(5)んに(2)ゃく(9)」と読む語呂合せから、東京都千代田区神田多町に所在する、生産者・原料業界・製造業界の三者による業界団体、財団法人日本こんにゃく協会(現在は、一般財団法人となっている)と、同じく東京都千代田区神田多町に所在する、こんにゃく製品の食品加工業者による製造業者団体、全国こんにゃく協同組合連合会が1989(平成元)年に制定したもの。また、こんにゃくの作付けが5月に行なわれることと、本格的な夏を迎える前に、こんにゃくの効用や機能性を再確認して健康に過ごして欲しい、という願いも込められている。この日は、「ぐんまこんにゃく祭り」等が開催される。こんにゃくは、サトイモ科の植物、或いは、その球茎から製造される食品である。こんにゃくを食用としている主な地域は、日本の他、中国、ミャンマー、韓国等のアジア各国であるが、和食ブームの広がりと共に、低カロリーの健康食品として、欧米にも広がりつつある。英語では、こんにゃく芋の花の形から「devil's tongue(悪魔の舌)」という名前が付けられていたが、現在では「Konjac」や「Konnyaku」という名が一般的になっている。主産地は群馬県で、第2位栃木県、第3位茨城県と続き、約95%は北関東で生産されている。こんにゃくの成分は、約96%から約97%が水分であり、それを除くと、主成分はグルコマンナンである。グルコマンナンは、グルコースとマンノースが 2:3 - 1:2 の比率で重合した多糖類の一種で、「コンニャクマンナン」とも呼ばれる。ヒトの消化管では殆ど消化されず、腸内微生物により、一部脂肪酸に変換されて利用される。このため、カロリーが極めて低い食品(100g当たり約5キロカロリーから約7キロカロリー)の1つとされ、摂取カロリーを制限する必要のある場合の食品素材としてよく利用される。ぷにぷにとした独特の食感をもつ。一度凝固させたこんにゃくは水溶性を持たず、強い弾力を示す。通常、ビニール袋やプラスチック製のパック詰めで販売されているが、缶詰等で販売されているものもある。独特の臭みがあり、調理に際しては、一度煮込んで灰汁抜きをするが、今日では、灰汁抜きが不要な製品も多く見られる。こんにゃくのカロリーは300g(1枚)で21キロカロリーと、非常にカロリーが低く、四つ切のこんにゃくおでんに、2gの練り辛子を付けて食す場合では、付けた練り辛子の方がカロリーが高い(辛子6キロカロリー、こんにゃく5キロカロリー)程である。食物繊維が豊富なこともあり、ダイエット食品(健康食品)としても人気がある。コンニャクイモは、日本へは仏教と共に、6世紀中頃に薬用として伝来し、第33代天皇、推古天皇の時代(7世紀前半頃)に本格的に中国から輸入された。その目的は、「砂払い(整腸)」の薬効であったが、鎌倉時代までに食品として確立し、精進料理に用いられるようになる。庶民に広まったのは、元禄年間(17世紀の終わりから18世紀初頭)の頃である。こんにゃくにひじき(海藻の一種)等で色を付けるのは、昔は皮ごとすり下ろした芋を使っていた名残である。江戸時代に製粉法が開発されて、白いコンニャクを作ることが可能になったが、こんにゃくらしくないと評判が悪かったため、意図的に色を付けるようになった。滋賀県の近江八幡には、三二酸化鉄(鉄の酸化物の1つで、粉末になると赤褐色を示すもの)を加え、赤色に加工した「赤こんにゃく」がある。関東では、材料を細い穴から押出してから凝固させて作る、細い糸状のこんにゃくを「しらたき(白滝)」と呼んでいた。これに対して、関西では、板こんにゃくを細く切って糸状にした物を糸こんにゃくと呼んでおり、製法の違いもあって、両者は別物と言われていたが、現在では、糸こんにゃくも細い穴を通す製法になったために、両者を区別する方法はなくなったとされる。このように、細い糸状のこんにゃくを、主に関東地方ではしらたき、関西地方では糸こんにゃくと呼んでいる。こんにゃくは、主におでん、煮物、味噌汁、豚汁等、汁物や鍋物の具に使われる。また、串を刺して味噌田楽の素材としても用いられる。しらたきや糸こんにゃくは、すき焼き等に使用される。板こんにゃくは、味がしみ込みやすいように、手でちぎって調理されることもある。こんにゃくの中でも、精粉から作ったものは灰汁が少ないため、生のまま刺身にして食べることもできる。角型に成型されたものを薄く切って食べることもできる他、刺身専用に作られたものも市販されている。刺身こんにゃく用に作られたものは、食感のためか表面をやや粗くしてある、風味や外観を変えるため、青海苔や胡麻、人参等で着色してある等の特徴がある。また、こんにゃくは味が淡白なため、刺身こんにゃくには醤油ではなく、酢味噌を付けて食べることもある。意味不明で噛合わない問答を、「こんにゃく問答」という。これは、寺の和尚に化けたこんにゃく屋が、禅僧と問答する落語の演目に由来する言葉とされる。さらに、「坊主とこんにゃくは田舎がよい」と言われる。田舎の黒いこんにゃくが、混ぜ物を多く含む都会の白いこんにゃくより優れる、とされるように、仏僧も余計な世間知のない純朴な人物の方がふさわしい、ということである。こんにゃくが庶民の食材となった経緯の中で、「こんにゃくの革新」とでも言うべき重大なできごとが起きる。江戸前期の1750年代まで、こんにゃくの製法と言えば、まずは、こんにゃく芋を摺りおろすことからであった。そこに、えぐみの除去とこんにゃくの固化の両方の目的で、灰汁(あく)が加わる。しかし、この製法では、こんにゃく芋を収穫してから、すぐにこんにゃくにして食べるしかなかった。こんにゃく芋は寒さに弱く、日持ちしないためである。そうした中で現れたのが、常陸国久慈郡諸沢(現在の茨城県常陸大宮市)に住んでいた、藤右衛門という農民である。ある日のこと、藤右衛門は、鍬で切られて剥き出しとなったこんにゃく芋の表面が、白く乾燥しているに気付く。その気付きを元に、こんにゃく芋を輪切りにして、串に刺して乾燥させ、砕いて粉にすることを思い付いた。これが、こんにゃくの歴史に革新をもたらす。山村から街まで売りに、重いこんにゃく芋を運ぶのは、過酷な作業であった。乾燥したこんにゃく粉であれば、こんにゃく芋の生玉に比べ、約10倍濃縮した状態で運べる。極めて効率良く、こんにゃくの原料を売ることができた訳である。藤右衛門や村の農民達の生活はこれで潤い、その功績により、藤右衛門は「中島」の姓を授けられた。茨城県久慈郡大子町には、中島藤右衛門を祀った「蒟蒻神社」も建てられた。粉末のこんにゃくに果汁等を混ぜて固めたこんにゃくゼリーは、食物繊維が多いこんにゃくの特徴に着目したものであり、ゼラチン(動物の皮膚や骨、腱等の結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出したもの)を原料としたゼリーに比べてかなりカロリーが低く、ダイエットによいと宣伝されている。普通のゼリーは、常温で溶ける場合があるが、こんにゃくゼリーは常温でゲル状(粘性をもつ個体の状態)を保つ。日本国外(主にアメリカ合衆国)では、しらたきがダイエット食品の一種として、パスタの代用品に利用されており、「Shirataki noodle(シラタキ・ヌードル)」の名称で販売されている。通常のしらたきの他、パスタに見た目を近付けるために豆腐を混ぜた「Tofu Shirataki(トウフ・シラタキ)」も販売されている。また、イタリアでは、乾燥しらたきが、やはりパスタの代用品として「ZENPASTA(ゼンパスタ)」の名称で販売されている。なお、生麺風のこんにゃく麺の製品が誕生した2013(平成25)年5月20日に因んで、5月20日が、群馬県甘楽郡甘楽町に本社を置き、「こんにゃくパーク」の運営でも有名な、こんにゃくメーカーの株式会社ヨコオデイリーフーズが制定した「こんにゃく麺の日」とされている。