5月19日 記念日 その2 | スズメの北摂三島情報局

スズメの北摂三島情報局

2011/08/02 リニューアル
2019/07/14 アメブロ移動
柴犬ハルがお伝えします

セメントの日。
1875(明治8)年5月19日、現在の東京都江東区清澄に所在していた官営深川セメント製造所(後の浅野セメント、現在の太平洋セメント[セメント業界最大手の企業]の源流の1つ)で洋学者・軍学者・化学工学者・化学技術者の宇都宮三郎らが、国産初のポルトランドセメント(最も一般的なセメントで、モルタルやコンクリートの原料として使用されるセメントの種類の1つ)の製造に成功したことを記念した日。尾張国/美濃国/三河国尾張藩藩士の家に生まれた宇都宮三郎は、甲州流軍学(甲斐国[現在の山梨県に相当]武田氏の戦術が理想化され、江戸時代に大成された兵学[軍楽]の1つ)や伝統的な砲術を学んでいたが、西洋砲術に興味を持ち、江戸時代後期に活躍した蘭学者・砲術家、上田帯刀(上田仲敏)の門人となり、蘭学者らと交流した。江戸に赴いた後、尾張藩から帰国を命じられるが従わず、脱藩して、1858(安政5)年には、幕府の大砲製造を指導した。さらに、幕府の蕃書調所(後に洋書調所)に勤め、精錬所、精錬方を化学所、化学方と改称するよう提案し、採用された。従来、「舎密(学)」と訳されていた「化学」という訳語を使い、普及させるきっかけとしたのも、宇都宮三郎とされる。宇都宮三郎は、セメント、炭酸ソーダ(炭酸ナトリウムとも呼ばれる、洗剤やガラス製造等の原料に利用されるアルカリ金属炭酸塩)、耐火煉瓦(窯炉[物質を高温度に加熱するための装置]、その他の高温で使用される構造物の素材として用いる高温に耐えられる煉瓦)の製造等に当たり、日本での化学工業界の先駆者として貢献をした。醸酒法の特許を取り、1895(明治8)年には、洋酒バー『神谷バー』(現在の東京都台東区浅草に所在する、日本最初のバーとされる店)や、茨城県牛久市にあるワイン醸造施設『シャトーカミヤ』の創設者、神谷伝兵衛と共に、酒類醸造研究所を設立した。因みに、宇都宮三郎は、日本で初めて生命保険に加入した人物ともされている。セメントとは、一般的には、水や液剤等により水和や重合し硬化する粉体を指す。セメントの利用は古く、古代エジプトのピラミッドにも、砂(細骨材)とセメントと水とを練り混ぜて作る建築材料であるモルタルとして使用されたセメント(気硬性セメント)が残っている。古代ギリシャや古代ローマの時代になると、凝灰岩(火山から噴出された火山灰が、地上や水中に堆積してできた岩石)の分解物を添加した水硬性セメントが、水中工事や道路工事等に用いられるようになった。しかし、中世になると、ヨーロッパでは、水硬性セメントによるコンクリートが使われなくなり、石壁や石柱の芯を埋めるのに、弱いセメントが使われる程度になった。現代的な水硬性セメントは、産業革命(18世紀後半のイギリスに始まった、綿工業[木綿工業]での手工業に替わる機械の発明、さらに蒸気機関の出現と、それに伴なう石炭の利用という生産技術の革新とエネルギーの変革)と共に開発され始めた。産業革命時代に急成長を遂げたイギリスでは、建築用のよい石材の価格が上がったため、高級な建物であっても、煉瓦造りにして表面を漆喰で塗り固め、石のように見せ掛けるのが一般化した。このため、水硬性の石灰が重宝されたが、固まるまでの時間をより短くする必要性から、新たなセメントの開発が促進された。1824(文政7)年には、イギリスの煉瓦積職人ジョセフ・アスプディンが「ポルトランドセメント」の製法の特許を取得した。この「ポルトランドセメント」は、今日のセメントの主流であり、単にセメントと言った場合、この「ポルトランドセメント」を指すことが多い。日本では、幕末の頃に高価なフランス製の「ポルトランドセメント」を輸入したのが最初とされる。1881(明治14)年には山口県小野田市に、民営セメント工場として最初のセメント製造会社、小野田セメント(後の秩父小野田、現在の太平洋セメントの源流の1つ)が誕生した。1947(昭和22)年に浅野セメントから改称していた日本セメントが、1994(平成6)年に秩父セメントと小野田セメントが合併して設立された秩父小野田と合併した訳である。混合セメントの代表格とされる高炉セメントは、製鉄所の銑鉄製造工程である高炉から生成する副産物である高炉スラグ(鉱石から金属を製錬する際等に、冶金対象である金属から溶融によって分離した鉱石母岩の鉱物成分等を含む物質)の微粉末と、ポルトランドセメントを混合したセメントである。セメントの水和反応で発生した水酸化カルシウム等のアルカリ性物質や石膏等の刺激により水和・硬化する性質がある。初期強度は普通、ポルトランドセメントよりも低いが、この性質により、長期に亘って強度が増進し、長期強度はポルトランドセメントを上回る場合もある。海水や化学物質に対する抵抗性に優れ、港湾やダム等の大型土木工事に使用される。ポルトランドセメントと混合セメントは、土木・建築用のコンクリートやモルタルの材料として使用される。セメントに水を練り混ぜたものはセメントペーストと呼ばれ、それに細骨材(砂)を加えたものがモルタルである。モルタルに粗骨材(砂利)を混ぜ合わせたものはコンクリートと呼ばれる。モルタルやコンクリートは化学混和剤を添加し、さらに、空気量も適度に確保するように考慮して設計・製造される。特殊セメントとして、アルミナセメントがある。アルミナセメントは、アルミニウムの原料であるボーキサイトと石灰石から作られる、酸化アルミニウム(アルミナ)を含むセメントである。練混ぜた後すぐに強い強度を発揮し、耐火性・耐酸性がある。緊急工事や寒冷地での工事、化学工場での建設工事、耐火物等に使用される。セメント製造量の上位5ヶ国は、順に中華人民共和国、インド、アメリカ合衆国、日本、大韓民国であるが、中華人民共和国の生産量は、全世界生産量の半分以上を占めている。また、ラファージュホルシム(スイス)、セメックス(メキシコ)、ハイデルベルグセメント(ドイツ)、イタルチェメンティ(イタリア)の大手セメントメーカー4社は、「セメントメジャー」と呼ばれる。因みに、セメントに因む地名もある。山口県山陽小野田市セメント町は、小野田セメントの創業の地であることに由来し、大分県津久見市セメント町は、太平洋セメントの工場があることに由来する。
IBDを理解する日。
厚生労働省より特定疾患に指定されている炎症性腸疾患(IBD)を、より多くの人に理解してもらう日をと、熊本市西区高橋町に所在する、炎症性腸疾患(IBD)患者会の集まりである特定非営利活動(NPO)法人IBDネットワークと、東京都港区三田に本社を置く、アッヴィ社(アメリカ合衆国中西部、イリノイ州シカゴ北郊のノース・シカゴに本社を置く、世界70ヶ国以上にビジネス拠点を置いて、新薬の研究・開発・販売を行なうバイオ医薬品企業)の日本法人、アッヴィ合同会社が2013(平成25)年に制定。炎症性腸疾患(IBD)とは、一般的に潰瘍性大腸炎とクローン病の2疾患を指しており、難病の慢性腸炎である。主に、10代から20代を中心とした若い人で発症し、明確な原因が不明で、根本的な治療法はまだ存在しない。現在、「不治の病」とも言われる難病は130疾患あり、その中で、潰瘍性大腸炎とクローン病を含む56疾患が、厚生労働省により特定疾患(難病)に指定されていて、医療費の公費助成がある。日付は、炎症性腸疾患(IBD)を広く理解してもらうためのイベントを開催した日、2013(平成25)年5月19日から。なお、この日付は、ヨーロッパの炎症性腸疾患(IBD)患者会が、初めて世界会議を行なった1990(平成2)年5月19日を記念し、「世界IBDの日(World IBD Day)」として、欧州クローン&潰瘍性大腸炎患者連合会(EFCCA)が定めた日に足並みを揃えたものである。なお、アッヴィ合同会社の主要商品には、「ヒュミラ」があり、自己の免疫が主に手足の関節を侵し、これにより関節痛、関節の変形が生じる代表的な膠原病(全身の複数の臓器に炎症が起こり、臓器の機能障害をもたらす一連の疾患群の総称)の1つである関節リウマチ等の他、潰瘍性大腸炎や、口腔内、小腸、大腸等、消化管の至る所に慢性的な炎症をきたす、クローン病を適応に持っている。
香育の日。
東京都渋谷区神宮前に本部を置く、アロマテラピーを通じて人々の心身の健康に寄与し、その普及・調査・研究等の活動を行なう公益社団法人、日本アロマ環境協会(AEAJ)が制定。日付は、5月19日の「5」と「19」を、「香育(こう[5]いく[19])」と読む語呂合わせから。「香育」とは、子ども達に向けた香りの体験教育で、植物の恵みである精油(エッセンシャルオイル)の香り体験を通して、五感の1つ、嗅覚に意識を向け、豊かな感性や柔軟な発想力を育むと共に、人と植物の関わり、自然環境の大切さを伝える。記念日を通して、「香育」の大切さを伝えていくことが目的。「香育」は、小学校・中学校・高等学校での教科、クラブ活動、課外授業等で、生徒達の教育として実施している。また、児童館や図書館、公園、植物園等の公共施設から民間施設まで、地域の子ども達へ向けたイベントや講座としても実施している。その他にも、家の中や自宅の庭で、時には散歩をしながら、親から子へ植物の香り体験や植物の恵みの大切さを伝えることができる。