3月13日 記念日 その2 | スズメの北摂三島情報局

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2011/08/02 リニューアル
2019/07/14 アメブロ移動
柴犬ハルがお伝えします

青函トンネル開業記念日(続き)。
トンネルは、在来工法(一部TBM工法・新オーストリアトンネル工法)により建設された。トンネル本体の建設費は計画段階で5,384億円であったが、実際には約7,455億円を要している。取付線を含めた海峡線としての建設費は計画段階で6,890億円、実際には約9,000億円に上る。しかし、完成時には、北海道新幹線の建設が凍結になっており、また、関東以西と北海道が鉄道と青函航路で結ばれていた着工当時と打って変わり、関東から北海道への旅客輸送は、既に航空機が約9割を占めており、さらに、完成後も大量の湧水を汲み上げる必要がある等、維持コストも大きいことから、巨額な投資と言えども埋没費用と見做し、放棄した方が経済的であるとされた。そのため「昭和三大馬鹿査定」発言において言及され、「無用の長物」や「泥沼トンネル」等と揶揄されたこともあった。トンネルの有効活用としては、「道路用に転用すべきだ」「キノコの栽培をすべきだ」「石油の貯蔵庫にすべきだ」等のアイデアも報じられたが、結局は在来線で暫定使用を行なうことになった。なおこの時、「青函トンネルカートレイン構想」として、カートレイン(自動車と、それを運転・乗車していた旅客を共に1本の列車で運送するもので、カーフェリーの列車版とも言える)を運行することも定められていたが、実現には至っていない。しかし、開通後は、北海道と本州の貨物輸送に重要な役割を果たしており、一日に21往復(定期列車で、臨時列車も含めると上下合わせて約50本)もの貨物列車が設定されている。天候に影響されない、安定した安全輸送が可能となったことの効果は大きい。特に、北海道の基幹産業である農産物の輸送量が飛躍的に増加したとされる。また、首都圏で印刷された雑誌類の北海道での発売日のタイムラグが短縮される等、北海道旅客鉄道(JR北海道)にとっては赤字事業であるものの、外部効果は高いと言える。2010(平成22)年度では、年間貨物輸送は約450万トンでシェアは約42%に達しており、フェリー輸送とほぼ同等となった。対照的に、旅客は航空輸送の高度化・価格破壊等から減少が進んでいる。青函トンネルは、「世界最長の海底トンネル(海底部を持つトンネルとしては世界一)」という特殊条件であることから、万が一の事故・災害防止のために厳重な安全対策が施されており、トンネル内は終日禁煙・火気使用厳禁となっている。トンネル内には、一般建物用より高感度の煙・熱感知器が多数設置されているので、微量な煙を感知しただけでも列車の運行が止まってしまう。なお、2015(平成27)年4月に発生した特急列車の発煙トラブルを踏まえ、北海道旅客鉄道(JR北海道)は、青函トンネルにおける乗客の避難方法や、避難所設備等を改善していく考えを示している。定点等の陸底部にある施設を拡充し、定点のケーブルカー(定員15名)の荷台に座席を取付け、定員を増やす他、待避所のベンチやトイレ等も増設し、トンネルの陸底部に4つある資材運搬用の斜坑を新たに避難路として活用する予定とされる。2016(平成28)年3月26日には、北海道新幹線の新青森駅 - 新函館北斗駅間開業に伴ない、海峡線と北海道新幹線の共用が開始された。新青森駅は、青森市大字石江字高間にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅で、青森県の県庁所在地、青森市の新幹線における玄関口であり、市の代表駅である青森駅へは1駅の距離である。渡島大野駅は、北海道北斗市市渡にある北海道旅客鉄道(JR北海道)函館本線の駅で、北海道新幹線開業後に新函館北斗駅と改称され、函館駅方面へのアクセス駅となった。青森市の青森駅と、北海道函館市の函館駅を結ぶ、北海道旅客鉄道(JR北海道)、及び東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線には、「津軽海峡線」という愛称が付けられていた。しかし、北海道新幹線の開業以降、海峡線区間の定期旅客列車は新幹線のみの運行となり、津軽海峡を通過する在来線定期旅客列車が消滅したため、これに合わせて「津軽海峡線」の愛称も廃止された。北海道新幹線は、青森市から北海道旭川市までを結ぶ計画の高速鉄道路線(新幹線)で、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図ることを目的とした「全国新幹線鉄道整備法(全幹法、昭和45年5月18日法律第71号)」に基づき、政府が1973(昭和48)年11月13日に整備計画を決定した路線、整備新幹線5路線の内の1つである。新青森駅 - 新函館北斗駅間が既に開業しており、北海道旅客鉄道(JR北海道)により運行されている。また、東日本旅客鉄道(JR東日本)が管轄する東北新幹線と接続して相互直通運転を行なっている。新函館北斗駅 - 札幌駅間は、2016(平成28)年の時点で、約15年後に開業予定の見込みである。なお、計画区間は青森市から北海道旭川市までであるが、北海道札幌市と北海道旭川市との区間は、未だ「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画(基本計画)」となっている。新青森 - 新函館北斗間の開業時点では、新青森駅 - 新函館北斗駅間を最短1時間1分、東京駅 - 新函館北斗駅間を最短4時間2分で結んでいる。新幹線の開業により、航空機から新幹線への転移と潜在的旅客需要の掘起こしが期待されている。また、新幹線は航空機に比べて、消費エネルギー単価が約4分の1、乗客1人当たりのCO2排出量が約6分の1とされ、気象条件等による運休(欠航)の可能性も低く、環境政策や安定した輸送力の確保という点でも有益とされる。北海道新幹線は、青函トンネルを含む新中小国信号場 - 木古内駅間の82.1km区間が三線軌条となっており、在来線(海峡線)との共用走行を行なう。そのため、三線軌条特有の装置である限界支障報知装置やレール破断検知装置、車軸検知式饋電区分制御装置を開発し、共用区間全線に設置されている。この区間には、新幹線専用分岐器7ヶ所に加え、三線分岐器12ヶ所、在来線専用分岐器10ヶ所が設けられている。また、架線電圧が交流20,000Vから25,000Vに昇圧され、信号保安装置も、東北新幹線や北海道新幹線で使用されているデジタル自動列車制御装置(ATC)、DS-ATCに変更されており、その規格に対応した車両のみが走行できる。新幹線開業と同時に、在来線としては実質的に貨物線に移行しており、現在は、本州と北海道を結ぶ貨物列車の運行が中心となっている。但し、この区間は開業時点では、最高速度が時速140kmに制限されていることから、北海道や青森県等で構成する協議会は、高速化を要望している。国土交通省は、北海道新幹線の青函トンネル内での最高速度を、当初計画の時速140kmから、時速200km以上に高速化する方法を話合う有識者会議を開き、すれ違う貨物列車のコンテナが風圧で破損する恐れがあるため、ダイヤ調整等ですれ違いを回避し、高速走行する方法を検討している。新幹線の最高速度、時速260kmで走行できれば、5時間1分を想定する東京 - 札幌間の所要時間は4時間43分となり、18分短縮される。その後、調整が行なわれたが、北海道新幹線開業時は、東京駅 - 新函館北斗駅間3時間台での運転を断念し、最短4時間2分運転となった。1988(昭和63)年7月9日から9月18日にかけて、青森市と北海道函館市で開催された博覧会、青函トンネル開通記念博覧会(別称「函館EXPO'88・青森EXPO'88」、略称「青函博」)は、「青函トンネルの開業をテコに、青函経済圏の創出を」をスローガンに、当時の主要産業であった造船業等の衰退で、地域経済が低迷していた函館市や青森市の地域活性化等をも視野に入れた、一大イベントであった。総集客人数は、天候不順の日が多かったにも関わらず、青森会場は約147万の集客に成功した。その一方で函館会場は、目標の150万に対し約120万と、目標を下回る集客数に終わった。博覧会開催を機に、函館市は、観光を軸としたウォーターフロント開発や、函館山ロープウェイのリニューアル等を行なった。同時に両市を「青函圏」と名付け、1989(平成元)年3月13日には、経済産業、文化面等、各分野のより一層の交流を目的とした「ツインシティ」(双子都市)提携を実施し、現在も交流は続いている。