2月20日 記念日 その2 | スズメの北摂三島情報局

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2011/08/02 リニューアル
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柴犬ハルがお伝えします

旅券の日。
1878(明治11)年2月20日、「海外旅券規則」が外務省布達第1号として制定され、「旅券」という用語が、日本の法令上初めて使用された。それまでは、「海外行御印章」や「海外行免状」と呼んでいた。これを記念して、120周年に当たる1998(平成10)年に、日本の外交を所管する行政機関(中央省庁)、外務省が「旅券の日」を制定した。旅券(パスポート)とは、政府、又はそれに相当する公的機関が交付し、国外に渡航する者に、国籍及びその他身分に関する事項に証明を与え、外国官憲に保護を依頼する公文書である。旅券は、国際移動する場合に原則必要なものであり、査証(ビザ)は、旅券に刻印、或いは貼付される。査証が渡航予定国の政府による入国推薦状であるのに対し、旅券は国籍国政府による原則として申請者の「渡航を認め」、「国籍を有することを証明」し、渡航先の国に対して「人身保護を要請する」書類である。主権国家の中央政府が、特定の国民1人に対して発行する公的書類であり、言い換えれば「最も国際的通用度の高い身分証明書」である。所有者が国籍を持っている国家だけが発給し、なおかつ、複数の旅行・複数の目的地で有効な現代のパスポートの概念は、20世紀中頃から始まったものである。それ以前は一般的に、どの国からでも誰にも発給することができた。その有効期限は非常に限定されており、通常一回の旅行用であった。初期の旅券(パスポート)は現代の査証(ビザ)に類似しており、その主な機能は、所有者の身分と国籍を証明するものである。1920年代まで、旅券(パスポート)は一枚の紙面であった。現在の冊子形式の旅券(パスポート)は、イギリスの市販製品に起源を持ち、それは入出国証印のための冊子が入った革の小物入れであった。数年後、イギリス政府がこのデザインを模倣した。パスポートという言葉は、海の港 (port[ポート]) だけでなく、都市城壁の門 (porte[ポルト]) を通過する(pass[パス])ために要求された中世の文書が起源であると考えられる。中世ヨーロッパでは、かかる文書を、地方当局より誰にでも発給することができ、通常所有者に通過を許可した町や都市のリストが含まれていた。フランスでは1793(寛政5)年に、国内外を問わず全てのフランス人旅行者に、居住地の警察署が発行するパスポートの取得を義務付けている。この制度は、1860年代まで続いた。当時のフランスでは、宿に泊まるにも就職するにも、あらゆる場面でパスポートの提示が必須であった。犯罪歴のある人物には黄色いパスポートが発行され、あらゆる場面で差別を受けていた。この様子は、フランスの詩人・作家・政治家、ヴィクトル=マリー・ユーゴーの長編小説『レ・ミゼラブル』(1本のパンを盗んだために、19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの生涯を描く作品)の中で書かれている。この時代、開かれた貿易地点であると考えられた海港への移動では、パスポートは余り求められなかったが、そこから内陸の都市へと移動するには必要であった。初期パスポートは、必ずではないが多くの場合、所有者の身体に関する記述を、20世紀初頭の頃のみであるが、写真と共に収容していた。国内でのパスポート携帯は、西ヨーロッパでは19世紀半ばには廃れた。一方、旧ソビエト連邦等、社会主義国では国内パスポートの義務付けが行なわれていた。日本でも、第二次世界大戦対米英戦中は「旅行許可証」が発給され、保持していない者は移動が許されなかった。日本最初の旅券(パスポート)は、住所、氏名、年齢(生年月日)以外に目、鼻、口、顔等、写真が普及していない時代に顔の特徴が明記されていた。国際連合の専門機関の1つで、国際民間航空に関する原則と技術を開発・制定し、その健全な発達を目的とする国際民間航空機関(ICAO)は、旅券(パスポート)のレイアウトと機能についての標準ガイドラインを発行した。このガイドラインは、現代のパスポートを大きく方向付けた。国際民間航空機関(ICAO)は、偽造防止・利用者の利便性向上のためバイオメトリック・パスポート(ICパスポート等とも称される、生体認証技術[人間の身体的特徴や行動的特徴、つまり、癖の情報を用いて行なう個人認証の技術]を個人情報記録の為に利用した集積回路[IC]旅券)導入を検討し、2005(平成17)年に国際標準を策定。2001(平成13)年のアメリカ同時多発テロ事件後のテロリズム対策の強化等もあり、各国はバイオメトリック・パスポートの導入を進めている。特に、アメリカ合衆国連邦政府(アメリカ合衆国国土安全保障省出入国管理及び市民権局)は、テロ対策に伴なう入国管理強化の一環として、諸外国に旅券(パスポート)へのICチップ技術の導入を強力に求め、対応しない国の国民にはビザ免除プログラム適用を認めない態度を取っているため、生体認証のための情報等をICチップに記録しようとする動きが起こっている。外国において、日本の旅券 (パスポート) は盗難の被害に遭い易い。これは、日本が多くの国家と良好な外交関係を結んでおり、査証(ビザ)なしで入国できる国家が多いことが挙げられる。外国では、旅券 (パスポート) は「日本国民」であるという証明であり、世界で通用する身分証明書であるため、国外滞在中に紛失・盗難すると、在外公館で旅券の再発行、又は帰国のための渡航書が発給されるまで、帰国できなくなる。団体の代表者・引率者・添乗員等が纏めて保管しているのは、盗難の格好の的となるため、日本国政府は旅行代理店に対し、添乗員等が旅券を不用意に預かってはならないと指導している。「パスポート」という言葉は、本来の意味を拡張して、広い意味で使われることがある。遊園地等で施設利用権付き入場券を、「パスポート」と呼ぶことがあり、複数の施設を利用できる券を「パスポート」と呼ぶこともある。なお、フリーパスの語源は「free pass(自由に通れる)」であり、パスポートの略ではない。また、資格として「パスポート」が使われることがある。旅券(パスポート)の大きさを基準として、大手電機メーカー、ソニーが製造・販売している民生用カムコーダ(レコーダー一体型ビデオカメラ)『ハンディカム』やバッグ、トラベルノート等のサイズとして、「パスポートサイズ」という表現が用いられることがある他、パスポートに貼付けられる証明写真のサイズが厳格に規格化されているので、「パスポートサイズの写真」という表現が用いられることもある。旅券(パスポート)は通常、自国民に対して交付する、ナショナル・パスポートが一般的であるが、その他にも、さまざまな種類のパスポートや渡航文書が存在する。これは、セカンド・パスポートと呼ばれ、自国と関係の深い外国人等に便宜的に交付する外国人パスポートや、外国人に対し、自国への再入国を担保(再入国許可)する為に交付する再入国許可書、認定された難民に対し、難民を庇護している国家が交付する難民旅行証明書、互いに相手国の存在や主張を認めていない場合に、その地域を訪問するために、パスポートの代わりに利用される身分証明書等が、セカンド・パスポートに該当する。なお、関係が良好で交流が盛んな国家間では、旅券(パスポート)以外の身分証明書での入国が認められたり、旅券(パスポート)による出入国管理自体や、国境検問所がなかったりする所もある。