1月11日 記念日 その2 | スズメの北摂三島情報局

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2011/08/02 リニューアル
2019/07/14 アメブロ移動
柴犬ハルがお伝えします

樽酒の日。 
鏡餅を開くことを鏡開きというが、祝いの宴、喜びの場で、酒樽の蓋を威勢良く開けることも、鏡開きという。良いことがあったら、良いことがありますようにとの思いから、樽の酒をふるまい飲み交わすこの風習を、日本の文化として次の世代に伝えていきたいと、奈良県北葛城郡広陵町南に本社を置く日本酒醸造元、長龍酒造株式会社が2009(平成21)年に制定。1963(昭和38)年創業の長龍酒造株式会社は、創業から今日まで、清酒「長龍」を製造している。日付は、年中行事の鏡開きの日に由来する。日本では古代から、木の板(樽板)を縛る鉄の輪等の箍(たが)のない、主として木製の樽が作られていた。元々は、食卓や宴席に供え、酒を注ぐための容器で、漆塗りが多く、小型のものであった。洋樽と同じように、液体やバラ荷の貯蔵、運送に使われる結樽が登場したのは、鎌倉時代末から室町時代初期にかけての時代、つまり14世紀頃であった。 長方形の杉材を竹材の箍(たが)で円形に結って作った桶(おけ)、つまり結桶(ゆいおけ)の系譜を汲み、この上面に鏡蓋(かがみぶた)を設けて、密閉容器としたものである。これによって樽は一気に大型化し、酒、醤油、酢、味噌、油、漆、柿渋といった液体、さらには、砂糖、乾物といったバラ荷の貯蔵、又は海上運送の容器として台頭することとなった。味噌や清酒等の大規模な貯蔵熟成も、樽の出現に負うところが大きい。特に、清酒の熟成は、樽の杉材からの木香が重視されるようになり、樽が不可欠とされる。杉材の中でも、主に奈良県中南部の吉野林業地帯(中でも吉野郡の川上村、東吉野村、黒滝村)が産地の杉、吉野杉は香りがよく、節が少ないため、酒樽の適材として最上とされた。他には、日本では建材として最高品質のものとされる、ヒノキ等が樽の材料として用いられた。ヒノキは、木材の特長として、加工が容易な上に緻密で狂いがなく、日本人好みの強い芳香を長期に亘って発する。正しく使われたヒノキの建築には、1,000年を超える寿命を保つものがある。7世紀、飛鳥時代に建立された法隆寺(奈良県生駒郡斑鳩町に所在)は、世界最古の木造建築物として今日までその姿を保っている他、主として奈良県内に存在する歴史的建築物は、いずれもヒノキを建材としたことによって現存するといって過言ではない。尤も、その有用性故に、奈良時代には大径材は不足をきたしていた。その後は人工林として多く植栽され、現在では全国にヒノキの生産地があり、各地に有名木材が存在する。樽の側面に菰(こも)を巻付けた菰樽(こもだる)と呼ばれる酒樽は、現代でも祝いの席等で、鏡開きの際に用いられる。現在、鏡開き、及び、観賞用の菰樽は、兵庫県尼崎市にある岸本吉二商店で製造している。「樽」と「桶」は、混同して用いられることもあるが、その違いは大きさや用途によるものではなく、「鏡」と称するふたがあるものが「樽」で、これがないものが「桶」と定義されている。但し、祝儀桶のように、特殊な形状の蓋が付いた酒樽もある。日本酒の場合は樽だけでなく、昔から酒の醸造や貯蔵に用いられて来た桶にも杉が用いられており、最も酒樽に向く杉材は吉野杉と言われている。一般的に、酒を詰める樽は「甲付」と呼ばれる、表側が赤いものが重宝されると言う。これは、杉材でも木の表皮の下に広がる「白太」と、幹の中心部である「赤味」と言う部分の境目を使用するもので、白太は杉特有の爽やかな香気があり、赤味は濃密な味が付き易くなると言われている。それぞれの部分が、樽酒固有の風味を引出す役割を担っている訳であるが、1本の木から取れる樽材の量が限られている為、甲付樽は赤味だけで作られる樽に比べ、コストが高く付くと言う。2,000年近くの間、樽はその高価な値段を支払える者にとっては、船での輸送や貯蔵容器として最も便利な存在であった。船の積載量の単位としても用いられ、質量の単位である「トン」の語源は、空の樽を叩いた時の音に由来する。また、樽は液体の貯蔵容器としてのみではなく、釘から金貨まで、あらゆるバラ荷を入れるために用いられた。こうしたバラ荷の容器として、袋や木箱はより安価であったが、同じ重さの樽程には頑丈ではなく、取回しに不便であった。しかし、20世紀にパレットを用いた物流とコンテナ化が導入されるに連れ、樽はゆっくりと主役の座を失った。樽は、円筒形の容器で、ヨーロッパでの伝統的な樽(洋樽)は、木の板(樽板)とそれを縛る鉄の輪等の箍(たが)で作られており、胴の側面は、中央部が膨らんだ円筒形である。日本で一般的なものは、鎌倉時代末から室町時代初期頃に出現した結樽(ゆいだる)で、箍(たが)は竹材を螺旋に捩ったものとなる。また、形状は、洋樽と異なり真っ直ぐで、膨らまない円筒形となっている。樽を作る職人は、日本では結樽が桶の系譜を汲むことから桶屋、英語圏では「cooper」と呼ばれる。樽は、側壁を構成する板材を、箍(たが)で結束することで強度を保つ構造物である(アーチの石積みが重力によって結束されているのと同じ原理による)。すぼまっている方に向かって底板を嵌め込むことにより、荷重は箍によって支持され、液体を入れると、それを吸った板が膨張することにより密閉される。釘や接着剤等を使用せず、木材由来の成分を除いて、内容物に不純物が溶出することも無いため、水や飲料の容器として重宝されてきた。現代でも、アルミニウム(小樽とも言う)、及びプラスチック、ガラス繊維等の繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料、繊維強化プラスチック(FRP)等、合成樹脂で一体成型した容器のことを、慣習的に樽と呼ぶことが多い。洋樽はしばしば、中間で膨れており、凸面の形を持っている。このような一定の膨れを作ることで、横にすると摩擦面が小さくなるため、比較的容易に方向を変えつつ転がすことができるようになり、容器がより球状に近くなるため、材料の中で応力(物体に外力が加わる際、その物体内部に生ずる抵抗力)を均等に分散することを助ける。ビールのために使用される樽は、通気孔や蛇口の台座等の開口部を備えている。飲食店等に、醸造所からある程度多い量を一度に運ぶ際の運搬用容器は、昔は「木製の樽」であった。 衛生上の観点等から、現在では「木製の樽」が使用されることはなく、金属製のものに切替わっている。日本では一括りに樽と呼んでいるが、英語では木製と金属製を完全に区別している。木製の樽は「バレル(barrel)」、金属製の樽は「ケグ(keg)」で、前者は、既に運搬用に使用されることは無く、飲食店で使う金属製のものを指して使うことはない。「ケグ(keg)」は通常、ビールの貯蔵、輸送やサーバーとして使用されている。アルコール飲料やソフトドリンク、炭酸飲料や非炭酸飲料も、同様に「ケグ(keg)」に入れられている。これらの液体は、通常は加圧されている。原油やその他、石油製品の標準的なバレル(「bbl」と略す、ヤード・ポンド法[アメリカ合衆国を中心に使用されている単位系]における体積を表わす単位で、語源は「樽」であり、樽の容積に由来する)は42米ガロン、35帝国ガロン、又は、約158.97リットルに等しい。この量は、初期のペンシルベニア油田(アメリカ合衆国北東部、ペンシルベニア州の西部にあった、アメリカ合衆国における最初の石油ブームを起こした油田)に由来している。古いイギリスのワインの単位、ティアスに基づき、イギリスとアメリカ合衆国の商人が、同じ単位を指すことができるよう定めた。以前は、別なサイズのウイスキー樽が、最も共通のサイズであったこともある。これは、40米ガロン(約151.40リットル)の樽で、5米ブッシェルに等しい体積である。しかし、1866(慶応2)年に、油のバレルは42米ガロンに標準化された。オイルタンカー船が登場してからは、石油が樽で運ばれなくなるまでに長くはなかったが、42米ガロンのサイズは計量、価格、課税や規制の単位として使われ続けている。1バレルにつき、19ガロン半のガソリンが取れる。