CH デュルフォール・ヴィヴァン詳解 その2 | ろくでなしチャンのブログ

CH デュルフォール・ヴィヴァン詳解 その2

ぶどう  シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン その2

       Chateau Durfort Vivens

                                                   AOC Margaux 

 

 
 

ピコピコハンマー マルゴー村の入口に忘れられたように立っているこの二級シャトーは、ゴンザーク・リュルトンが所有している。デュルフォール・ヴィヴァンの葡萄畑からは、もっと良いワインが生まれてもおかしくない。1961年から1981年にかけてのここの惨めな実績を引き合いに出してリュルトンを責めるのは不公平である。

 

 この葡萄畑はこのアペラシオンでもリッチに恵まれており、現在、葡萄樹は適当な樹齢に達している。ワインが、その理想とする姿よりも魅力に乏しく、頑強なのは、カベルネ・ソーヴィニョンの比率が高い(オー・メドックでは一番高い)為ではないかと、思わずにはいられない。

 

 1982年以降のヴィンテージには改善が見られるが、それでもマルゴーのアペラシオンの長を務めるここの所有者は、今はもう21世紀だと言う事に気付くべきである。グローバルなワイン市場はいまや血統よりも品質に基づいているのだ。ルシアン・リュルトンの息子で、まだ30歳代前半のゴンザーク・リュルトンは、若いボルドーのティスティング基準を提案したことで評価されている。これは彼の造るワインは他の同格付けのワインと比べ、アン・プリムールのティスティングの評判が良くない事とも大いに関係があるだろう。

 彼は、他の同格のシャトーでは、サンプルとなるワインに手を加えたり混ぜ物をしたりして、最終的に市場に出荷するワインより良いものを報道関係者に紹介していると考える傾向にあったようだが、これは間違いである。

 ここ20年間と言うもの、私は高格付けのワインについては、樽から瓶詰めする前のものを8回から12回ティスティングした後、改めて瓶詰めされたものを買い、樽からティスティングしたものと変わりがないか確かめてきた。が、そうした食い違いに遭遇したことは稀だ。多くの場合、瓶詰めされたボルドーワインは樽から出されたサンプルより美味しいし、それがあるべき姿なのである。樽出しサンプルを提出している全てのシャトーに共通のルール基準を造るべきだと言う考えには全面的に賛成だが、一方で、若きリュルトンは席に着いて、自分の造った瓶詰めワインを他のボルドーワインと飲み比べてみるべきだと思う。それでもまだ、自分のワインが品質的に十分でない事に気がつかなかったら、それまでと言う事だ。

 どちらにせよこのシャトーは確かに良くなってきているのだが、自分以外はみな不正行為をしているというリュルトンの若者らしい放漫さと非現実的な意見は、根拠のないものに思える。デュルフォール・ヴィヴァンの最近のヴィンテージは確かに前任者たちが造っていた凡庸なワインよりも優れている。しかし、感激するようなワインではない・・・少なくとも私の味覚にとっては。~ボルドー第4版

 

 

 上記はパーカーの評価なのですが、この表現の様に自己に向けられる批評や非難に対しては徹底的に異常なほどに反応します。

 一応弁護士としてのプライドなのか、性格的なものか(多分こっち)不明ですが、ワイン批評家としては世界的権威の評価を得ているのですから、子供じみたことは止めて、もっと鷹揚に構えても良さそうなものですが。

 いずれにしても、パーカー好みではないワインなので、今後の評価も気になるところですが、サン・テミリオンのシャトー・ベレールの前所有者であり醸造担当だったパスカル・デルベック氏のような思いをしないよう望まれるところですが、リュルトン家一族には優秀なエノロジストが大勢いるのですから彼女たちの意見を聞いてみたいところです。

 有機・バイオダイナミック農業(DEMETER)への転換が図られ、2013年から100%バイオダイナミック農業方法に移行し、2016年にはエコサートとビオディヴィンからバイオダイナミックおよび有機農業の認証を受けています。

 

  

2009年ヴィンテージから変更、前々エチケットの復活とされます。 

 

 

歴 史

 14世紀にマルゴーに移住したフランス南西地方出身のデュルフォール・ド・デュラ伯爵が創設したとされています。同家はブランクフォール(ボルドー市の北、別掲参照)の領主とされています。設立当初のシャトー名は、所有者・デュルフォール・ド・デュラ伯爵にちなみ、『シャトー・デュルフォール』でした。
 1785年には後の米国第3代大統領トマス・ジェファーソンがボルドーに赴いたおり、高価格のデュルフォールをも購入したとされていますので当時の評価は高かったようです。

 1824年に畑の一部をヴィヴァン家(デュルフォール家の一族だったようです)が取得し、当時の所有者ヴィヴァン子爵が自分の名を付け加え『シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン』とします。

 1855年、ボルドー格付け2級を得ます。

 1937年の大不況時代にシャトー・マルゴーが取得し、以降シャトー・マルゴーで醸造されたようです。実際のリリースに関しては、

 

①「シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン」の名前で、一般市場に出回っていないとするものと、

 

②実質的にマルゴーのセカンドとしてリリースされていた。と表現するものがあり当時のエチケットの確認
 が出来ていません。

 

 1961年シャトー・マルゴーの主要株主だったフランソワ・リュルトンの息子リュシアン・リュルトンがデュルフォール・ヴィヴァンを取得します。

 では、好立地であり2級格付けを得ており、シャトー・マルゴーに一部接するデュルフォール・ヴィヴァンを何故手放したのでしょうか。

 当時のシャトー・マルゴーの前所有者は、1920年後半の世界大不況と1930年代初めの葡萄不作のダブルパンチでダメージを受け、1934年にボルドーの輸出業者ジェネステ社のフェルナン・ジネステ(Fernand Ginestet)に売却しています。しかし、ジネステ家も財政事情は厳しく、畑の管理が十分に行えず、1960年代から1970年代に於けるシャトー・マルゴーの低評価へと続くのです。

 シャトー・マルゴーも1973年から1974年のいわゆる”ボルドーワイン暴落”のためシャトー・マルゴーを手放すことになりますので、シャトー没落の第一段階として手持ちのシャトー売却になったものと思われます。

     

 お話は戻って、1961年(1962年説も)、リュルトン家に買収された、デュルフォール・ヴィヴァンは、1974年からデュルフォールでの醸造を復活(それまではシャトー・マルゴーで醸造されていました)し、1992年に現当主のゴンザク・リュルトンが後を継いでいます。この後継を記念してかエチケットも金色から白地へと変更され、2004年には若干のエチケットへ変更を行い、2007年にまたまた変更しているようです。

 エチケットに関して、昨日アメリカ人と食事をしたのですが、私の英語(殆どは日本語の会話でしたが。)はもちろん通じる筈もなく、私には「エディケット」としか聞こえませんでした。

 

さくらんぼ リシュアン取得時の1961年から1981年までに造られたワインは樹齢が低い等の要因はあったにせよ酷評されています。
 1992年からリュシアンの息子であるゴンザール(ゴンザギュ)・リュルトンが改革に取り組み始め、かのパーカーチャンには不評のようですが、『樽香を効かせず、葡萄本来のアロマを最大限に生かすことを目標とし、女性的な味わいを追求している』そうです。典型的なマルゴー・スタイルのワインです。マルゴースタイルといえば、タンニンがやわらかく、余韻の長さが特徴ですから。




さくらんぼ 1999年には、当時27歳であったエランヴァル氏を社長に採用したようです。グラン・クリュの社長としては、過去最年少だったと言われていますが、社長が代わっただけで、筆頭株主の変更はないようです。
  ところで、シャトー・デュルフォール・ヴィヴァンの最大の販路は日本なんですって。オーナーも日本に促販に来ているようです。でも今は中国にターゲットを絞っているかも。

 

  

 

さくらんぼ セカンド Wエチケット~同一ワインに2種類のラベル

 

ぶどう ル・ルレー・ド・デュルフォール・ヴィヴァン (デュルフォール・ヴィヴァン・リレーとも)

      Le Relais de Durfort Vivens     

                                                AOC Margaux

年間生産量   2.8万本 

砂、粘土、砂利    

植栽密度     平均本/ha~8300本/ha

醗酵・マセレーション 木製、コンクリートタンク(プロット毎)

新 樽 率    20%(フレンチオーク)

熟   成    16ケ月 

アッサンブラージュ

   2007年 カベソー75% メルロー25%  42hl/ha 

   2008年 カベソー86% メルロー14%  新樽率15% 熟成18ケ月  37hl/ha  

   2009年 カベソー85% メルロー15%  新樽率20% 42hl/ha 

   2010年 カベソー84% メルロー16%  42hl/ha 新樽率30% 熟成16ケ月

   2011年 カベソー76% メルロー24%  42hl/ha 新樽率20% 熟成12ケ月

   2012年 カベソー82% メルロー17% カベフラ 1%‎ 32hl/ha 

   2013年 カベソー85% メルロー15% 

   2014年 カベソー75% メルロー25% 37.5hl/ha 

   2015年 カベソー73% メルロー27% 48hl/ha 

   2016年 カベソー69% メルロー30% カベフラ 1%‎ 

 

 

                                 

             

ぶどう ヴィヴァン・パール・シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン (ヴィヴァン)

    Vivens par Chateau Durfort Vivens                                                                                                             AOC Margaux

       

  さくらんぼ ル・ルレー・ド・デュルフォール・ヴィヴァンとWエチケット

 

ぶどう  前々セカンド、ドメーヌ・ド・キュレ・ブルス

         Domaine de Cure Bourse

                                               AOC Margaux  

                              下矢印

         Chateau Cure Bourse

                                               AOC Margaux  

        

 

       

 

ぶどう 前セカンド、スゴン・ド・デュルフォール

              Segond de Durfort                              

                                              AOC Margaux     

     1993年ヴィンテージ・リリース 
 

ぶどう ジャルダンド・ダーフォー

       Jardins de Durfort

                                             AOC Margaux        

 中国市場専用ラベル  

 

 

ぶどう ラ・レゼルヴ・デュ・ヴィコント

       La Reserve du Vicomte 

                                                 AOC Margaux

 

 

 2019 vintage から、下記の3種をリリース。

 

ぶどう デュルフォール・ヴィヴァン・レプラント 

      Durfort Vivens Les Plantes 

                                                 AOC Margaux 

 デュルフォートヴィヴェン・レ・プラントは、エステートで最も若いブドウの木から造られる。
 

〇 2019年 VP91 Galloni  Vinous.com Jan 2022

 2019年 Les Plantes は、クリーミーでジューシーな個性にマッチする顕著な深みを提供する Durfort-Vivens.It の新しい若いブドウのワインです。今後数年間でこれを飲んでください、暗赤色の果物は活気に満ちたままです。ここにはたくさんのキャラクターがいます。

 

  

 

ぶどう デュルフォール・ヴィヴァン・ル・アモー 

      Durfort Vivens Le Hameau   

                                     AOC Margaux 

 カントナックセクターの10haのブドウ畑から造られます。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローのブレンドはほぼ50/50です。ワインは、70%のクレイアンフォラとフレンチオーク樽の組み合わせで平均16か月間熟成され、瓶詰めされます。
 

 

 

ぶどう デュルフォール・ヴィヴァン・ル・プラトー 

      Durfort Vivens Le Plateau   

                                                        AOC Margaux 

 

 エステートのブドウ園の北端にあるスーサンのコミューンに植えられたブドウの木から生産されています。カベルネ・ソーヴィニヨンが支配的なブレンドは、70%のクレイアンフォラとフレンチオーク樽の組み合わせで
 

 

 

さくらんぼ クレール・ヴィラールと ゴンザーグ・リュルトンは、メルロー家とリュルトン家というボルドーでも有名なワイン農業家族の出身です。

 彼らは1992年と1993年にそれぞれの家族の財産の手を引き継ぎました。現在、クレール・ヴィラール・リュルトンClaire Villars Lurtonは、シャトー・フェリエール、シャトー・オーバジュ・リベラルを所有し、夫ゴンザーグ・リュルトン Gonzague Lurton(リュルトン家4男)はシャトー・デュルフォール・ヴィヴァン、シャトー・ラ・ギュルグを所有しているようです。

        

Chateau Durfort Vivens 詳解はこちら   Chateau Ferriere  詳 解 

  

 Chateau La Gurgue 詳 解   Chateau Haut Bages Liberal 詳解はこちら 

 

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シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン詳解 その1 詳解はこちら

シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン詳解 その2 詳解はこちら

 

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