1・9 全国雑観雑観 | ROKKO RUGBYFOOTBALL CLUB OFFICIALBLOG

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ROKKO FIGHTINGBULL / REDWING

 

 初めての主将、奮闘セリ悔しすぎて、涙も出ない。 

「優勝できずに本当に申し訳ないです。後悔しかありません…」

 ハーキュリーズに完敗後、六甲ファイティングブル主将・中村健人はグッと唇をかみしめた。

 試合を振り返る。

 「エリア取りで完全に負けてしまいました。中盤でのボールキープ、DFでプレッシャーを掛けきれなかった…」

 ハーキュリーズのクレバーな試合運びに、なんとか流れを変えようとアタックを仕掛けて行ったが

 「僕も含めて要所要所で判断ミスや、(トライの取りどころでの)反則が目立ちました」と分析をする。

 チームとしての熟成度の差もあげた。

 「ハーキュリーズさんは慶大時代から一緒にプレーしていることもあり、チームの方向性や試合の組立て方が統一されていて、メンバー全員のゲーム理解度の高さをすごく感じました。

 僕らも春からチーム戦術の統一をやってきましたが、まだまだ甘かった。この部分は僕の責任です」。

 集まりや練習環境が不安定なクラブチームにとって、どうチームに落とし込んでいくか。中村は自分が未熟だったと責任を背負い込んだ。 昨年3月に主将決定臨時総会でキャプテンに選ばれた。九共大時代にBKリーダーの経験はあるが、25歳の若者にとって主将はラグビー人生の中で初めての経験だった。

 春シーズンは今年も新型コロナの影響をモロに受けた。「関西セブン」をはじめ予定されていた春の大会、練習試合がことごとくキャンセル。練習グラウンドを確保するのも苦労した。河川敷での練習が多くなっても、仲間はたくさん集まってくれた。チーム独自の感染防止対策を徹底しながら、「できること」を積み重ねていった。

 image大学や社会人と様々な世代やラグビー経験を持った仲間たちが集まる六甲クラブ。それぞれのこだわりや考え方をくみ取りながらチームを作り上げていくのが楽しさでもあり難しさでもある。

「僕は思ったことをズバッと言ってしまうこともあるから、キツく受け取った選手もいるかもしれません」。(中村)

 副将の鶴﨑はじめリーダー陣と何度も話し合いを重ねた。チーム内の主将経験者やベテラン選手にも色々と相談していった。

 シーズンを重ねて行くにつれ、裏方のサポートを改めて実感していった。「公式戦や練習試合を組む、遠征など目に見えないところでサポートしてくれるスタッフや、試合に出られなくてもサポートに回ってくれるありがたさを凄く実感しました。六甲に入って4年目で気付くのが遅いですが(苦笑)、初めて周りの人達のために優勝したいと心から思うようになりました」。

 夢は道半ばで終わりを告げた。

 「ここまでの完敗は僕が入ってからなかったので、悔しいよりも情けなく、サポートして頂いたスタッフやバックアップメンバーに申し訳ない気持ちでいっぱいです」。

 ショックは大きい。だが、負けに不思議の負けなし。自分たちの弱さ、甘さを実感できたのは来季につながる収穫だ。

 「全国で勝ち進んで行くには、僕も含めて皆ラグビーに対する姿勢を変えていかなきゃ六甲クラブは変わらない、そう感じました。一方で周りのみんなに本当に助けてもらいました。この経験を今後に生かして六甲クラブに貢献していきます」。

 涙は最後まで見せなかった。ラグビー人生の中で初めてのキャプテン。中村にとってどんな1年だったろう。試行錯誤のシーズン、選手としても、人間としてもいつか大きな力になるはずだ。

 ものごとは負けてからが面白い。

 中村をはじめ全ての六甲戦士が、敗北の痛みを糧に必ず立ち上がる。

 (三宮清純)