伸びしろは自分達次第
前日に日本列島を横断したダブル台風の影響が心配された、パロマ瑞穂ラグビー場だったが、さすがは昨秋リニューアルされたばかりの「中部ラガーマンの聖地」。抜群の天然芝環境で六甲クラブを迎えてくれた。
名古屋クラブとの定期戦。クラブチーム同士としては異例の50年以上の歴史を誇る。この試合を春シーズンのターゲットと位置付けた六甲はロッカールームで円陣を組み、安主将の言葉に耳を傾けた。
「春から積み重ねてきたことを出して、最初の5分、10分に集中して圧倒、北海道セブンズで負けたリベンジをして、15人制の春シーズン全勝で締めくくろう!」
キックオフボールをいきなり手中にした六甲は、一気に敵陣になだれ込む。前半3分、ゴール前スクラムのチャンスをつかんだが、スクラムがホイールし過ぎて名古屋にボールを奪われる。名古屋は一気にBKに展開して六甲陣へ逆襲。小気味良くパスをつないで先制のトライ&ゴールを奪われてしまう。
気を取り直した六甲。12分スクラムからの球出しが乱れたものの、拾い上げたFL岡田が防御のスキをついて大きく前進。WTB藤井がゴール前まで迫る。最後はFL井上が左中間にトライ。安部のゴールも決まって7-7と試合を振り出しに戻す。
その後、六甲は敵陣で有利に試合を進めていくが、ゴール前ラインアウト&モールでドライブでノックフォワード。直後の相手スクラムでまたもや名古屋バックス陣に一気にゴールまで持っていかれ、7-14と再び勝ち越しを許してしまう。
「トライの取りどころ」で逆にトライを奪われ、流れが一気に名古屋に傾く。18分にはゴール前スクラムからのサインプレーで中央付近にトライを許し、7-21と点差を広げられてしまう。
インゴールでハドルを組み、大きく深呼吸して意思統一を図った六甲は再び反撃に出る。28分、ゴール前の相手ラインアウトが乱れてチャンス到来。FWラッシュで最後はLO安主将が左隅にタッチダウン。12‐21とする。
その後も六甲は敵陣で有利に試合を続けるが、またもやラインアウト&モールで痛恨のノックフォワード。流れを取り戻せないままハーフタイムとなった。
雨上がりの蒸し風呂状態のピッチ。ボールが滑って自分たちのラグビーができない、歯がゆい思いの中、ロッカールームで修正点を確認する。全国の常連・名古屋くらぶは六甲のミスを見逃さず得点に結びつけている。
「このままだと、全国のタマリバの時と一緒。ズルズルと突き放されてしまうよ。」(安主将)できている点とできていない点、自分たちの持ち味を確認して、勝負の後半に挑んだ。
後半の最初の10分、互いに譲らぬ攻防が続くが、局地戦での名古屋の鋭い出足に六甲は再三ターンオーバーを許してしまう。後半最初の得点を名古屋に許し、12‐26。六甲は非常に厳しい状況に追い込まれた。
いい意味で開き直った六甲、ここから逆襲が始まる。「後半はもっと回そう」と確認していたバックス陣。ポジションチエンジが功を奏し、亀谷の突進&前進で敵陣に迫る。最後は前半のお返しとばかりに、スクラムから左に展開。最後はWTBになった川内が左隅にトライ。安部のゴールも決まって19‐26と反撃の狼煙上げる。
ウオーターブレイク直後、スクラムからの名古屋のキックはノータッチ。ハーフライン付近でキャッチしたWTB川内は一人かわすと、一気に円陣全開。2,3人とタックルを弾き飛ばしそのまま左中間になだれ込みトライ。安部のゴールも決まって、ついに26-26の同点に追いついた。
ラスト10分、互いに譲れない激しい攻防が続く。敵陣ラインアウトで名古屋のミスから六甲はFL井上がゴール前を急襲。相手防御を3人引きずりながらゴールポスト付近にねじ込んだ所をFL植野が抑えたかに見えたが、トライは認められず。
それでも気落ちすることなく攻撃を続ける六甲。山田のパスを受け取った途中出場で、地元・名古屋高出身の19歳FL内藤が相手をずらして大きく前進。再びチャンスをつくりCTB亀谷がタックルを受けながらも粘り腰で敵陣に迫ると、最後は汗みどろになりながらも奮戦してきたLO李がポスト真下に転がり込み、六甲が土壇場で逆転に成功した。
33-26でのノーサイド。定期戦としては2023年から4連勝とした。
「序盤、思わぬ厳しい展開となりましたが、後半、劣勢をはねのけて逆転勝利したのは、本当に大きいですね」と安主将は振り返るのと同時に、
「やはり名古屋さんの球際でのしつこさ、攻撃の継続にやられた場面も多かった。そこはしっかり修正していかないと」と課題も忘れなかった。
「後半逆転して勝てたことはよかった。でも取られ方、(トライを)仕留めるところでできなかったこと、全員で確認する必要がある。もっと強くなれるし、その可能性は持っている」と、試合を見つめていた榎村GMが評価する。たらればではないが、一つの小さなミスで得点されたり、流れが変わることを改めて痛感した試合だった。
試合後のファンクション。両チームが互いの健闘を称えあい、次は全国大会での再戦を約束して、互いに部歌を歌ってエール交換をした。近畿リーグだけでなく、名古屋にも全国大会を目指して切磋琢磨しているライバルがいる。50年以上続く伝統の定期戦。今年も熱き友情が刻まれた。(三宮清純)